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海外観光客に「入ろう」と思わせる飲食店の条件とは

1.はじめに
2.いくつ当てはまる?これをやっていない店が多すぎる7つの盲点。
3.まとめ


1.はじめに

このnoteを読んでもらいたいのは、飲食関係の仕事に真摯に取り組んでおり、高級~大衆食堂問わず店で出す料理に自信があるものの、以下の点に心当たりがある皆さんである。

・オリンピック景気に期待している。
・今後は日本人以外の来店を増やして、毎月の売上をアップしたい。
・飲食業界で生き残るためには、多少伝統を曲げても柔軟な対応をすることが必要だと思う。
・店のコンセプトに迷いが生じている。

これらに当てはまらない人は、このnoteのターゲットではない。ゆえに、このようなセオリーは無視して、とことん自分だけの道を追求してもらいたい。
そういったお店には、そういった空気が好きな常連がつくものである。常連客のためだけの居心地のよい空間を維持することこそが今も、そしてこれからも最重要事項だ。

そして、上記4つに当てはまってしまった人には、ぜひこの先も読んでいただきたい。
多少なりとも、集客アップに寄与できる具体的な方策を見つけられる筈である。
今まで実施していなかった方策を実践し、最大のビジネスチャンスであるオリンピックの期間中に売り上げをアップすること、それを実現できる店が増えることこそが私の願いである。


2.いくつ当てはまる?
  これをやっていない飲食店が多すぎる7つの盲点。

言葉の通じない外国で飲食しようと思った時、こういった準備をしてくれている店だと入りやすいという例である。
ヨーロッパの観光地の飲食店では当たり前のように実践されているが、日本ではまだまだこの点をクリアしていない。日本が観光立国を本気で目指すのであれば、海外からの観光客をターゲットにする飲食店には、この7点の準備を提言したい。


★写真入りのメニューを用意する
言葉の通じない海外で一番助かるのは、実は写真入りのメニューだ。
外国語バージョンで写真入りメニューを用意できれば、客側も店側もかなり助かるだろう。
すべてのメニューの写真を用意できない場合は、おすすめやコース料理の写真だけでも準備しておこう。

★外国語のメニューを用意する
何ヶ国語も用意する余裕がない場合は、とりあえず英語のメニューを用意することをおすすめする。
理由は、何語に訳す場合であっても、自動翻訳の精度が英語は非常に高いからだ。
ちなみに、英語圏以外のヨーロッパの主な観光地では、メニューの4~8か国語表記は当たり前のように行われている。(英、仏、独、西、伊、露、中、日など)

★コース料理を用意する
近年の和食ブームで、日本のローカルフードに関心をもつ外国人観光客は多い。
しかし、海外で和食といっても、まだまだ寿司や味噌汁、天ぷらや焼き鳥程度しか知られていないことも多く、日本のレストランで何が出てくるのか知らない人がほとんどだと考えてよいだろう。
そんな時、料理名を知らなくてもメニューを選びやすいよう、定番のコースをつくってしまうのも手だ。
和食初心者、中級者、上級者などでターゲットを区切ってコースをつくるのも面白いかもしれない。
コースで出せば、時間配分を店側がコントロールできるので、回転率も上がる可能性が高い。

★有料のミネラルウォーターを用意する
世界的に見て、アルコールを飲まない層は増えている。
ケチっているわけではなく、単に健康や宗教上の理由だ。健康に留意する彼らが好むのものは、砂糖や人工甘味料が入った清涼飲料水ではなく、むしろミネラルウォーターである。
水が無料と思っているのは日本人くらいで、世界的には水は有料で提供することが当たり前で、アルコールよりミネラルウォーターの値段が高い国も沢山ある。
アルコールを飲まない=お金を落としてくれないではなく、アルコールを飲まない層向けに有料のミネラルウォーターを提供して、客単価をアップしよう。
ミネラルウォーターを置いていることをアピールすれば、水道水よりミネラルウォーターを飲みたいと思っている層の新たな呼び込みにも効果的だ。

