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丁寧な暮らしリターンズ

かつての私は「丁寧な暮らし」というものに憧れていました。

一人暮らしを始めたら、
健康のために自炊をして、
昆布とかつお節からおだしを取って、
レトルトや「〜の素」にも頼ることなく、
お昼はもちろん冷凍食品を使わない手作り弁当で、
お茶は家で沸かしたものを水筒に入れて持って行く。
クエン酸と重曹で掃除して、環境にもお財布にも優しい暮らしを。

…というのを引っ越した当初こそ張り切ってやっていたものの、今となっては「そんな自分は果たして実在していたのだろうか」と思うほど疑わしいのが現状です。

ほんだしもCookDoも冷凍食品も大好きですし、トイレクイックルもバスマジックリンも愛用しております。
あれは人間が最大限ラクをするために作り上げられた先人の知恵、いわば賢い方々による弛まぬ努力の結晶ですから使わないわけにはいきません。
別に私は花王の回し者でも何でもないですが、トイレクイックルなんて1枚で便器にカベ床どこでもサッと拭くだけで綺麗になるんですよ。素晴らしいではないですか。

とはいえ、職を失い時間だけはたんまりある現在、暇だと人間「今しかできないことをやってみよう」なんて考えたりするものです。
実は家事、主に料理の分野で以前からトライしてみたかったものが複数ありまして。それらをいくつかピックアップしてみます。
「丁寧な暮らし」アゲイン。いえ、リベンジ。

・カニクリームコロッケ

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ご覧ください、見事なまでに爆発したこの有り様を。ダイソーにもこんな粗悪品のタワシは売っていません。

作ってみて初めて分かったんですけど、コロッケ作るのって本当にクソ大変なんですね。あ、言葉が悪くて申し訳ありません。
じゃがいもの皮剥いて、茹でて、潰して、成型して休ませて衣つけて揚げて。時間も手間もとんでもなくかかる。
そのくせ完成品は写真のような出来なわけですよ。もちろん、製作者の技量が著しく低いことも認めます。認めますけども、あんなに苦労した結果がコレかよ…と。あんまりです。

しかもこの時はじゃがいもコロッケに加えてカニクリームコロッケも作ったのですが、カニなんてまず普通の日にはスーパーに並んでないし、マリーン(かにかま)で誤魔化すという悪知恵も働かなかったのでバカ正直にカニ缶を購入したのですが…もちろん缶詰といえどカニなのでなかなかの高級品です。
そして、カニクリームを作るのもこれまた大変だし、クリームがゆるいので崩れないように成型するのもひと苦労、なのに油に入れた途端に爆発するという。
さらに揚げ物なので後片付けも面倒くさい。

なんてコストパフォーマンスの悪い料理なのでしょう。これは大人しくスーパーのコロッケを買った方が楽だし安いし美味しいし、みんなハッピーじゃないか。なので私は夫に宣言しました。
「今後絶対にコロッケは作らない」と。

それ以来、コロッケを作れるという方に対しては思わず尊敬の念を抱いてしまいます。
もしも私が男性で、仮に専業主婦のお嫁さんをもらうようなことがあったとしたら、手作りコロッケ食べたいです。でも、その人が私みたいな性格だったらブチ切れられそう。


・たけのこ

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コロッケに対する恨みつらみが長くなってしまったので、今度はやって良かったと思えたものを。
先日noteのつぶやきにも投稿した写真ですが、この時初めてたけのこを茹でました。
スーパーにたけのこが出回ると毎年買ってたけのこご飯を炊いていたものの、茹でるの大変そうだな…と敬遠していつも水煮パックされたものを買っていたのです。

今年もたけのこの季節がやってきて、スーパーに並んだ皮付きの生たけのこが何だかとても美味しそうに見えて。今なら時間もあるしやってみるか!と挑戦してみました。

米ぬかと唐辛子を入れて、数時間コトコト火にかける。強烈なぬかの匂いに包まれた部屋の中で、茹で上がったたけのこの皮を丁寧に剥がしていく。
剥がし終わった姿が写真のものです。

念のため一晩ぬか水と一緒に冷蔵庫で寝かせた後、まずは例年通りたけのこご飯に。
ご飯が炊きあがって炊飯器のフタを開けた瞬間、湯気と一緒に顔面めがけてぶわっと立ち上ってくるたけのこの香り。
あれ、たまらないです。

一口食べた瞬間、違いがはっきりと分かりました。いつもの水煮パックのたけのこは少し水っぽい感じがありますが、こちらは口に入れた途端に風味が口中に広がる。歯応えもいいし、シャキシャキ噛むたびに味わい深くなるような。水分で味がぼやけるということもなく…とってもおいしい!これが本来のたけのこの味なのか、なんてちょっと感動しました。

2日目は牛肉と一緒に炒めものにして、残りはふたたびたけのこご飯にしていただきました。本当に美味しかった。
来年も時間に余裕があったら、また生たけのこを買ってきて家であく抜きするぞ!と心に誓いました。


・ぬか漬け

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ぬか漬け。それは、個人的に「THE・丁寧な暮らしの代表格」でした。
挑戦しようと思ったきっかけは、上記のたけのこのあく抜きに使った米ぬかが余っていたこと。
「ぬかと言えばぬか漬けだ!」という、何とも短絡的な発想によるものです。

とはいえ、実家にはぬか漬けなんてなかったし、祖父母の家でも食べた記憶がありません。
なので「秘伝のぬか漬け」とか「先祖代々に伝わる…」なんてあるワケもなく。
困った時にはGoogle先生です。生協のサイトが写真付きでとても丁寧に解説してくれて、良かったです。

これまた、野菜を漬けられるようになるまでは時間のかかるものなのですね。ネットでぬか床の作り方を調べていて初めて知りました。
米ぬかに塩とお湯を加えて、昆布と唐辛子、捨て漬け野菜を入れたら毎日混ぜて、数日後に捨て野菜を取り替えて、また混ぜて…を繰り返して、ようやくぬか床の完成。

まずはド定番のきゅうり、かぶ、白菜を漬けてみました。
1日2日後に引き揚げてみると、しっかり水分が抜けて、いい感じのしょっぱさと風味が!
目には見えませんが、ぬか床にいる菌がしっかり働いていてくれるのですね。生き物を育てているような感覚が、ちょっと楽しいです。

すっかりぬか漬けの魅力に取り憑かれ、特に気に入ったきゅうりを集中的に漬けていたのですが数日後に異変が。

ある日のきゅうりのぬか漬けを食べた夫が

お腹が痛い」と。

その日以前に漬けたきゅうりがしっかり漬かっていなかったこともあって少し長めに漬けていたのですが、さすがに長過ぎたのか。
確かに、少し緑色が変色していたかも…。
塩が足りなかったのか、食中毒の原因となる菌が発生してしまったのか。
ちなみに、その時のきゅうりを私は食べていません。夫には申し訳ないことをしてしまいました。
次回、もう一度漬けた野菜を今度は自分で食べてみて検証してみよう。それ次第でまたぬか床を作り直そうかな…

ちなみに写真ではプラスチックのタッパーを使っていますが、これ実はあまり良くないそうです。プラスチックの成分が溶け出す可能性があるとか…。ガラスとかホーローとか木とか、しっかりした材質のものの方がいいみたいです。

・おまけ

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ミネストローネを作るために刻んだ野菜ですが、ウサギの餌にしか見えなくなりました(ミネストローネは美味しかった)