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外国君主の多くは、退位後も公務に従事

上皇陛下のお出ましは「二重権威」?

 2020年(令和2年)1月2日、皇居・長和殿において、新年恒例の一般参賀が行われた。これには公的活動から遠ざかっていた上皇ご夫妻もお出ましになられたが、天皇との「二重権威」につながりかねないとして、一部で批判もあった。

 では、近年退位した外国君主たちは、どのような日々を過ごされているのだろうか。後継者たちに何もかもを任せ、隠棲されている方ばかりなのか。先に結論をいうと、全然そんなことはなく、むしろ退位してからも公的活動に従事される方のほうが多い。

前オランダ女王ベアトリクス(2013年4月退位)

 2019年10月2日、第二次世界大戦中のナチス・ドイツによるプッテン襲撃(Razzia van Putten)の75周年記念式典に参列された。市長はウィレム=アレクサンダー王を招待したものの叶わず、代わりに前女王が参列されることになったのだという。

 毎年10月2日に開催されるプッテン襲撃記念式典には、例年数百人が参列するという。50周年である1994年には当時在位中の女王が参列され、2014年にはルッテ首相が参列した。わが国における全国戦没者追悼式、広島平和記念式典などのような大規模なものではないにせよ、式典の公的性格は強い。

 数日後の10月9日にはドルトレヒトに新設されたオラニエ公ウィレム1世像の除幕式に参列されるなど、退位後も多忙な日々を過ごされているようだ。

前カタール首長
ハマド・ビン・ハリーファ・アール=サーニー
(2013年6月退位)

 「ファザー・エミール(Father Emir)」として、大きな影響力を保持。2017年にショッピングモール『Mall of Qatar』のオープンセレモニーに参列され、2018年にカタール国立コンベンションセンターで開催された第4回世界保健サミットの開会式に出席されるなど、数多くの公的活動に従事されている。一部報道によれば、今なお舞台裏で国を引っ張っていると推測されている。

 晩餐会の主催者として、息子であるカタール首長やバーレーン首相ら多数の高官を招いたこともある。日本の上皇ご夫妻の場合も、天皇ご一家を招く形で食事を共にされることはあるが、カタールのように外国要人などの招待を伴う大々的な晩餐会を主催されることはない。

前ベルギー王アルベール2世
(2013年7月退位)

 健康上の理由から退位されたこともあってか、公的活動からほぼ完全に引退されている。2016年の報道によると、故国ベルギーを離れてほとんどイタリアのローマで人目を気にすることのない生活を楽しまれているようだ。

 なお、上皇陛下の退位は健康上の理由によるものとはされていないので、このアルベール2世の事例はあまり参考にはなりそうにない。

前スペイン王フアン・カルロス1世
(2014年6月退位)

 2019年6月1日を以て、一切の公務・公式行事から身を引かれた。言い方を変えれば、2014年に退位されてからもおよそ5年もの間、王族として公務・公式行事に携わっておられたわけである。

おわりに

 ここまで見てきたように、外国君主の多くは退位後も公務に取り組まれている。翻ってわが国の上皇ご夫妻に目を向けてみれば、芸術鑑賞などへの私的なお出ましが時折ニュースになるくらいのものである。

 退位後も公的活動に従事されるケースが多い外国の君主たちをみるに、たかだか一年に一度の新年一般参賀に参加されるくらいで「二重権威」の懸念が云々というのは、明らかに過剰反応であるように思われるのだが……。

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