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メンタル不調を防ぐコミュニケーション(アサーション)

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このマガジン「健康経営のすすめ」ではマクロな視点で健康経営に関する内容をお伝えしてきましたが、今回はミクロな視点でメンタル不調を防ぐ職場のコミュニケーション手法の1つ「アサーション」をお伝えします。

アサーションとは

アサーションとは「自分も相手も大切にする自己表現」として1970年代にアメリカで注目を浴び始め、現在では世界中に広まっているコミュニケーション方法です。人と人とのコミュニケーションはこのアサーションを含め3つ存在しているとされています。

「非主張的(Non-assertive)」
 自分の気持ちや意見を言い損ない無力感を感じるコミュニケーション
「攻撃的(aggressive)」
 強引に主張して相手に苦い想いをさせるコミュニケーション
「アサーション」
 上記2つ以外の自分も相手も大切にする自己表現

私たちが日常で感じる人間関係のストレスの裏側にはアサーティブでないコミュニケーションにより生じる問題が多々存在しています。例えば、上司から攻撃的に自分の業務についてダメ出しをされストレスを感じることや、攻撃的な上司に反論として自分の意見を伝えることができずストレスを感じるといった経験を皆さんもお持ちではないでしょうか。
メンタル不調を削減するために、アサーションの視点からコミュニケーションを改善しストレス要因を減らしていくことが大切です。

アサーションの例

アサーションを用いたコミュニケーション例として、とあるIT企業が1 on 1などで上司から部下へ業務のフィードバックをする際に行われるコミュニケーションを紹介します。部下へのフィードバックに際しては厳しい言葉をかけるとパワハラ問題や部下がメンタル不調に陥る問題が発生するリスクがあります。一方でフィードバックを伝えなければ部下の成長を妨げてしまうため、どのようにフィードバックするかのさじ加減に頭を悩まされるマネージャーは多いと思います。そこで、この企業が意識しているポイントを紹介すると「否定せずに伝える」ことです。例えば、
「良くない点」、「ダメな点」、「直して欲しいこと」といったネガティブな表現を使わず、「向上の余地がある点」、「成長の余地がある点」、「改善の余地がある点」など”伸びしろ”として捉えることができるポジティブな表現でフィードバックをしています。このようなコミュニケーションをとることで部下は非難されているという意識を持たず、次へのステップアップに向けたフィードバックをもらっていると受け取り方をします。
これはまさに「自分も相手も大切にする自己表現」と言えるでしょう。

アサーションと人権

アサーションに関する歴史にも少し触れていきます。
アサーションは元々「非主張的(Non-assertive)」な人に対するカウンセリング方法として開発されました。しかし、世界にこの考え方が広まったキッカケは女性や黒人の人権回復運動に貢献したことです。人権運動の歴史においては権利を主張をしなければ差別はなくならず、攻撃的に反応すれば対立が激化するという状況がありました。しかし、1970年代ごろから、自分たちがどういう立場にあり何を望んでいるかを暴力に訴えずに伝える道を進んだのです。この方法は自分も相手も大切にする自己表現、”アサーション”であり、差別撤廃に向けた運動の推進に大きく貢献したのです。このことから攻撃的にならずに自分の正直な想いを表現し理解を得るアサーションというコミュニケーション方法は世界中に注目されるようになりました。また、人権尊重のコミュニケーション方法として、自他ともに与えられるアサーション権という呼び方もされるようになりました。

アサーションを身に着けることの利点

アサーションを身に着けることには以下のような利点があります。

・メンタルヘルスへの貢献
 非主張的な人はストレスをためこんでしまい、うつや心理的な問題を抱えてしまいます。そのため、アサーションをコミュニケーションに取り入れることでストレスからの開放や人間関係の向上が望めます。一方で攻撃的なコミュニケーションをとる人がいると雰囲気の悪い職場となりメンタル不調者がでるリスクが高まります。そのため、アサーションを取り入れたコミュニケーションを職場に浸透させることで職場のストレスを軽減しメンタル不調者を削減することができます。

・組織の創造性の強化
 リーダーシップの研究にて、よく話を聞くリーダー、自由な話し合いの場を作るリーダー、課題解決の場で1人1人の発言を重視するリーダーのもとでは新しいアイデアや創造性を生みやすいとされています。アサーションでのコミュニケーションを意識し自由な意見が飛び交う職場を作ることが組織の創造性向上に繋がります。

・部下の教育やフォローアップに
 冒頭で例示しましたが、部下の改善点などをアサーションを用いて伝えることで上司と部下ともにストレスを抱えることなく仕事に対する意識改革などを促すことができます。

・コンプライアンスの向上
アサーションコミュニケーションが活発な職場では気が付いたことや気になることを安心して発信することができます。その結果コンプライアンスに反するような情報が伝達されやすくなり問題解決に迅速に取り組む組織構造となります。

まとめ

相手に配慮したコミュニケーションをとることが大切な一方で、自分の考えていることを発信しないことも最適ではありません。感覚的な概念で具体的にどうしていけば良いかは難しいですが、まずはアサーションというコミュニケーション方法を少しづつ生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。

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