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U18NFAリーグ1部シーズン前期の振り返り~奈良県高校サッカー界は史上稀に見る大混戦となった~

今年の2月に奈良県高校サッカー新人大会決勝戦をネット観戦して感想を投稿した下記添付noteにも書いたのですが、今季のNFAリーグ1部はまだ前期日程を終了した段階ですが、正に群雄割拠時代を象徴したシーズンとなっています!

それでは早速ですが2022年シーズンのNFAリーグ1部の現時点までの戦績をご覧ください。
(日程未消化2試合あります)

前期リーグ戦績表【2021年6月25日】
前期リーグ対戦表【2021年6月25日】

どうですか?
飛んでもないぐらいの大混戦なんですよ!
更に畝傍高校vs香芝高校が第1節未消化で残しているので実質どちらか勝った方が首位に浮上するアドバンテージ付きです!

実際は奈良育英高校のTOPチームがプリンスリーグ関西2部に所属しているので、実際は県内トップ10の順位とは言えないのですが、それでも奈良育英2ndチームがしっかり首位の生駒高校に勝点1差で追従しているので、ある程度の指標にはなるとは思っています。

でもチーム関係者以外は一般観戦不可のため現地でリーグ戦を観戦する事が許されていないので、奈良県高校サッカー界の勢力図に今何が起こっているのか、出来れば観戦した方々に各校の印象を教えて頂けると本当に嬉しいです。

そのため私は戦績表と対戦表とインハイ予選の結果を見ながら各校のチーム状態を想像していきたいと思います。

2022年インターハイ奈良大会

■1位【生駒高校】
インターハイで初優勝してリーグ戦も暫定ながら首位と文字通り奈良県を代表する高校に名乗りをあげたと思います。

試合を見ずとも公式戦のスコアを見ている限り、例年通り堅守で最少失点で乗りきり、少ない得点でもきっちり勝っていくチームと想像できます。

そのためリーグ戦ではドロー4試合と手堅く勝点を積み上げて相手チームへ簡単に勝点を与えず、公立高校なので一般受験で入学してくる限られた選手のポテンシャルを、大事に育て生かしながら勝ち切れるチームに仕上げているのだと思います。

さすが元Jリーガーの監督さんだけあってチームの構造(骨組み)をしっかり作ってらっしゃると想像できます。

全国大会に出場したことで来年以降に選手が集まる様なら、今後更に強くなる可能性を秘めた高校だと思います。

■2位【一条高校】
過去に6季連続全国大会出場など県内での無双ぶりを発揮していた一条高校も、ここ数年は全国大会からも遠ざかり鳴かず飛ばずの状態が続いています。

リーグ戦では珍しく前期で既に4敗も喫するなど接戦は全て落としており例年より勝負弱くなっている様な印象も受けます。

市立高校のため一般受験できる地域性に制約あるかもしれないので、以前の様にポテンシャルの高い選手が集まりにくいのかも…とも考えられます。

数年前に監督が代わり結果を残していた時代の保守的な手堅いサッカースタイルから、積極的に両サイドから攻撃を仕掛けるスタイルに変わり、観戦する側としてはゲーム内容的に面白く感じられる様になって、私は好きなスタイルなのですが、こう結果に現れないと周囲からのプレッシャーもかかってスタイルが戻ってしまわないかが心配です。

もしかすると保守的な手堅いサッカーに戻せば県内では再び勝てる様に復活するかもしれませんが、それだけでは全国大会で勝つのは厳しいので、個人的には今のスタイルで選手のプレー精度を上げていき、内容結果の双方で常勝校としての復活を待ちたいです。

■3位【畝傍高校】
リーグ戦序盤は勝ちきれず勝点が伸び悩みましたが第5節からの4連勝で一気に上位へ浮上して、その勢いはインハイ予選でも現れ躍進のBest4に進出しました!

