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優しい王様

昔々、ある国に優しい王様がいました。
王様はどんなときでも困っている人を助けるのが大好きでした。
彼の心は、まるで青空のように広く、優しさでいっぱいでした。

この王様のことが大好きな女の子が一人いました。
名前はミユ。

彼女は毎日、王様の城の前で遊びながら、王様の優しさを見守っていました。
王様が村の人々にお金を配ったり、土地を譲ったりするたびにミユは心が温かくなりました。

しかし、王様の優しさは少しずつ国を困らせていました。
王様はみんなに必要なものを与えすぎて、国の財政がどんどん厳しくなっていったのです。
村人たちは最初は喜んでいましたが、次第に不安になっていきました。

ミユは心の中でつぶやきました。
「こんなに優しい王様なのに、どうして国がなくなってしまうの?」
彼女は王様の優しさが大好きでしたが、みんなの心配を理解することもできました。

ある日、とうとう国はお金を失い、土地も奪われてしまいました。
王様は村人たちから怒られ、国民の期待に応えられなくなったことをとても悲しんでいました。
「みんなが幸せになると思ったのに、どうしてこんなことに…」

ミユは王様の側に駆け寄り、彼の手を優しく握りました。
「王様、私はあなたが大好きです。あなたが優しいことは、何よりも素晴らしいことだと思います」

王様はミユの言葉に少し驚きました。
「ありがとう、ミユ。でも私の優しさが、みんなを不幸にしてしまったんだ」

その時、ミユは大きく深呼吸しました。
「でも、優しさは大事なものです。だから、みんなで協力して新しい国を作りましょう。王様が与えるだけではなく、みんなで力を合わせるのが大切なんです」

王様は考え込みました。
そして、心に決めました。
「そうだね、ミユ。みんなで助け合えば、きっと新しい国を作れるはずだ」

王様はまず、村人たちに集まってもらいました。
「私はあなたたちに与えるばかりではなく、みんなで力を合わせることが大切だと気づきました。これからは、みんなで協力して国を再建していこう!」

村人たちは最初は戸惑いましたが、王様の優しい言葉を聞いて少しずつ心が動きました。
「王様がそう言うなら、私たちも力を貸します!」

ミユもみんなの顔を見て、笑顔になりました。
「私たちで力を合わせればどんなことでもできるよ!」

その後、村人たちは手を取り合い、農作業や商売を手伝い合いました。
王様も一緒になって、みんなのために働きました。
そして、少しずつ、国は元気を取り戻していきました。

王様は自分の優しさを与えることから、支え合うことへと変えていきました。

ミユはそんな王様を誇りに思いました。
優しさは一人では成し得ないものだと、みんなで育てていくものだと気づいたのです。

数年後、国は再び豊かになりました。
村人たちは王様を心から尊敬し、ミユもみんなの幸せを見て嬉しくなりました。
王様と村人たちは、新しい国の未来を共に築いていくのでした。

そして、ミユはいつまでも王様を大好きで、優しさの本当の意味を胸に抱いて生きていきました。
王様とミユ、そして村人たちの心は、いつも温かく、優しさにあふれていたのです。

おしまい。

あなたの近くにも優しい王様はいますか?教えてください。

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