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出社するのが嫌すぎてバカ泣きした

令和3年新春、有休を捻じ込んで特大連休を錬成した。
自らの業務を放棄して、悠々と10日超の休暇を過ごした。

先日、職場から電話で怒られた。


電話を受けて以降、「出社したらまた怒られるのだろう」と脳内に引っ掛かり続けた。
明らかに落ち度は自分の方にあるし、悪意はなかったにしても、今の自分は”勝手に連休取って無断で周囲に仕事を押し付けた新入社員”ということになる。
相手の立場に立って考えてみたら、腹が立つのももっともだ。

しかし、脳内を渦巻く戦慄は、怒られることへの恐怖というよりは、予想される苛立ちに対してどんよりする気持ちだった。
こちらに苛立つ資格など無いはずなのに…

「何で自分が、こんな目に遭わなきゃいけないんだよ…??」

考えれば考えるほど、時間が経つのが、出社が近づくのが苦しかった。
気づけば、目元が涙でグショグショになっている自分がいた。


なぜ涙が出るのか、訳が分からなかった。

高圧的な物言いをされて腹が立ったから?
ミスをしたことが悔しいから?
こんな自分に対しても存在を肯定してくれる実家を離れるのが寂しいから?怖いから?
ただ出社したくないというだけの幼児退行?
それとも、鬱病の初期症状?


風呂やトイレや自室で心を落ち着けようとしたが、それでもふとした瞬間に涙が溢れ出し、家族にバレないようにするので必死だった。

昨夜、車で実家から自宅へ戻る時に、泣き飽きるほどに思いっきり泣いてやろうと思った。
車内BGMの音量を上げ、カラオケ顔負けの大声で歌いながら、我慢せず泣きじゃくった。
顔をグショグショにしながら、悶えるような表情でT.M.Revolutionを熱唱する姿は、もしバックミラー越しに見えていたら極めてシュールなものだっただろう。

奇行に走っているうちに、だんだんと心が落ち着いてきた気がした。
そして、かつての自分がそうしたように、一連の思考の軌跡を文章に書き起こしてみようと思った。

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結局、涙の理由は今になっても分からないが、自尊心が大きく関係しているような気はする。
…自分って、そんなにプライド高かったっけ?
腰の低いキャラでいたはずなのに、心の中身はむしろ真逆、高慢さの権化だというのだろうか。
自分の嫌なところに気付くたびに、自己肯定感がじわじわと削れていく。
自己肯定感が変異して悪性腫瘍と化したものが高慢だろうに、それが自己肯定感を傷つけるとは、まるで自滅行為のような有様だ。

そうは言っても、明日は否が応でも出社しなければならない。
精神衛生を保ちつつ、荒波を立てないよう今後を生き延びなければならない。
精神衛生を保つために己の高慢を許すか、それとも、より高尚な人間になるために、高慢を悪しきものとして制するか…?

しばし自問を続けたが、ここで正解になるのは「より自分が息をしやすくなるもの」だろう。
後者がやや劣勢のようだ。せめて“今は”、己の高慢を許してもいいんじゃないか?
良い子になどなれなくても、良い子のフリならできる。

そう、今後長きにわたって、いかにもやる気ありますな演技を見せつけるんだ!
例え心の中でクソ喰らえと思っていても!
仕事なんてウザいあれこれの我慢ゲーであり、真面目な振りする演技ゲーと捉えて、強ち間違いではないよな?
そうだ!明日、今週の作業内容を一人ずつ言わされる時に、渾身の演技で反省文でも読み上げようかな!
自分から読み上げることで、怒られる内容を先取りしてダメージ軽減できそうだし!

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この度は大変ご迷惑をおかけしました。自分は、そもそも働くということを誤解していました。
あぁ〜〜世の中からカネをこそぎ取ってくるってマジでダルいな!

自身の欠勤によって、結果として担当業務に対する責任を放棄し、適切な連携も取らずに無断で周囲にその責任を押し付けることになりました。
自分は!働くために生きたくないんだよ!!

新入社員の能力で1週間の空白をカバーするのは普通困難であり、そのことに薄々気付いていながらも自分の都合を優先したのは、自己の過信であり極めて身勝手なものでした。
みんな魚類か爬虫類になってしまえ!それか自分をアメーバにしてくれ!

この度の件を心から反省した上で、仕事というものが学校の宿題のような個人作業ではなく、一人分の穴が数十人を煩わせるような連携作業であることを念頭に置き、今後の業務に励みます。
ちゃんと深刻そうな表情で喋れてたかな!カッコの中身が顔に出てないよな!

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どうかこれを読んでくださった方の職場に、こんなカスのような後輩が舞い降りませんように。

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