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【イベントレポ】牧場経営者が語る、採用よりも先に力を入れたこと(3行まとめ付き)

7月30日に中標津で、こんなイベントが開催されました。

このイベントのざっくり3行まとめ

今回は、有限会社パインランドデーリィ専務取締役の松村孟さんを講師にお招きして、”スタッフの定着と採用”をメインに話していただきました。

このイベントのハイライトはこちら。

自身も牧場主である、”オフLINEサロン楽農”の卯野さんが主催するこのイベント。
当社ファームノートも微力ながらお手伝いをしてきました。

*こちらから見て、左が講師の松村さん、右が主催の卯野さん*

詳しい内容は、以下に続きます。

新卒で銀行に入社、実家の牧場に戻って5年目

とある銀行に新卒で入社し6年半勤務したという、松村さん。
その後、実家の牧場(パインランドデーリィ)に戻り、今年で5年目に突入したそうです。

パインランドデーリィは2001年にお父様が有限会社に法人化。経産牛720頭、未経産牛が750頭、飼養頭数は1,500頭。現在だと3回搾りの4時間搾乳だそうです。

スタッフの定着率が大事

2014年に実家の牧場に戻ってきた、松村さん。
「当時は、搾る牛が約400頭数いて、搾乳に6時間ほどかかっていました。」

500頭に増やす予定があったので人手が必要だったという松村さん。

一方で、2014年7月から2016年6月のスタッフ定着率は20%ほど。
せっかく採用しても定着率が低くては良くないと考え、定着率の底上げに着手したそうです。
なんと、2016年7月から2018年6月までの定着率は80%にまで到達
そんなパインランドデーリィでは、役員3名、スタッフは29名。男性18名、女性11名。外国人実習生は8名いるそうです。平均年齢は32歳なのだとか。

一体、どんな取り組みをしていたのでしょうか。
そのために実践した4つのことを話してくれました。

①ルール・マニュアル化

1つ目に挙げてくれたのは、”①ルール・マニュアル化”。

「特にこだわっているのが、ルールやマニュアルをシンプルにすること。」と語る松村さん。
覚えやすく教えやすいルールが、チームのPDCAを回しやすくし、新人が即戦力になるんだとか。

ルールやマニュアルがあっても使われないと意味がありません。
そのため、覚えてほしいルールをラミレートして掲示しているとのこと。

「目につく位置に置くようにしています。実はこだわっているポイントがあります。掲示に慣れてしまわないように、微妙に位置をずらしているんです。」

下の掲示はスタッフが提案してくれたものだそうで。


「スタッフがどうしたらいいか相談をくれたんです。僕が几帳面ってのもあって、そのときは嬉しかったですねー。」と微笑んでいました。

②怒りを我慢

2つ目に挙げてくれたのは、”②怒りを我慢”でした。

「口に出すことを我慢したり優しく伝えることで、仕事の質が上がってうまく回りだした印象があります。」

会場からは、まず取り組むべきこととしてどんなことがいいのか、質問がありました。
松村さんは、「仕事をしていると、スタッフにいろいろと言いたくなるのはわかります。ただ、”②怒りを我慢”だけはぜひ実践してみてほしいなと思います。」とアドバイスを送っていました。

③若い求人

3つ目に挙げてくれたのは、”③若い求人”でした。

「経験豊富な方も魅力的ではあります。一方で僕たちの場合は、会社の雰囲気や活力を担ってくれる若い方を積極的にフォローしています。」

また、仕事内容の吸収が早い印象があると話してくれました。

④信用できる人財を大切に

4つ目に挙げてくれたのは、”④信用できる人財を大切に”でした。

「信用できる先輩スタッフに新人をつけるようにしています。」と語る松村さん。

新人スタッフの活力や吸収力が、他スタッフにもいい影響を与えているようです。

管理職が成長してくれる効果も

こうした取り組みをやっていくことで、いい効果があったと語る松村さん。管理職のメンバーがどんどん成長してくれているんだとか。

「課題があったときは、ミーティングを開いて解決をしてくれているんです。管理職のメンバーが頻繁に良い提案をしてくれるので、驚いています。」

職場環境が良くなる効果も

「例えば、授精担当の1人が他スタッフにノウハウやスキルを教えて、教わったスタッフが別のスタッフに教えるという、いいループができはじめています。」

また、現場を知っている事務スタッフ、授精専属担当など、かゆいところに手が届くようなポジションを作れるようになってきて、新しい試みができるようにもなったんだとか。

これらが相まって、スタッフの気持ち自体が明るくなっていくのを実感したと語ります。

スタッフの成長を仕組みで支援

スタッフの成長が、定着を促してさらに牧場の成果につながると語る松村さん。

3ヶ月に1回ミーティングを開催。
”成長シート”を活用して、スタッフの成長度合いを評価しているとのこと。

ポイント制になっていて、定量的に評価しているそうです。
なので、評価が明確になって互いに納得度が高いのかもしれませんね。

評価制度で気をつけるべきポイントについても話してくれました。

松村さんの場合は、「上司が複数名参加することで、信用できる評価を作っています。」と、複数の視点を入れることでなるべくフェアな評価制度にしようと取り組んでいました。

また、「上司がスタッフにどうしても言いたいことがある場合、3つ以上良いことを伝えた上で、フィードバックしてもらっています。」と語ります。
スタッフに、またフィードバックを受けたいと思ってもらうことが重要なのだとか。

いい人材の採用も、やっぱり大事

スタッフの定着率UPの施策を進めながら、最近では新卒採用にも着手しているという松村さん。

「2018年に求人媒体に登録して大卒の方を8名ほど採用できました。確実に増えています。ただ、出稿すればすぐ採用できるかと言えば、決してそんなことはありません。」

媒体への出稿だけでなく、興味をもってもらえるように合同企業説明会に出展もしているそうです。

さらに、2泊3日のインターンに参加を呼びかけ、興味をもってもらう活動もされているようです。

また、松村さんの採用に対するこだわりポイントも話してくれました。

「内定を出しても、就活は続けてもらうようにしています。他の牧場さんとあえて比較してもらうことで、納得度を上げてもらうことにしています。」

この自信が、就活生にも安心感を与えるのかもしれませんね。

みんなカラーがある、1色も欠かしたくない

「今では雰囲気がよくなったんですが、まだまだ油断はできないです。」と語る松村さん。

「例えば、クレヨンのセットがあったとします。1色足りないとやっぱり寂しいですよね。今いるスタッフが1人も欠けることなくいきたいんですよね。スタッフの色を活かして、パインランドデーリィをもっともっと伸ばしていきたいと思います。」

***

以上、イベントレポートをお届けしました。

次回も企画中とのことなので、お楽しみに!

編集:秋山ウテ
取材日:7月30日


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