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健康経営とCSR

"健康経営"と"CSR"には深い関係性があることをご存知でしょうか?
多くの企業では健康経営の担当部署(人事部/健康保険組合など)とCSRの担当部署(広報部など)が異なっているため、健康経営とCSRを結び付けて考えている方は少ないと思います。しかし、「健康経営に取り組むことは実はCSR活動の一環になっている」ということを本noteでお伝えします。

健康経営に関するお役立ち情報をお届けする「健康経営のすすめ」は、健康経営支援ツール"FairWork survey"をご提供する株式会社フェアワークが運営しています。フェアワークへのお問い合わせはこちら

健康経営とは

経済産業省は以下のように定義しています。分かりやすく言うと、企業の経営目的達成のために、企業で働く人たち一人ひとりの健康を大切にしよう。という取組です。

従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践すること。企業理念に基づき、従業員等への健康投資を行うことで、従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や株価向上につながると期待される。

CSRとは

”CSR”とは「Corporate Social Responsibility」の略語で、日本語に訳すと「企業の社会的責任」という意味になります。CSRは、企業が社会や環境と共存し、持続可能な成長を図るため、その活動の影響について責任をとる企業行動であり、企業を取り巻く様々なステークホルダーからの信頼を得るための企業のあり方を指す言葉です。

日本でCSRという言葉が本格的に使われるようになったのは2000年以降ですが、それ以前から労使間紛争や公害問題、不正行為など企業活動が社会や環境に与える様々な問題が生じており、これら問題が生じた際には企業に何らかの責任があるのではないかという議論がされていました。

また企業の活動領域が拡大していく中で社会に対するインパクトが無視できなくなってきたことから、企業は経済だけではなく社会や環境にも配慮した経営を行い、将来世代に対する世代間公正を保証しつつ足元の経営を行わなければいけないという考えが浸透していきました。そしてCSR元年と言われる2003年に主要国首脳会議(エビアン・サミット)でCSRがG8宣言の経済課題に盛り込まれるなど国際的な流れへと繋がっていきました。

その後もCSRは一過性のブームで終わることなく、2010年代においては、CSRの国際ガイドラインとしてのISO26000整備、国連による持続可能な開発目標(SDGs)の採択など、企業はますますCSRに関する活動が求められるようになってきています。

健康経営とCSRの関係

CSRの評価手法はいくつかありますが、ここでは前述したCSRの国際ガイドラインであるISO2600を参考に、健康経営とCSRの関係を見ていきます。

ISO2600には7つの中核主題が設定されており、健康経営は中核主題の中の「③労働慣行」と強く関係しています。

<ISO2600の7つの中核主題>
①組織統治、②人権、③労働慣行、④環境、⑤公正な事業慣行、
⑥消費者課題、⑦コミュニティへの参画及びコミュニティへの発展

労働は商品ではない」(1944 年国際労働機関(ILO)フィラデルフィア宣言)という基本的原則のもと、組織がすべての労働者に対する平等な労働機会を確保し、公正かつ労働者の安全と健康に配慮した労働条件・労働環境を整備するとともに、政府・雇用者・労働者の代表者間の交渉・協議・情報交換などの社会対話の重要性を認識することが求められています。

このように健康経営や健康投資に取り組むことは企業のあるべき姿の1つであり、自社の健康経営の取り組みをステークホルダーに向けて発信・対話することは、CSR活動の一環と言うことができます。

健康経営とCSRを結び付けた例

健康経営とCSRを結び付けている企業の例を紹介します。

<事例1:オリンパスグループ>

会社が様々な活動を進めるにあたっては、従業員が健康でいきいきと働ける職場環境を整えることが大前提であるとの考え方にたち、オリンパスでは健康保険組合と協力し、従業員およびご家族の健康の維持・増進をしっかり支援していくことを経営として明確にするため、健康宣言を作成しました。
(出典:オリンパスグループHP/CSR活動/CSRに関する方針・制度・規定・取組

<事例2:ヤフー>

ヤフーでは、代表取締役社長による「健康宣言」のもと、すべての働く人が心身ともに最高のコンディションで業務に従事することができる企業を目指し、さまざまな取り組みを行っています。具体的には、生活習慣病対策やメンタルヘルス対策、過重労働対策、女性のための健康支援などを実施しています。そしてそれを推進するために、人事部門の統括本部長とYG健康保険組合理事長を兼任する執行役員の湯川 高康がCCO(Chief Conditioning Officer)として就任しています。
(出典:ヤフーHP/CSR/社会課題解決/#3誰もが活躍できる社会の実現

<事例3:ブラザーグループ>

ブラザーグループは、モノ創りを通して優れた価値を創造し、世界中のお客様に製品やサービスを提供するため、全ての従業員がグローバルに日々活動しています。
その活動の礎である「ブラザーグループ グローバル憲章」に示されているように、従業員が長期にわたり才能とスキルを発揮するためには、一人ひとりの健康管理が重要であると考えています。
(出典:ブラザーグループHP/CSRの取り組み/ステークホルダーの皆さまとともに/従業員とともに

まとめ

CSRやCSR活動と聞くと環境活動や社会貢献活動を思い浮かべる方も多いと思いますが、企業がその企業活動に不可欠な従業員の健康をどのように維持・改善していくかもCSR活動の対象に含まれています。そして、従業員の健康や活力向上に繋がる健康経営の取り組みは正にCSRに資する取組です。

健康経営担当の方は自社の健康経営がCSR活動して企業の果たすべき責任の一翼を担っていること、そしてCSR担当の方は企業の果たすべき責任の一つとして従業員への健康投資が求められていることを意識して、社内連携を深めてみてはいかがでしょうか。


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