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極東書店ニュースNo.732 日本人著者・編者 日本関連テーマ 注目タイトル

極東書店ニュースONLINE、2024年9月24日に新着書誌情報を追加いたしました(No.732)。その中から日本人著者・日本関連テーマの注目タイトルをご紹介いたします。全て予約注文可能です!

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八木紀一郎、塩沢由典、有賀裕二、西部忠、磯谷明徳編 進化経済学の現在と未来-日本の視点


Yagi, Kiichiro / Shiozawa, Yoshinori / Aruka, Yuji / Nishibe, Makoto / Isogai, Akinori (eds.), Present and Future of Evolutionary Economics : Japanese Perspectives. (Evolutionary Economics and Social Complexity Science 31) 340 pp. 2024 (Springer, GW) <732-158>

1997年に設立された日本の進化経済学会の25周年を記念し、日本人経済学者による進化経済学に関する論考を集めたタイトルです。

日本における進化経済学は、マルクス経済学やポスト・ケインズ経済学を含む非新古典派経済学、エージェント・ベース・モデリング、複雑性研究、比較経済システム、産業進化研究などとのコラボレーションによって発展してきたといえます。

本書の各章のバラエティは、日本における進化経済学の幅広い視野と多様なアプローチを反映しています。


重原久美春著 日本銀行、OECD、他


Shigehara, Kumiharu, The Bank of Japan, the OECD, and Beyond : Reflections from a Lifetime's Work. 451 pp. 2024 (Palgrave Macmillan, UK) <732-168>

日銀やIMF、OECDとゆかりが深い著者が記す、各国現代経済政策への評価をまとめた一冊。

1960年代以降、米国、日本、欧州の主要国においてマクロ経済政策がどのように実施されたか、また著者がOECDの高官、あるいは日銀のバンカーとして、国際貿易問題・保護主義・グローバリゼーション・地域統合・その他の関連問題にどのように対処してきたかについて、内部からの証言を提供しています。


武田晴人、渡邊純子編 21世紀の転換期の日本経済政策再考


Takeda, Haruhito / Watanabe, Junko (eds.), Rethinking Japanese Economic Policy at the Turn of the 21st Century. (Advances in Japanese Business and Economics 34) 256 pp. 2024 (Springer, GW) <732-169>

主に1990年代から2010年代にかけての日本経済に焦点を当て、日本の産業政策と財政金融政策を検証し、その成果と限界を歴史的観点から評価した1冊。「失われた10年(あるいは20年、30年)」とも呼ばれるこの時期については、さまざまな政策論議が行われたが、それらを歴史としてまとめた研究はまだ多くありません。

本書のもうひとつの特徴は、研究者だけでなく、政策決定者に近い立場にいる/いた人たちの寄稿を収録していることです。

著者ら自身の分析・見解・知見に加え、政策立案者へのインタビューや政策文書の収集など、他では見られない一次資料に基づいた論考が掲載されています。


氷鉋揚四郎、P.ネイカンプ他編 空間のスピルオーバー-アジアからの視点


Batabyal, Amitrajeet A. / Higano, Yoshiro / Nijkamp, P. (eds.), Spatial Spillovers : Viewpoints from Asia. (New Frontiers in Regional Science: Asian Perspectives 78) 316 pp. 2024 (Springer, GW) <732-178>

本編集本は、空間的スピルオーバーに関する新しい理論的・実証的証拠やケーススタディを、特にアジアにおけるスピルオーバーに焦点を当てて、一堂に集めた初めての本です。

本書の文脈では、空間的スピルオーバーとは、1つまたは複数の経済主体とその環境との間の、局所的かつ地域に根ざした相互作用であり、地域の経済成長と発展に影響を与えています。

アジアは今日、世界で最も急速に成長し、最もダイナミックな大陸であるため、本書の各章で詳述されている研究は、アジア地域での経済問題について実践的な指針が提起されています。


平川均他著 アジア経済開発の動学


Hirakawa, Hitoshi / Maquito, Ferdinand C., The Dynamics of Asian Economic Development : Understanding Asia and Its Ways Forward. 517 pp. 2024 (Springer, GW) <732-179>

本書の特徴の一つは、一国分析の枠組みを超えた「グローバル経済の中のアジア経済」というアプローチに基づき、半世紀以上にわたる地域経済としてのアジアの発展メカニズムを明らかにしたことです。

1980年代の新興工業国(Newly Industrializing Countries)から今世紀を迎えたBRICsに至るまで、新興国の発展は世界の注目を集めています。アジアを中心とする新興工業国経済の変化の内部メカニズムを解明し、地域発展の構造を明らかにするため、本書では多国籍企業の直接投資や、新興工業国が採用する具体的な政策の漸進的変化の重要性に着目しています。


木村福成他編 ASEANと東アジアにおけるサービスのグローバルなサプライ・チェーン


Kimura, Fukunari / Thangavelu, S. M. et al. (eds.), Services Global Supply Chains in ASEAN and East Asia : Implications and Opportunities for Regional Integration. xv, 335 pp. 2024 (Springer, GW) <732-180>

