見出し画像

ボクの友達は変わっている#6

2時間目の休み時間、ツヨシはいつものように、隠れてお菓子を食べていた。今日のおやつは、チョコソース入りのマシュマロだ。
「…ムシャ、マシュマロは軽いから、カロリーゼロ♪」
訳のわからない歌を口ずさみ、美味しそうにおやつを平らげた。

「はぁ、のんきにお菓子食べちゃったけど、なんか大変な事になったなぁ。」
最後に水筒の麦茶をゴクっと飲み干し、ツヨシはため息をはいた。
「鉄郎くんの気持ちもわかるけど、ドッキリなんてしたら、ゆうこちゃん嫌な気持ちになるよねぇ…。」
腕組みをして、うーんと考え込んでいると、キーンコーンとチャイムが鳴る。
「ヤバ!戻らなきゃ!」
ツヨシは大きな体を揺らして、急いで教室へ走った。

息を切らして、慌てて自分の席に着くと、すぐに先生が教室に入ってきた。
「あ、ギリギリセーフ…。」
鉄郎が横目で見ながらニヤっと笑っており、ツヨシは照れたように笑い、頭を掻いた。

給食が終わり、掃除の時間。ゆうこと男の子達は、戦隊ヒーローごっこをして遊んでいた。
「光の戦士!シャイニングレンジャー!レッド見参!」
ゆうこはホウキを持って格好良くポーズを決めている。

「はぁ、あんなに嬉しそうに戦隊ごっこしちゃって…。」
ツヨシは机を拭きながら、複雑な表情でゆうこを見ていた。

「なんだよ、罪悪感でも感じてるのか?」
「鉄郎くん…。そりゃ、あんなに楽しそうなゆうこちゃんを見たらさぁ…。
「ふん、あいつはいっつも強引なんだよ。ちょっとは痛い目見てもらわなきゃ、こっちの気が済まない。」
「…でも、ゆうこちゃん、悪気はないんだよー。ちょっと優しいとこもあるし。」
鉄郎は窓を拭く手を止めて、しばらく黙ってしまった。

「ねぇ、衣装の試着してくれない?」
昼休みの時間、めぐむが出来上がった戦隊の衣装を数着持ってきた。
「おぉー、めぐむ!出来たのか!?着たい着たーい!」
<すげぇ!本物みたい!><オレも着たい!黄色が良い!>
ゆうこや他の男の子達がめぐむの回りに集まってきた。

「鉄郎くんも行ってきたら?」
「はぁ、わかったよ。」
ツヨシが声をかけ、鉄郎は渋々みんなの輪に入っていった。

「鉄郎!見て見て!めぐむの衣装凄いんだよ!」
ゆうこは目をキラキラさせて鉄郎に話しかける。
戦隊衣装は、それぞれの色で、目まで覆われた仮面に、雷のマークの様な柄が入った、何ともカッコいいデザインだった。

「わぁぁ、本当に凄いや…。」
鉄郎はあまりの出来の良さに、素直に感動していた。
「ねぇ、鉄郎はブルーの衣装、着てみてよ!もちろんアタシはレッドだから!これは譲れない!」
ふふんっ、と鼻の下を擦り、ゆうこは鉄郎にブルーの衣装を勧めた。

鉄郎は少し照れながら、ブルーの衣装に袖を通す。仮面越しに見る、少し曇ったキラキラした世界に、鉄郎はワクワクし、この衣装でヒーロー役をやってみたいという気持ちが湧いてくるのだった。
「わぁ!すっごい似合ってるぞ!」
跳び跳ねて喜ぶゆうこに、鉄郎は照れて赤くなった。

つづく


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?