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青春との別れ

出張買取

 先日、実家に一時帰省いたしました。
理由は、実家に積んであった昔の雑誌やコミックスの出張買取の立ち合いと箱詰め作業のためです。

出張買取というのがちょっとややこしくて、

・申し込みはネットか電話にて。
・配送業者さんが来てくれる。
・本人確認と振込口座は引き取り先住所のものが必要

3番目が厄介なんですよね。

売りたいのは私なのですが、積んであるのは実家です。
となると、実家に住所を持っている親の身分証と口座が必要だと問い合わせた時に言われました。

かといって、

この数の雑誌と、コミックスも88巻までのワンピースと他にもいくつかのシリーズの完結分をセット売りで100冊を超えており、ダンボール9箱の回収でしたが、これを自分で持ち込みなんて不可能でした。

生前整理

 私の実家には、母親と、母方の祖父の2人が住んでいます。
私が実家から出たのが2016年の8月。一人暮らしを5年と少し経験し、入籍のため引っ越しをして現在に至ります。
 年末年始や春の大型連休などがあれば、顔見せに実家に帰省していましたが、同じ大阪府内のためコロナ渦と言えどまぁ大丈夫かなという気持ちで、対策は意識して定期的に戻っていました。

 大阪市内に住んでいると、実家にいるエリアに行くとバスの本数も少ないし、駅から遠いし、いわゆる「ベッドタウン」と呼ばれるような印象の地域です。

 そしてここ数年、祖父の年齢も母親の年齢も私の年齢と同じ分だけ重ねたこともあってか、帰る度に私に関する衣服であったり、モノについての断捨離を求められます。

 恐らくこれが「生前整理」ってやつなのかなと思います。

 中学や高校時代に私服として着ていたような服は、デザイン的にもサイズ感も違っていてもう着れません。必要だと思った服については、最初に家を出る時に持ち出したつもりでしたので、正直いつ捨ててもらってもいいという覚悟でした。
 しかし、親からすると一応確認が必要だと思っていたようで、とある帰省時に一晩かけて「いる、いらない」の判定を一気に行ったこともあります。
恐らく捨てるのが面倒だっただけだと思いますが。

 そして今回は、思い出の雑誌たちとコミックスの売却を決意しました。
こればかりは、私の青春時代そのものと感じることがあり、帰る度になつかしさを感じ、「わー、この声優さんがこんなに若いなんて」なんてアルバムを振り返るような気持ちでした。

 しかし、いつしか帰ってもその雑誌が積んであることに満足して、開くことすらなくなり、インテリアのようになっていました。

 それに気づいたとき、恐らく今後も開くことはほぼないんだろうと思ったのです。

送り人

 買い取り当日、トラックでスタッフの方が訪問され、ダンボールを渡してもらって書籍を詰め込んでいきました。
スタッフさんからは、

「本来なら僕がやらないといけないのに、すみません」

と言われました。

私は、

「いえ、私の青春時代を共にした大事なものなので、僕にやらせてください。しっかりと送り出したいんです」

と答えました。

私にとっては今回の売却品もゴミとは思っていませんでした。
お金になるならそれに越したことはないけれど、捨てて消えてしまうくらいだったら、誰かのところに行くチャンスがあるなら、その方が報われるだろうと思って我が子のように思っていました。

結局、作業は15分程度でした。

後日、連絡があり

「値段がついたのが334点、総計は3,401円」

とのことでした。

私の青春時代の今の価値が数値化された瞬間でした。

しかし、ずっとモヤモヤしていたことが1つ減ったということにもスッキリしましたし、お金になったならそれはそれで嬉しい限りです。

今考えると、産まれたらあとは死ぬまでを過ごす。
その瞬間から終活は始まっているのだなと感じました。

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