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また夏が来る。

「誰かに恋しなよ」

ってあなたが言った。笑いながらそう言った。ひどい男。あなたはとってもひどい男だ。私があなたに恋してるって分かってるくせにそんな傷つく言葉を言うんだよね。

平日の夜にだけやってきて甘い言葉で私を包むくせに、たまにそうやって私を突き放す。

じゃぁ他の誰かに恋しようかとちょっと心を動かすと、あなたはすぐに気づいて私を強く抱きしめる。どこにも行くなよ、俺のものでいろよって体で私に訴えかける。

そうしてまた、私はあなたに溺れる。

「君は自由だよ」

って言うくせに、自由になろうとする私の手に鎖をかける。見えない鎖は見えなくて外せない。

私は私だけを見てくれる愛がほしいのに、私がほしいのは私だけを見てくれないあなたの愛。それじゃ、永遠に手に入らないんだね。私のほしい愛。


「ねぇ、今度、花火を見に行こうよ」

私が明るくそう言うと、あなたは笑って頷く。

「ねぇ、今度、赤い観覧車に乗りたい」

私がウキウキしてそう言うと、あなたは笑って頷く。


どれも叶わないのに、頷かないでよ。

どれも叶わないけど、頷いてよ。


どの言葉も拒否しないあなたが私は好きだから。


#短編小説 #超短編小説 #掌編小説 #愛 #拒否 #あなた #花火 #観覧車 #夏



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バラの花びら はらり〜
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エッセイ、小説、イラストなど、いろいろと思い浮かんだことをほぼ毎日書いています。ときどきコンテストや企画にチャレンジしています。「#磨け感情解像度」コンテストで「佳作」をいただきました。note学園では古文を担当しております。

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つい創作意欲がわき書いてしまった小説たちです。短めの話がほとんどですが、一部前編・後編ものや連載しているシリーズも入っています。書き始めたときは誰かに読んでもらうのがあまりにも恥ずかしかったんですが、もうすっかり慣れました。小説にまつわるあれこれもたまに書いています。

コメント (6)
逢坂さん
やっかいな男ですね。笑。
もしや私ってやっかいな男好きなのかも?!
屈折した感情を表現するのがわりと好きです。
人の感情って複雑ですよね。そういうややこしさも人間らしくて魅力的なんですよね。。
いつもありがとう。
優まさるさん
夏といえば観覧車です。
赤い観覧車の良い写真が見つけられなかったんですけど、赤い観覧車ってどこにあるのか関西の人なら分かる有名な観覧車なんですよ。
格好よく「君は自由」って言いながら、束縛してますよね。この男性。。
コメントありがとうございます。
あぁ…想い人を 今年の花火に誘っていいのか 否かを考えている あたすに 突き刺さって 抜けないよ 椿ちゃん!笑
どうしてくれるの!笑
ふゆほたるさん
それはもちろん誘いましょうよ!
がんばって。。一緒に花火見たら幸せでしょうね。。
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