本書は、ASEANおよび東アジア地域におけるサービス・グローバルバリューチェーンの発展に関する分析的枠組みと実証的分析を提供する1冊です。

ASEAN加盟国およびオーストラリア、中国、インド、日本、韓国の東アジア諸国におけるサービスの発展と構造転換、サービスの自由化とグローバルバリューチェーンへの調整の地域的発展に関する議論に焦点を当てています。

観光・ビジネスサービス・流通・医療・航空・会計・金融・保険・BPOサービス・卸売・小売・知識集約型サービスなど、グローバルバリューチェーンの枠組みを用いた主要かつ具体的なサービス開発についても取り上げています。


寺本えりか、余田翔平、岩澤美帆、福田節也他著 日本における再婚の人口学


Raymo, James M. / Teramoto, Erika / Yoda, Shohei / Iwasawa, Miho / Fukuda, Setsuya, The Demography of Remarriage in Japan. (SpringerBriefs in Population Studies) 68 pp. 2024 (Springer, GW) <732-223>

本書は、日本における再婚に関する初の包括的な人口統計学的概観を論じた研究書です。

日本では現在、結婚の5組に1組近くが再婚者であるにもかかわらず、再婚の性質や初婚との違いについてはほとんど知られていません。本書の重要な焦点のひとつは、再婚における出生意図と結果を検証し、パートナー双方が初婚の結婚と比較することです。初婚率の低さが日本の合計特殊出生率(TFR)の低さの一因であることはよく知られていますが、再婚のレベルやパターンがTFRとどのように関連しているかを理解する理論的・実証的根拠は今までありませんでした。

人口動態統計の公表データと、国立社会保障・人口問題研究所が実施した「出生動向基本調査」と労働政策研究・研修機構が実施した「全国子育て世帯調査」の個人レベルのデータに基づいた、日本における再婚の水準と相関に関する基本的な記述的情報を本書は提示しています。


山崎敏夫著 ドイツにおける産業と銀行の関係性


Yamazaki, Toshio, Relationships Between Industry and Bank in Germany : A Historical Study of Personnel Connection Built Through Interlocking Directorate and Bank's Advisory Council System. 550 pp. 2024 (Springer, GW) <732-275>

ドイツ銀行、ドレスナー銀行、コメルツ銀行の事例をもとに、インターロッキング・ディレクターや銀行の諮問委員会制度を通じて築かれた人脈について歴史的かつ包括的に検証し、ドイツにおける産業界と銀行との関係の特徴と意義を解明しています。

銀行から産業界へ、あるいは産業界から銀行へと、人脈に基づく情報の流れやメディアを通じて経営課題の共通認識が促進される取締役会の連動プロセスを探り、ドイツにおける企業間の様々な利害対立が市場競争ではなく、話し合いによって解決される仕組みを解説。また、ドイツ資本主義と企業の発展史における産業と銀行の関係とその変遷を解明しています。


山崎敏夫著 日本の企業とドイツの企業-産業集中システムと経営管理の比較


Yamazaki, Toshio, Japanese and German Enterprises : Comparison of Industrial Cocentration System and Business Management. 524 pp. 2024 (Springer, GW) <732-278>

戦後日本とドイツの企業進出過程を分析・比較した、立命館大学の山崎敏夫先生の2冊目の新刊。

日独の特徴的な企業経営スタイルが「アメリカの経営手法の導入を通じて」進化し、かえってアメリカの脱集中政策とは対照的な産業集中システムが確立されたことを検証しています。

日本企業は、アジア市場が未発達だったこともあり、日米市場に適した経営スタイルを確立。一方、ドイツ企業はヨーロッパ市場に適した経営スタイルを確立していきます。本書では、徹底したコスト削減と不良品の少なさを前提とした日本型経営モデルの特異性を考察するとともに、製品の品質と機能性に基づく差別化を重視し、特に中核市場と従業員のスキルに重点を置いた対照的なドイツの経営モデルを明らかにしています。

企業拡大の歴史的過程を理解する方法を再構築し、経営の共通要因や特徴を通じて経営の比較研究を行うためのマイルストーンを提供する研究書です。


木嶋恭一他編 社会決定システム科学-東南アジアにおける理論と応用


Novani, S. / Putro, U. S. / Kijima, Kyoichi et al. (eds.), Social Decision Systems Science : Theory and Applications in Southeast Asia. (Translational Systems Sciences 42) 194 pp. 2024 (Springer, GW) <732-302>

本書は、意思決定システム科学の視点を社会システムに適用し、東南アジアの事例を用いて、その概念を説明しています。東南アジアは、世界で最も文化的に多様な地域のひとつですが、この地域で最大かつ最も人口の多いインドネシア(17,508の島々からなり、人口約2億8,000万人)に焦点を当てた論考が展開されています。

