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医療品質を定量化して日々改善。IT技術を学んだ看護師が率いる「医療統括部」の仕事。

看護師資格を持ちながら、現在は「FastDOCTOR(ファストドクター)」の医療統括部で”診療現場の環境作り”に注力しているという上柳菜摘さん(以下、上柳さん)。
看護師から転身したきっかけや、医療統括部での仕事、ファストドクターで成長を感じたエピソードについてお話を伺っていきます。


大学病院の看護師からの転身。医療の品質を支える「医療統括部」の役割とは。

──上柳さんがファストドクターに転職するまでのキャリアについて教えてください。

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大学卒業後、都内の大学病院で看護師として7年間勤務していました。新人教育や臨床研究にも携わりましたね。

当時は、ALS(※)やパーキンソン病といった神経難病の患者さんが多くいらっしゃる神経内科で働いていました。臨床研究では、そういった患者さんの入院中の窒息や誤嚥を防ぐために、5年かけて嚥下(飲み込み)の研究を行ったりもしました。

(※)...手足・のど・舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉がだんだん痩せ、力がなくなっていく病気

転職を考えたのは、大学病院での勤務が7年目を迎えた頃です。病棟でのハードな夜勤が体力的に厳しくなってしまったことがきっかけでしたね。

そんなあるとき、ファストドクターで往診医として働いていた夫から、「看護師として培ったスキルを活かし、医師が現場で働きやすくする仕組みを考えてほしい」と勧められ、転職を決めたんです。

最初は事務員として入社し、その後、医師や看護師、そして医療品質を管理するために新設された医療統括部でマネージャーとして従事しています。

──医療統括部での業務内容はどのようなものでしょうか?

主に3つあります。

① 現場に赴く医師・看護師の統括と医療品質の管理
② 診察後の経過観察をする看護師チームの統括
③ 医師・看護師がより良く働ける環境構築

まとめると、ファストドクターで働く医療従事者の管理や、診療現場の適切なフロー作りですね。

ファストドクターで取り組んでいるのは全国でも前例がない診療業務がほとんどです。医療へのアクセスがしづらくなったコロナ禍でいち早く患者さんの自宅に駆けつけてPCR検査やコロナ患者さんの診療を始めたのも私たちが最初なんですよ。

そうした中で、患者さんや医療従事者が安心・安全に診療を進められるように全体の流れを整えるのが、私たちの役割ですね。

──そんな医療統括部で、マネージャーという立場に求められているのはどんなことだと思いますか?

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ファストドクターの特徴として、日々何かしらの変更点や改善点がありますが、現場に出ている医師や看護師たちが困らないようにそれぞれの業務内容を把握し、適切にアナウンスをしていく必要があります。通常の病院であればその場で言えることも、医師とのコミュニケーションがほぼオンラインだけで成立しているので、「伝えること」の技術力が必要になります。

また、もうひとつの特徴としてファストドクターはいくつもの部署が数珠つなぎに連なって物事が動くので、1つの部署だけで完結することは少ないです。医師や看護師たちへの改善と思って加えたフローが、他の部署にどういう影響があるのかなど全体を広く見る目が求められますね。

最も重要なのは、医師や看護師の環境改善を含めた管理能力です。2021年5月には、ファストドクターに登録する医師は1,100名を超えました。私が入社した2019年4月では300人強だったので、2年で約4倍の数になりましたね。

おそらくこれは都内の大病院の医師数に匹敵するのではと思っていますが、これだけの医師を抱える会社として責任も大きいと感じています。

そこで医療統括部としては医療品質管理の他に、医師たちの心身の健康・日常生活の充実や快適で働きやすい勤務環境の提供といった、ES(Employee Satisfaction)の取り組みも強化しています。

直近の取り組みとしては、2021年の夏から開始した「FastDOCTOR's Specialist」という活躍支援プログラムです。簡単に言うと福利厚生に近いのですが、「食」「健康」「子育て」などのライフスタイルシーンで使える特典の提供や、勤務のモチベーションを高めるようなツールの開発などを行っています。

これは医師が自ら意欲を高めて、健全なコンディションで長く活躍できる環境を提供することを目的にしています。普段勤務している病院にはあまり無いプログラムだと思うので、ファストドクターの独自性を楽しんでいただけるように今後更に盛り上げていきたいです。


──「ファストドクター品質」を守るために工夫していることはありますか?

