閑話休題「料理上手はイメージ上手」
私は料理人ですし、普段の会話の中で料理の話しをする事も多いのですが、しばらく話せば、相手の方が料理上手かどうか大体分かってしまいます。
料理好き、あるいは料理上手な方と話していると、どんどん話しが膨らんで行くのに対して、料理が苦手な方と話すと料理の話しからすぐに別の話題に切り替わったりします。
こういった事は料理に限らずですが、やはり好きな事だったり得意な事の話題というのは話しが膨らみますし話していて楽しいですね。
私の様に元々職業として料理をする人間は、どうしても考え方が頑固になる傾向がありまして、肉の焼き方はこうでなければとか、魚の扱いはこうしなければなど、若い頃に叩き込まれたノウハウがついつい柔軟な発想の邪魔をします。
ところが、一緒に働いている主婦の方と話しをすると、ホントに柔軟に料理を捉えていてとても勉強になる事も多いです。
例えば、私がコックの見習いをしていた約30年前は、まだ今ほどアボカドが一般的ではありませんでした。
当時、厨房で先輩にアボカドの実を取り出すのにスプーンを使ってくり抜くようにすると教えて貰い、以降ずっとその様にしていたのですが、あるとき主婦の方から包丁で半分に割ったら後は手で皮を引っ張って剥いた方がずっとキレイに剥けると教えていただき、やってみたら本当に無駄なくキレイに剥けたので驚いた思い出があります。
ところで普段スーパーで買い物をする時に、最初に何を作るか決めずにとりあえずお買い得な商品を買ってきて、献立は後から考えますか?それとも最初からメニューを決めて買い物をするでしょうか?
勿論どちらでもいいのですが、失敗をする可能性が高いのは買った後から献立を考えるパターンです。
料理を上手に作るコツは、何と言っても出来上がりをしっかりとイメージする事です。
これは味は勿論、盛り付けに至るまで「最終形」を具体的にイメージ出来たならよぼど途中で邪魔が入るなどしない限り失敗はありません。
買い物の前にメニューを決めて買い物する場合だと、このイメージングがしっかり出来ている場合が多いのですが、とりあえずお買い得品を買ってきた場合は、この最終形のイメージングなど当然出来ていませんので、結果的に何だか訳の分からない料理が出来上がるといった事が起こります。
料理上手な人でもたまにやらかしてしまう事があるとすれば、こういったパターンの時ではないでしょうか。
私の場合、自宅で料理をする時よりも職場で調理をする時に、このイメージングが出来ない事がたまにあります。理由は栄養士がたてた献立を見て作るからで、見た事も食べた事も作ったこともないどころか、材料と調味料から必死にイメージを膨らまそうと頑張っても、どうしてもイメージ出来ない献立というものが存在します。
そういった事が無いように、事前に翌日の献立表を確認する様にしているのですが、諸般の事情でそれが出来ない時に、たまたまそういった事態に遭遇すると「う〜ん、困った」となるわけです。
だから不味くても仕方がないとは勿論言うつもりはありませんが、もし病院や社員食堂などで「う〜ん、困った」といった料理に遭遇したら、ひょっとしたらそんな事情があるのかもしれないですよといったお話しでした。
*アゼリアカルチャーカレッジ
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