スコア上ですが生駒高校同様に堅守からの最少失点で接戦をものにして勝点を積み上げた印象です。

畝傍高校も監督が元Jリーガーという事でトレーニングで原理原則が落とし込まれている可能性は十分あると思います。

県内屈指の進学校のため、こちらも一般受験で入学してくる選手になるので、ポテンシャル的な厳しさも生駒高校より一段とハードル上がっているのにも関わらず、チームとして躍進している事にとても驚かされます。

やっぱりサッカーを理解する力が備わっていれば、まずチームとしての構造が作れるので、それでも十分強いチームに変わるんだ!という証明になったと思います。

ただ進学校ゆえにインハイ予選が終わった時点で3年生が引退している可能性が高い為、後期は2年生を中心とした新チームとなっている事から、未消化試合を含めて残り10試合は選手権予選に向けて新チーム成長の場として、選手を試す起用が増えるのかな…と思います。

そうなれば、ここから勝点の積み上げは簡単では無さそうなのですが引き続き頑張ってほしいです!

■4位【山辺高校】
昨季インハイ予選で優勝して本大会に出場し、選手権予選もBest4に進出とリーグ戦も2部で準優勝という事で、1部昇格を果たして今シーズンは一気にプリンスリーグ参入に挑戦できるのでは?と勝手に思っていました。

1部昇格した初年度も開幕当初は第2節から4連勝で一時は首位に立って順調に見えていましたが、インハイ予選開幕前頃から急に失速しだして負けが増えて、現在4位と少し調子を落としている感じが否めません。

得点力は一条と並びリーグ1位でありながらも失点の多さが気になる状態で、チームの守備対応に不安定さを露呈しているのかもしれません。

サッカー部の実体となるボスコヴィラサッカーアカデミーは何かある毎に問題を起こしており、選手集めにも苦労している事は想像できるので、クラブ創設から順風満帆と思えた今シーズンも一転して暗雲が立ち込めている印象です。

そのため後期リーグ戦でチームを立て直して戻って来れるのか、いろんな意味も含めて今後の課題は多そうに見えます。

■5位【奈良育英高校2nd】
開幕連敗スタートしましたが第3節以降は調子を上げて、接戦をものにしながら順調に勝点を積み上げる事が出来て、2ndチームでありながらもインハイ優勝した生駒高校とスコアレスドローで勝点をもぎ取り、チームとして選手層が厚い事を証明できていると思います。

逆にTOPチームは昨季県リーグと選手権で2冠を取り、新チーム以降も新人戦で優勝したあとプリンスリーグ関西2部でも開幕3連勝と、仕上がりは順調に見えていましたが、インハイ予選では準決勝で優勝した生駒高校に敗れ、プリンスリーグも現在5連敗中と目に見えて調子を落としている状況です。

当然こういう状況下になるとTOPチームと2ndチームの選手の入替も今後は出てくるので、チーム内競争として切磋琢磨しながら選手それぞれが成長していく可能性も高く、現時点では奈良育英が奈良県下で頭1つ抜け出した存在になりそうな予感がします。

■6位【香芝高校】
過去に選手権本大会に出場した実績のある香芝高校も過去2年は選手権/インハイ予選ともに早々に敗退したり、リーグ戦も下位に沈んだりと戦績が振るわず低迷期を迎えていたと思っていましたが、今季は新人戦でBest4に進出したりインハイ予選では準優勝と復活の兆しを見せ始めてきています。

リーグ戦も現時点では未消化試合の畝傍高校に勝てば首位に浮上できる位置につけており、当然ながら後期も勝点の積み上げを期待できるチームになってきていると思います。

因みにコロナ禍前の観戦していた頃の印象だと選手任せのゲーム運びで、チームに構造がない行き当たりばったりのプレーを選択する印象だったんですが、あれから何があって今のような復活劇を果たしているのか興味があります。

やっぱり指導者が交代したとかあるんでしょうか…

■7位【法隆寺国際高校】
第2節でも生駒高校に勝つなど開幕連勝スタートなど序盤は調子にのり山辺高校と首位争いをしていましたが、第6節以降は急に得点が取れなくなり現在4連敗中のまま、シーズン前期を折り返して調子を落としている様に見えます。

