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アパレルの未来を切り拓く「カポック×誰も我慢しないエコ」【前編】

「ファンファーレが聴こえる」では、毎回、事業を通じて社会課題の解決に取り組む方の思いをお伺いしています。本記事のほか、実際の対談を記録したポッドキャストもぜひお聞きください!
第2回目のゲストはKapok Japanの深井喜翔(ふかいきしょう)さんです。本記事は前編と後編に分かれています。こちらは前編です。


プロフィール

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深井喜翔(Kapok Japan 代表)
1991年生まれ、大阪府出身。1日に10回以上「カポック」と発する自称カポック伝道師。2014年慶應義塾大学卒業後、ベンチャー不動産、大手繊維メーカーを経て、家業である創業72年のアパレルメーカー双葉商事株式会社に入社。現在の大量生産、大量廃棄を前提としたアパレル業界に疑問を持っていたところ、2018年末、カポックと出会い運命を確信。KAPOK KNOTのブランド構想を始める。
WebサイトInstagram

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近藤志人(ファンファーレ株式会社 代表)
crewwにて大手企業の新規事業開発、リクルートにて組織開発、大規模プロダクト開発などの経験を経て、2019年にファンファーレを創業。
Twitter


近藤:こんにちは、ファンファーレ株式会社の近藤です。「ファンファーレが聴こえる」ではソーシャルイシューに立ち向かう事業開発者をお招きして、事業への思いをお伺いします。今回第二回目は、私の友人であり、尊敬する人でもあるカッポックジャパン代表深井喜翔さんにお越しいただいています。   

深井:こんにちは。

近藤:まず、簡単に自己紹介していただけますでしょうか。

深井:はい。人にも地球にも優しいオンリーワンブランド、カポックノットというアパレルブランドを作っております。カポックジャパンの深井喜翔です。よろしくお願いします。

近藤:よろしくお願いします。

近藤:活動を始めてどれくらい経ったか、事業取り組みがどんなものか、教えていただいてもよろしいでしょうか。

深井:はい。今の事業の活動を始めてから、構想を含めると1年半ほど経ちまして、約7ヶ月前の10月6日にカポックノットというブランドをリリースしました。カポックノットは、『カポック』という東南アジアに自生する木の実の綿に着目し、はじめてダウンの代替として衣料の中綿素材に使った、人にも地球にも優しい衣類ブランドです。昨年冬にデビューしました。

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■だれも我慢しなくていいエコとは?

近藤:ありがとうございます。『カポック』というのは聞きなれない植物ですが、これをコート作りの素材として使おうと思ったのはなぜですか?

深井:『カポック』というのは、実は繊維業界では知る人ぞ知る素材で、大手各社が何度かトライをしたことがあるのですが、これまでなかなか商用化にいたりませんでした。カポックノットは、今回、新しい技術を用いることで様々な課題を乗り越え、商用化に成功しました。
『カポック』だけでなく広い意味になるのですが、僕は「エコなものは自分が我慢しないといけないものが多い」と思っていて、我慢の上に成り立つエコな業界って気持ち悪いなと感じていたんですね。その点『カポック』は、「あれ?エコだし自分も我慢する必要がなくていいじゃん!」と思ったのです。だから、様々な課題を乗り越え新しい技術を開発できました。

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近藤:『カポック』を使うと、どういう点がエコなんですか。

深井:カポックノットでは『カポック』を、鳥の命と引き換えにいただける羽毛のかわり、つまりダウンの代替素材として使っています。そのため、まず鳥を殺す必要がない。さらにカポックは木の実なので、植物由来といえども木を切る必要がない。木の実なので毎年なるものを頂くだけでいいのです。そういった点で非常にエコな素材として注目しています。

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近藤:なるほど。自分が服を買うとき、エコなものを意識的に選ぼうとする人ってまだまだ少ないと思うんですが、現状はどうなんでしょうか?

