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愛のある二次創作とそのやさしさ。

これがマイnote全体で10本目に書く記事だ。これまでの文章を読み返すと本当に拙くて、自分で読んでて不安がどんどん募ってしょうがない。しかしまだ二桁も記事を公開していないのだから、この拙さもいずれは歴史的遠近法の彼方で古典となるのだ。モーマンタイ、モーマンタイ。

目撃

ダ・ヴィンチ・恐山という方がいる。主にオモコロというウェブメディアでライターとして活動していて、品田遊という名義で小説も書いていらっしゃいます。その人が二年くらい前からアイドルマスターのゲーム実況をしていた。僕はそれを見てアイマスに引き込まれたのです。

去年、恐山さんはアイマスの同人誌を発売しました。そのタイトルは「アイドル目撃情報」。内容はこうです、

「アイドルを見ました」
駅で、公園で、学校で、コンビニで―― 一般には"架空"とされるアイドルたち。
その影とすれ違ってしまった 150名以上の目撃者から集められた、 真偽不明の断片。
630を超える投稿から厳選した 約250のエピソードが、 あなたの統覚を再構成する。
統覚制作委員会: アイドル目撃情報より)

恐山さんはインターネット上で様々なアイドルの”目撃情報”を収集しました。当然その情報たちは創作なわけですけど、これが面白くて好きなんです。
ここでいうアイドルってのは架空の存在にも関わらず、この”目撃情報”にはとても血が通ってて、地に足がついてるんです。例えば、

響さんが経口補水液を飲んで
「全然味がしないぞ~!」って言ってました。

とか、

イオンで初音ミクを見かけました。
まとめた髪をカゴに入れてました。

とか。
響さんてのはアイドルマスターの我那覇響のことですけど、いや、こういうこと言いそう~~~てか言っててくれ~~~。
初音ミクはアイドルとはまた違うけど、目撃情報はそのあたりも幅広く取り上げている。それになによりこの描写、なんとも言えない良さがある。

こんな具合に架空のキャラの一番リアルに近い部分を想像し描き出しているのだ。もちろん元のキャラを理解しているとなおさら良く感じる。響のは笑っちゃったもん。

この同人誌を発売するにあたって、発行者である統覚製作委員会の恐山さんとナラハシさんがYouTubeでライブ配信を行った。それをリアルタイムで視聴していたのですが、そこで恐山さんが面白いことを言っていたのでそれを受けてちょっと書きたいことができたので書きます。

優しさ

二次創作についてです。アイドル目撃情報もいわゆる二次創作ですが、二次創作を作るうえで必要なものはなんでしょうか。お金とか時間とか熱意だとかはもちろんですけど、そういった資本を除いて必要になるもの。それは理解じゃないかしら。キャラクターへの理解がなきゃ多くの読者の共感を呼び得る二次創作にはならないと思う。

ただ、ここでひとくくりに二次創作といっても種類があると思ってる。きちんとキャラクターの人格に沿って創作され、見た人が「いい…」と感じるような”強い二次創作”とそうでないもの。
(この分別は人によって違うだろうけど、たぶん公式設定から矛盾ない形に発展させている創作物はおおかた”強い二次創作”になるんじゃないかという予想)
以下二次創作とは”強い二次創作”のこととする。

さて、本題。二次創作とは一体どんな操作なのかということを考えます。
ここでまず、人間とキャラクターの違いについて。
人間というのは、無条件に"います"。
しかしキャラクターは"いません"。
人間は、生きる中で自己の人間性が確立していき、その元に好きな服を着たりメイクしたり趣味を楽しむわけですね。つまり自らをキャラ付けしていく。

だけどキャラクターは違う。
まず口調や髪型、声や性格などが定められる。そして大衆の前に姿を現し、ファンを獲得していく。そうするとファンの間でそのキャラクターに対するイメージは自然と一致していく。それは台詞や行動から体系的に理解されていくから。
そしてさらにキャラクターは髪型や服装などの記号を排してもキャラとして自立できるようになる。

そうしてるうちに、提供されるコンテンツではなく自らストーリーやイラストを構想する人が現れる。そこで満を持して登場するのが二次創作だ。

ということは、二次創作はキャラクターの人格を外側から確かめることで、その存在強度を上げるという操作なんじゃないか。キャラクターはもともとその振る舞いや装いから人間性を醸し出すだけだったのに、逆に人間側がキャラクターの人間性を感知してその言動を想像するんだから。
これってかなりキャラクター愛のある行いじゃないですか?優しい。

…といったことは、かなりの部分が恐山さんとナラハシさんの配信からの受け売りだったりするんですけどね。いずれにせよこの話が気に入ったので紹介させてもらいました。

はあ、長い文章にしたくないのと言いたいこと詰め込みたいがあまり、ツッコミどころが多くなってしまった。
こんな不格好な言葉でアイドル目撃情報を取り上げるのは申し訳ないけど、とかく「良いな」という気持ちだけは伝えたかったのです。
僕もアイドルを目撃したい。

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