クリニック建築の工夫

今日は設計士さんにクリニックの図面の訂正をお願いしました。どんなことを考えてそのお願いをしたのかを綴ってみます。

診察室間の移動と奥への通路

整形外科のクリニックではよくある作りですが、診察室が横に並んでいて部屋同士が繋がっています。数多く診ないといけなくなると、患者さんの移動時間がもったいないからです。空きの部屋で待ってもらって前の人が終わったら、ドクターが移動する。もはや当たり前の光景です。

以前の計画では診察室が横並びで、その奥にギプスなどの処置用の部屋がありました。ちょうど診察室で隠れてしまっていたので、奥の部屋に行くためだけの通路が必要で「アクセスが悪いなぁ」と感じていました。しかし、部屋の大きさを詰めると細長くなるのでそれもいまいちです。

今日の変更ではドクターが移動する部分をアクセス通路になるように診察室を縦に配置しました。これで移動もでき、患者さんのアクセスも問題ありません。無駄な通路を1つ消すことができました。こういった細かな点まで頭の中でシミュレーションしながら作っています。

スケッチ

この変更は同時に診察室が全て大きなキッズスペースから見えるようになり、キッズスペース自体の広さも増す結果になりました。患者さんが診察の進行状況がよく分かるようになり、アクセスも良好になりました。

加えて、休診時に施錠するドアの数も減らせて良いことずくめです。

広くなったギプス室には工作機械も置ける広さを確保でき、装具のその場での手直しなんかもできるといいなと思っています。

授乳室の使い勝手の向上

ある程度広めのスペースを確保していました。
ここで実際に使う状況を想定すると、きっと座った状態が楽になるようにが一番良いのだろうと考え、ソファーを設置する予定に。

部屋の一番奥にソファーがドンとあるのはスペースの無駄。
さらに扉から一直線だと入るのに気を遣ってしまうので、横長の部屋にして、入口とソファーの位置が直角になるように配置しました。

これであれば扉が仮に不意に空いたとしても中まで見えないため、衝立などを置く必要もなくなります。
同時にクリニックの一番奥の目立たない場所に移し、静かな空間になれば良いと思います。

スケッチ 2

スタッフ導線の確保、廊下の削減

やはりここには一番気を遣います。スタッフが移動する手間や扉を開ける数をできるだけ少なくするコトが目標です。

外を回って移動していた導線を中に収納し、扉の出入りを1回減らせました。空いた通路のスペースは部屋を広げることに繋がりそうです。

階段の位置も少し変更し、廊下をできるだけ減らして空き部屋を広げます。
開院後はもちろん大規模な工事ができないので、できるだけ今のうちに邪魔にならないところに空いたスペースを作っておきます。

スタッフが増えると更衣室が足りなくなったり、物が増えて置き場所がなくなったり、あらゆることを想定して準備をします。

特に細かな物品はまだ良いですが、車椅子やバギーなどはいつどうなるかまだ想像つきません。


今日は普段耳にしないクリニック建築の内情について記事にしました。
こういった内容に興味があるかたはリアクションいただければまた追加であげてみたいと思います。

中川将吾
小児整形外科専門ドクター


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