それでも個人的には開幕前の予想を大幅に覆しての勝点12は立派でまだまだ上位に食い込むチャンスは残っていると思います。

その為にも7月で予定されているであろう橿原戦/生駒戦の2試合が一番の踏ん張りどころで、連敗を止めて勝点3、4を積む事が出来れば、再び首位争いの混戦の中に割って入れるので、今後の巻き返しを期待したいと思います。

それと微かな記憶でコロナ禍前の3年前頃のリーグ戦を観戦していた時に、法隆寺国際の監督さんらしき方の声かけやハーフタイムの指示を聞いて、この指導者なら今後は強くなって来るかも…と思っていたので、もし監督さんが今も同じ方なら納得であります。

■8位【橿原高校】
橿原は例年リーグ戦終盤の9月に調子を上げて勝点を積み上げてくるので現在の順位でもあまり心配はしていません。

雨天順延となった未消化の試合も5連敗中と調子の上がらない郡山戦なので、2巡目スタートとなる法隆寺国際との直接対決に勝っておけば、一気に上位へ浮上するチャンスも十分あるので後期の大躍進を大いに期待しています!

■9位【五條高校】
開幕連勝スタートで今季も優勝争いするんだろうなと勝手に思っていた五條ですが、何と第3節よりまさかの5連敗を喫して、現在それを含めて7試合勝ちなし継続中のままシーズン前期を折り返しました。

これはかなり深刻な状態と思っていて昨季は選手権/リーグ戦ともに準優勝しているのに、多少なりとも昨季メンバーが残っている中で今季のリーグ戦とインハイ予選の戦績に正直困惑しています。

以前に観戦していた頃の五條は、何となく香芝と同じ様な選手任せのチームに構造がないサッカーをしている印象があったので、ゲーム中に上手くいかなくなるとイライラして攻撃に閉塞感が出てしまう等、改善修正が難しいのかな…と今季の低迷ぶりの要因をそんな風に想像しています。

それにしてもリーグ戦2巡目の後期3年生が引退して新チームになっている高校から少なくとも確実に勝点を積み上げておかないと、来季2部降格の危険性すら現実味を帯び出している状況だと思います。

■10位【郡山高校】
現在リーグ戦は5連敗中とスコア的にも守備面で苦しい状況が続いている様な印象があります。

昨季もリーグ戦は9位で本来なら2部降格でしたが奈良育英のプリンスリーグ参入により1部残留したのが良かったのか悪かったのか…

結果論になりますがチームの成長考えれば2部降格しても実力相応な相手とリーグ戦を切磋琢磨した方が良かったのかもしれないです。

どうしても負け続けるとメンタルがネガティブ思考になってしまい、プレーに集中力が欠けて雑になってしまう懸念があり、チームにとってはあまり良い状態とは言えず、サッカーを嫌いにならないか心配です。

後期は3年生が引退して新チームとなった事が良いきっかけとなり、少しでも自信がつくようなゲームが出来る事を期待しています。

■総評
今季の様な『史上稀に見る大混戦』の要因として考えられるのは、堅守のチームが増えた事と、それを上回れる攻撃力で得点できるチームが減った事で『引き分け』が増えて勝点差が開かなくなり、上位~下位の差が縮まったのではないかと推測できます。

この現象を『small football』に流れていると言って良いのかは別として、これまでは守備対応が雑で緩いチームが多かったので、多少の個人能力があればで個々の仕掛けで得点出来ていたのに対し、近年しっかり守備ブロックを組めるチームが増えてきた事で、これまでの様な個人能力の仕掛けだけでは、簡単に得点できない時代が来ているのかな…と想像しています。

言い換えれば今までの様に個人能力に頼った攻撃から、チームとして戦術的に前進できて必然性のある得点シーンを作れるチームが、この大混戦を頭1つ2つ抜け出せるチームに成長すると思います。

是非とも今シーズン後期のリーグ戦をいろんな期待を込めて楽しみにしたいと思います。

だから現地で試合を見たいです!


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