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【今週の週末ごはん】#40 秋の食材、あけびを味わう(1)~あけびのずんだ和え・くるみ和え、あけびの舞茸味噌炒めとあけび漬け

9月の声を聞いて食べたくなったのが“あけび”。

あけびは食べられないと思っている方の方が、全国的には多いかも知れない。あけびを食すのは全国でもほぼ山形・秋田に限られるそうだ。それもそうかも知れない。私にとってあけびは買うものではなく、その辺の野山で生るのをもいで食べるものだった。子供らは熟れてぱっくりと開いた実のゼリー状の甘いところを上手に種を吐き出しながら食べ、大人は苦い皮の部分を調理し、干して保存食にもする。
私が懐かしいのは専らその遊びとしてで、苦い皮は好きではなかった。山形育ちの父が好きで、親戚からも送られてくるので食卓には毎年上がったけれど、あのほろ苦さが子供の舌には美味しく感じられなかった。

ーーが、昨年急に数十年ぶりにその苦いあけびの皮が食べたくなり、例によってメルカリで譲ってくれる方を探した。山形から届いたのがこちら。野性味あふれる、私の記憶と変わらない茶色い皮のあけび。大きさや熟れ方がまちまちなのも、いかにも山で採れた感じでうれしい。送る当日の朝に裏山から採って来てくださったそうだ。

食べ慣れてはいても調理するのは初めてで、様々なレシピを見比べてつくってみたのが、あけび料理で最もスタンダードな天ぷらと肉詰め、それに実の甘い部分を使ったきゅうり漬け(こちらは別記事にします)。

天ぷらはさっと湯掻いてあく抜きしてから、食べやすく切って衣をつけて揚げる。
肉詰めは、だいたい入る具は豚または鶏ひき肉、舞茸、茗荷あたり。山形県人大好き紫蘇の実が入る場合も。これらを炒めて味噌と砂糖、酒で味付けし、実を除いたあけびの果皮に詰め、楊枝やかんぴょうで固定して多めの油で焼くか揚げるかして火を通す。
より苦みの強いあけびの場合はさっと湯通ししてから具を詰めるか、皮だけ先に揚げて後から具を詰めるバージョンもある。

紫蘇の穂と栗も一緒に。柑橘はへべすです
この茶色さがあけび
甘さとゼラチン質を活かしたあけびのきゅうり漬け。詳細は別途

この時のあけびは非常に野趣あふれる苦~いあけびだったので、夫と「苦いけど美味しいね」と言いつつ食べた。すごくデトックスになった感じがする。調理前にもっとしっかりあく抜きしておけばよかった。

ーーという昨年の経験を経た今年。
あけびを食べたくなった時期が昨年よりも早く、まだメルカリに出始めていなかったためJA経由で取り寄せたところ、

なんだかすごく綺麗…。
見たことのないすべすべつやつやの肌質に美しい紫色、販売用に栽培されるとこうなるんですね。なんだか別の植物のようだ。

調理法のリーフレットも封入されていた。

そういえば昨年は和え物にはしなかった(あまりに苦かったので)。今年のこの綺麗な実なら和え物も美味しいはず。あくが少なそうなので、そのまま炒めてもきっと美味しい。
そう思って、今回はまずこちらを作った。

◆あけびのぬた和え(ずんだ和え)、くるみ和え

あけびは実をスプーン等で除き、中を洗ってさっと湯掻いてから1cm幅程度に切る。

外した実はまとめておく。ジャムやジェラートにする方もいてきっと美味しいとは思うけれど、この大量の種を除くことを考えるとなかなか手が出せず…。

和え衣のずんだは茹で枝豆をすりつぶして塩と砂糖で調味、さっと炙ったくるみも同様。あとはあけびと和えるだけ。

どちらも美味しかったが、特によかったのがぬた和え。やはり山形の食べ物だけにぬた和えの味がしっくりと決まる。あくの強いあけびの場合はくるみ和えの方が美味しく感じるかも知れない。
ぬた和えについては、少し前にも書いているのでよろしければ。

◆あけびと舞茸の味噌炒め

山形の人々にとって、きのこと言えば断然舞茸である。故にこの料理も、しめじでも美味しいと思うがぜひ舞茸でつくりたい。
つくり方は至って簡単。お好きな方はくるみや茗荷を加えても。

1)先に合わせみそを用意。味噌、砂糖、日本酒をほぼ同量ずつ混ぜる(私の好みは砂糖少なめ)。豚肉(脂のある部位がおすすめ)は食べやすく切り、舞茸はやや大ぶりに割き、あけびは和え物よりやや大きめに切る。

2)フライパンに油を敷いて最初に豚肉、色が変わったらあけびと舞茸、あれば紫蘇の実を加えて炒め、全体に火が通ったら合わせみそを加えて全体に絡め、醤油をひとたらしして味を引き締めて火を止める。

驚くほどあくのないあけびなので、もっと薄味でつくればよかった。商用あけびは上品だ…。
まだ半分ほど残っているので、また別の調理法を試そうと思案中。

なお、この日は他に、以前取り上げた福井の郷土料理「麩のからし和え」、(以下の過去記事よりも現在はかなりラフにつくっています)

使いたいこんにゃくがあったので、薄切りにしてさっと湯掻き、叩いた梅干し大2粒、長ねぎ、青紫蘇と混ぜてとろろ昆布をのせた「こんにゃくの梅肉和え」

夫に大好評。数時間味をなじませるのがコツ

近所の人気もつ煮店の自販機で買った冷凍もつ煮の汁で煮たこんにゃくで増量したもつ煮、

こんにゃくでかさ増し作戦はよく使う手

こんがり焼いた厚揚げとねぎに青唐辛子の三升漬け(美味しく仕上がりました)、

確かにこういうの秋田や青森でよく見る

青唐辛子の卵焼きと、もやしで倍化させたグルテンフリー焼きそば。ちょっと食べ過ぎましたが美味しかった。お酒はビールと缶チューハイ。

じゃこ・紅生姜入り
非粉モノですが粉モノ風に

あけびの残りとあけび漬けについては別記事で。
あけびの漬物は、皮に具を詰めたあけび鮓もあるが、私が試しているのは余った実の活用法としての実を漬床にする方法。
今年はなかなか美味しくできました。

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