深井:そうですね。アメリカやヨーロッパでは、その風潮がすでに強くありますが、日本はなかなか浸透していないというのが現状ですね。私、じつは、前職は旭化成という会社で生地を売っていたんですね。その時に、日本向け・海外向けでリサイクルの生地を売っていたんですが、海外向けだと普通のリサイクルの商品が3割増しで売れます。でも日本ではリサイクルの商品が1割でも高ければ、「え?なんで高いの?」と言って買ってくれない。そういう点で日本と海外では大きな差があります。アメリカ・ヨーロッパではエコなものが高いということが比較的受け入れられているのですが、日本ではまだまだ受け入れられていないなという感覚ですね。

■アパレル業界全体が抱える大きな課題

近藤:なるほど。エコについて取り組むにあたっていろいろな領域の選択肢があったと思うのですが、深井さんがアパレルという領域でやろうと思ったきっかけや理由はありますか?

深井:はい。僕自身が創業74年のアパレル企業の跡継ぎでして、アパレルというものが身近にずっとありました。父はカシミヤ屋さんの生まれで、母は布団屋さんの生まれでして、一族界隈みな繊維、アパレルですというところに生まれてきたので、将来アパレルをやるんだろうなという意識はずっとあったんです。逆に、だからこそ服に興味ないという反抗意識があったのですが(笑)。結局戻ってきてアパレルをやっているという感じですね。

近藤:(笑)旭化成を辞めたあと、ご実家の会社に入社されたんでしたっけ?

深井:そうですね。3年前に旭化成を退社後、親が経営する双葉商事に入りました。

近藤:旭化成からご実家の会社に入社したときって、旭化成で培ったことを活かしてやっていこうと思っていたのか、それとも入社後、新しい新規事業を立ち上げる必要があって、「なにかできることはないか」と考えはじめたのですか?この事業を始めるにあたっての具体的なタイムラインを教えてください。

深井:めちゃめちゃいいところついていますね(笑)
完全に後者でして、入社のタイミングでは自分の親の会社がどんな状況でどんな商売をやっているのか、あまり正確に把握していなかったんです。ですから、親の姿をみていて、しんどそうだけれども5年10年でつぶれる会社ではないなと思っていました。70年続いているし、親もまだ60歳くらいで元気なので。正直ゆるく働けるかな、くらいの気持ちだったんですけども(笑)。いざ入社してみたら、5年10年でつぶれることも全然ありえる、アパレル領域というのが非常に厳しい環境であることを痛感しました。

近藤:厳しい環境であることを痛感してから、いろんな新規事業を模索し、行きついた先がカポックノットというブランドなんですか?

深井:そうですね。
双葉商事に入社して一番最初に衝撃をうけたのが、縫製などの工場をおいているカンボジアがここ5年間で最低賃金が2倍になっていることです。

近藤:へー。

深井:その5年間、僕が作って売っていた商品はずーっと上代1990円。上代って、いわゆるお客さんが買う値段ですね。最終消費者が買う値段は1990円のままなんです。しかし、最低賃金は2倍です。

近藤:なるほど、原価だけが上がっているんですね。

深井:どうやってその値段を成り立たせてるの?と疑問に思い、アパレル業界やその界隈の話を聞くと、みんな同じような状態なのだというのがわかりました。みなさん5年10年先のビジネスをどうしようとしているのか、誰も答えを持ってないんだなっていうのがわかって、新しい商流、新しい業態を作らないと未来はないと思い、そこから勉強をはじめました。

■ストーリーだけに頼らないソーシャルグッドな商品こそ強い

近藤:その中でも「アパレル×エコ」のような商流を掴もうと思ったのは、きっかけがあるんですか?

深井:そうですね。僕が大学時代からずっと勉強していたのが、いわいる企業の社会的責任、CSRとか「ソーシャルグッドとはなんなのか」ということだったので、それをやりたいなと思っていました。

近藤:うんうん。

深井:CSRとかソーシャルグッドとか聞くと、「それってボランティアなの?」といわれたりすることもあるんですが、地球に優しくって儲かるビジネスって世の中にいっぱいあるから、それをやればいいだけじゃないかって感覚が僕の中ではあったんですね。大学で勉強してきたのがそういった領域だったので、当然実現できるものだと思い、そういう軸だけは持っていましたね。

近藤:エコ領域は儲かるだろうという算段があったというよりは、自分の学生時代の経験から、「アパレル×なにか」というときに、エコとか社会貢献の領域でやっていきたいという思いが先行してたという感じなんですかね?