多様な文化を内包しているにもかかわらず、インドネシア国民の多くは集団性を重んじ、高い社交性と連帯感、すなわち共同体文化を示しています。インドネシアのビジネス文化では、意思決定の基礎として人間関係が絶対不可欠であり、日々の複雑な業務には、集中的な相互作用、交渉プロセス、調整が必要となる。このような状況では、単純化された仮定に基づいて生み出された一般的な理論やベストプラクティスが失敗することもしばしばあります。

本書では、このような問題を考慮し、複雑性を克服できる可能性のあるアプローチ ーSocial Decision Systems Science- を提起しています。


縣公一郎、稲継裕昭、城山英明編 日本における行政


Agata, Koichiro / Inatsugu, Hiroaki / Shiroyama, Hideaki (eds.), Public Administration in Japan. (Governance and Public Management) 427 pp. 2024 (Palgrave Macmillan, UK) <732-789> [オープンアクセス]

早稲田大学の縣公一郎先生、稲継裕昭先生、東京大学の城山英明先生による新刊。社会福祉、雇用、教育、財政、危機管理など日本の行政に関する様々なテーマをカバーしています。

専門家によって書かれた本書は、日本だけでなく、広く行政や公共経営に関心を持つ国際的な研究者や実務家に有用な一冊です。


国際システムにおける小国-日中に対するカリブ海の外交政策


Johnson, Kavita, Small States in the International System : Caribbean Foreign Policies toward China and Japan. (Global Foreign Policy Studies) 151 pp. 2024 (Palgrave Macmillan, UK) <732-847>

カリブ海の、これまでの西洋という伝統的外交パートナーからアジア太平洋への方向転換を考察した1冊。

本書はまた、中国と日本がカリブ海地域に関心を寄せる主な動機を、経済発展、政治的安全保障、世界的地位という論拠に基づいて検証しています。

中国が台頭し続ける中、日本は地域的、国際的に存在感を示すために活動を活発化させています。カリブ海諸国と中国および日本との関わりを検証するにあたっては、出来事、活動、プロセスを詳細に調査するケース・スタディ(ジャマイカとグレナダ)を用い、主に質的アプローチを採用しています。


佐橋亮、松田康博、青山和佳編 アジアの台頭-東・南・東南アジアにおける歴史と国際関係ハンドブック-


Sahashi, Ryo / Matsuda, Yasuhiro / Aoyama, Waka (eds.), Asia Rising : A Handbook of History and International Relations in East, South and Southeast Asia. (The University of Tokyo Studies on Asia) 304 pp. 2024 (Springer, GW) <732-889> [オープンアクセス]

アジアを定義する政治的、経済的、文化的な主要勢力について調査した1冊。

インド太平洋地域の歴史的および現在の重要性を強調し、特に世界の地政学における戦略的役割に光を当てています。著者は、詳細な歴史分析を通じて、植民地化と帝国主義から冷戦を経て、脱植民地化と民主化の波、そして中国の台頭まで、アジアの複雑な国際関係を包括的に理解できるようにアジアにおける地域主義のさまざまな側面を解き明かしています。


日本における視覚的対抗文化


Bohr, Marco, Visual Counterculture in Japan : Political Shifts and the Dynamics of Resistance. 224 pp. 2024 (Bloomsbury Academic, UK) <732-892>

テーマ別のアプローチを採用したこの学際的なテキストは、政治・ジェンダー・アイデンティティ・セクシュアリティ・検閲・倫理・災害などに関連するさまざまなカウンターカルチャーの言説を形成する上で、1960年代後半から現代にいたるまでの日本で、視覚的実践が果たした役割を解体していきます。


R.オウヴァリー著 東京、広島、日本の降伏


Overy, Richard, Rain of Ruin : Tokyo, Hiroshima, and the Surrender of Japan. 240 pp. 2025 (Norton, US) <732-893>

著者のオウヴァリーは第二次世界大戦に関する歴史や軍事史研究で著作が多く、邦訳も多数ある人物。本書は第二次正解大戦末期の空襲や原爆投下、日本の降伏への流れをたどる一冊です。

著者は、戦争と空爆作戦に関する専門知識を駆使して、これらの空爆、特に民間人への影響について正確に記述し、それらがどのように、なぜ起こったのかについてバランスの取れた評価を下しています。


鈴木誠一著 ゴート語における摩擦音有気化の発展


Suzuki, Seiichi, The Development of Aspirated Fricatives in Gothic : A contact-linguistic perspective. (Studies in Germanic Linguistics 9) 155 pp. 2024 (J. Benjamins, NE) <732-1404>

本書は、ゴート語における摩擦音の発達に関する主要な仮説を提示しています。

ゴート語とギリシア語のバイリンガル・コミュニティが、互いの言語の接触による音声の変化を引き起こし、拡散させたと考えられ、このような接触に起因する語形の充実が、音韻論的・形態論的組織において、フリカティブの根本的な再構築を促したと主張しています。

ドナウ川下流域のコミュニティはギリシア語とゴシック語のバイリンガルで構成されていたため、この4世紀半ばの革新的な摩擦音の発達が、聖書ゴシック語の音韻論的・形態論的アイデンティティを決定づけたと論じられています。


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