ファストドクターは、患者さんに医療を届けるだけでなく、安心を届けることを銘売っているんです。

よって、患者さんのご自宅に上がる際の礼節はもちろんのこと、きちんと医師だとわかるよう白衣を着る、感染症予防のために防護服を着用する、患者さんの目の前で消毒を行うなど、安心できる気配りを怠っていないかどうか、患者さんからいただく声も含めて確認しています。

また、ファストドクターの医師には、往診後の受診時にファストドクターでの診療が正確に伝わるようにかかりつけ医へ宛てた診察内容の手紙を書いてもらっているのですが、診療情報として正しく記載がされているかどうかもひとつひとつチェックしていますね。

原動力は「悔しさ」。医療系 “IT” スタートアップらしいチャレンジを続けて、プログラムを組むまでに成長できた。


──様々な業務に取り組んでいる上柳さん。ファストドクター入社後、成長を感じたエピソードはありますか?

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ファストドクターには事務員として入社したものの、書類ひとつ作るにも、「製本って何ですか?」というレベルから始まりました。

もちろん、パソコンも十分には使えず…。ショートカットキーの「Ctrl+C」を押してコピーアンドペーストしたかったのに、「Ctrl+P」を押してプリンターが動いてしまったり(笑)。

そこで、基本的なショートカットキーから毎日少しずつ覚え、医師の管理データを取り扱うためにExcelの関数から始めて、SQLなども身につけていきました。

SQLに関しては「このデータをどうしたいのか」という概念すらなかった状態でしたが、詳しい同僚にレクチャーしてもらいながら、自分自身で膨大なデータを扱えたり、解決までのプロセスが見えたりするまでになりました。

──パソコン操作を覚えるところから、今ではプログラムを組むまでに…!上柳さんのその原動力って、どこからくるんでしょう。

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悔しいからですかね。医師一人一人に患者さんからのアンケートを手作業で配信していた時期がありましたが、丸一日かかる作業でした。

これも実は、関数を組むことで医師名を選択すれば医師毎のデータを抽出して、文章まで自動で作成するようなこともできるんです。

とにかく効率を重視したいので、自分でできたほうが早く済むことは「絶対に自分でできるようになってやる!」と思っています。

ファストドクターに入社してからは看護師のときには思ってもみなかった技術が身につき、「自分ってやればできるんだな」という自信もついてきて。
前向きに何でもチャレンジしようと思えるようになり、世界が広がっています。

今は、私以外のスタッフでも簡単にデータを扱えるように、GAS(Google Apps Script)を勉強中です。ボタンひとつでその人が見たいデータを取り出せたり、それを他の部署も横断して使えるような仕組みを自分で作れるようになりたいですね。

日々成長する会社の環境を整え、ファストドクター品質を向上させていく。


──上柳さんが、ファストドクターで目指していることはなんでしょうか?

診療現場の環境をさらに良くしていきたいです。会社の規模が大きくなればなるほど医師の数も増えるので、組織として医師をきちんと管理するのはもちろん、看護師や医師サポーターの品質を向上させるための教育課程を組んだりしたいですね。

ファストドクターの医師やスタッフが、安心して働き続けられるよう、業務内容の改善や働き方に応じた環境作りを目指します。医師やスタッフの勤務状況や勤務成績を見える化して、努力している人が評価されるような仕組みや、介入ポイントに即座にコミュニケーションできるような仕組みをつくっていきたいです。

──最後に、これからファストドクターでキャリアを積んでいきたいと考えている方にアドバイスをお願いします。

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ファストドクターで仕事をしていると、日々刻々と変化し、成長している会社にいるのだという実感が湧きます。

だからこそ、何か課題を感じたときに「自分が解決する」という気持ちで行動していると、どんどん進むべき道が拓けてくる会社です。経験したことがないことやわからないことでも、まずはやってみる。それを支えてくれる社員が揃っています。

ファストドクターに入社したら、ぜひいろんなことにチャレンジして欲しいですね。


<取材= 高橋まりな 文=小泉京花 撮影=Yuki Tsunesumi 編集=FastDOCTOR / staff note>


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