深井:そうですね。

近藤:なるほど。とりあえず単位を取るために大学で学んでいる人もいる中で、しっかりと自分の学んでいたことに対して興味をもって卒業した人っていうのは、日本の大学生の平均から考えると珍しいほうかなと感じてしまうのですが、それはなにか体験とかきっかけとかあったんですか?

深井:本当に大きな経験だったと思っていることがあります。大学2年生から入っていたゼミで毎年、宮古島に夏合宿にいくんですよ。遊びではなくて(笑)。
宮古島は小さい島ですけれども、障がい者の方々が働く福祉施設があり、クッキーや
郷土土産を作ったり、野菜を育てたりしていているんです。その商品のマーケティングをゼミ生が毎年手伝っていたんですね。僕たちはそこで作っているサラダほうれん草をテーマにして、どうやって宮古島島内での消費をあげるかっていうことを取り組んでいたんです。そのときに、その施設を運営している宮古島福祉学園の理事長さんが毎年言っていたのが、「障がい者が作ってるということを抜きにして売れるような状態を目指してください」ということでした。

宮古島

近藤:なるほど。

深井:「障がい者が作っている」というようなストーリーがなくても売れる、そんな商品でないと持続的ではないと思っています。僕が衝撃を受けたのは、営利目的ではない福祉施設の方がそれを目指しているということでした。ましてや、営利を求めるべきビジネスでそれができないわけがない、ストーリーもあるけれど、それに頼らなくとも売れるビジネスをやりたいという思いが僕の中にあり、それを胸に秘めて卒業しました。

近藤:おもしろいですよね。大学の時に自分の事業としてやっていきたい軸となるものができて、社会人として入った旭化成では、できないと言われていたことを実現するための技術を学び、ご家族が経営する会社に入ってからは、アパレル業界が抱える課題を知り人生経験の全てが現在の事業に役立っているという感じですね。(笑)

深井:(笑)ほんとにそうですね。
今までの経験が役に立っているということはすごく感じていて、いまやっている事業、カポックノットの事業に関しても、コアメンバーが大学の友人で成り立っているという感じです。

近藤:すごいですね。まわりにもソーシャルグッドな商品を作ろうよということに共感してくれる方たちが、はじめから結構いたんですね。

深井:そうですね。今回自分の事業を立ち上げて本当に人に恵まれているなと痛感しています。今回このカポックノットというブランドを立ち上げたばかりの時、誰も知らないブランドなんて、なかなか買いたいと思ってもらえないと思うんですけれども、最初に僕の知人70人くらいが3万円近くのコートを「買う!買う!」と言ってくれて、即日買ってくれたというのはすごい経験でしたね。

近藤:実際にここまで事業開発を取り組んでみての、手ごたえはどうでしょうか?

深井:手ごたえはめっちゃありますね。

近藤:めっちゃありますか。(笑)

深井:去年、クラウドファンディングに取り組んだんですが、クラウドファンディングの『Makuake』というプラットフォームを使ってリリースしました。その時に、見たことも聞いたこともないブランドの3万円のコートを、クラウドファンディングだけで550人買ってくれたのです。
見たことも聞いたこともないブランドの服を買うってだけでもすごいのに、それが3万円もして、さらに最初の1000着が売り切れてしまったんです。再販を重ねてなんとか供給しようと頑張ったんですけれども、それも追い付かない状況になりまして、予想をはるかに超える反響の大きさでした。

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深井:この経験から『カポック』というものを世に広めることが僕の使命だと思い、今回の起業に至っています。「人にも地球にも優しい」って言っているんですが、それって普通に考えれば二律背反ですよね。どちらかしか成り立たない、二律背反のことをやろうとしていると思うんですけれども、それに加えて「跡継ぎだけど起業家」っていう、新しい二律背反も、僕はいまチャレンジしています。
 いまこのコロナ禍で、世界が再構築されるだろうと考えている中で、二律背反へのチャレンジっていうのは、多くの人から応援していただいていますし、手ごたえっていうのはすごいありますね。

近藤:なるほど。この二律背反の1つ目である「地球に優しいんだけど人にも優しい」って、例えばみんなエシカル消費に興味はあっても、価格が10%高かったら「いつものでいいや」という意思決定をしてしまいがちというものですよね。これを、技術を組み合わせることでその商品の良さを生み、それを乗り越えたというのはとてもわかりやすい事例ですね。

後編に続く

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