★ベジタリアンが食べられる料理がある場合は、メニューに明示する
世界的にベジタリアンやヴィーガンは増えており、欧米の大都市に行くと当たり前のようにベジタリアンメニューを用意している店は珍しくない。
しかし、日本ではほとんどベジタリアンメニューを目にしたことがない。和食は野菜や豆を原料にした食材のバリエーションが多く、ベジタリアンであっても食べられるものが多いので、積極的にベジタリアン料理の扱いがあることをネットやガイドブックで発信して、慢性的に食事を取れる場所に困っているベジタリアン層をターゲットに設定することも可能だろう。
ところで、ベジタリアンメニューを提供する際にあらかじめ注意したいのは、和食に欠かせない出汁である。出汁やスープには、魚由来のものが多い。もし、本格的にベジタリアン層を顧客ターゲットにしたいのであれば、ベジタリアン対応の出汁を準備しておくべきである。

★入り口にWelcome to Tokyoなど英語を掲示する
Welcome to Tokyoとは一例で、とにかく海外観光客にとって入りやすい雰囲気をつくろう。英語メニューがある場合は、入り口にEnglish Menuと表示しておくだけでも違うはず。
文字がまったくわからない国を訪れて、知っている文字が出ている店を見つけるとホッとするもの。
ネットやガイドブックで集客の宣伝をしていない店であれば尚更、店の入り口の雰囲気が全てを決めると言っても過言ではない。自分が文字のわからない国に行ったとして、どういった雰囲気の店なら入りやすいかシュミレーションしよう。
またできれば、店のメニューと価格を入り口に掲載しよう。メニューにないチャージ(お通し、サービス料など)が入る場合はそれも併せて表示しておけば、入店後のトラブルも未然に防げる。

★インターネットで情報発信する
時間に限りがある中で、インターネットで情報発信するのは難しい。
けれど、数えきれないほどの飲食店がある中で観光客が何を見て店を選ぶかというと、今の時代はインターネットが多数派。
私の周囲で来日するビジネスマンや観光客を見ていると、まず調べるのは「Trip Advisor」の情報、という人が非常に多い。欧米からの観光客を増やそうと思ったら、まずは「Trip Advisor」への掲載を意識するべきだろう。また、Trip Advisorの情報の裏付けとして、何らかのSNS(お店の特性に応じて、Instagramなど)でアカウントを開設しておくのも有効だと考える。ホームページをいきなり調べる人はいないので、新規で観光客の来店を増やすことが目的であれば、ホームページ制作は後回しにしてもよいだろう。
ちなみに、中国だけはインターネット事情が異なり、世界的に有名なアプリであっても中国からは使えないものばかりだ。中国からの来店を増やそうと思ったら「日本美食」のアプリなど、そちら向けに特化した施策が必要である。


3.まとめ

皆さんのケースには、いくつくらい当てはまっていただろうか?
今日のnoteは、観光立国といわれる海外の観光都市にある飲食店と比較して、海外からの観光客を呼び込むために日本の飲食店に足りないものをまとめてみた。
すぐに実現できるものもあれば、人手が足りなくて着手できないものもあると思う。しかし、これらが観光客をターゲットにするのであれば最低限の条件になってくると思って、すぐに実践していただきたい。
日本での滞在経験が多くの観光客の心をつかんで、日本にやってくるリピーターを増やし、観光とその周辺産業が日本国内の景気回復に寄与することができればと願ってやまない。


(2020年1月23日・Naoko Tamura)

※海外向けの情報発信、個別の商品開発やブランドの海外進出、インバウンドビジネスなどについてのご相談は、プロフィールにある私のHPへのリンクからお願いいたします。


<プロフィール>
Naoko Tamura

貿易&食品ビジネスのコンサルタント。
14年にわたる商社勤務を経て、2012年2月に独立。長年現場で培った経験を踏まえ、日本と欧州各国を往復しながら、国内外の輸入卸商社や食品生産者、イベント企画会社のアドバイザーとして、日本と海外の会社の取引を円滑に進める助言や、国内外の市場での新商品開発・販路開拓・マーケティングのサポートをする。
法人だけでなく、海外事業やキャリア形成に関心がある個人事業者向けにも、コンサルやセミナー実施実績あり。
東京外国語大学イタリア語学科卒業。アメリカ、スペインに長期留学経験あり。東京都在住だが、1年の1/4ほどはイタリア~東欧~ロシアあたりに出張している。
ホームページ・・・ http://faruljapan.com/


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