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クリスマスツリー

夜、月の光にきらめくクリスマスツリーを見に来た。キーンとした冷たい空気を感じながら、あなたと一緒にツリーを眺める。

「歩いて近くまで行こうか?」

あなたがそう言ったから、二人で歩きはじめた。寒くて凍えそうだからしっかりあなたにくっついて、ゆっくり歩く。ときどきマフラーを強く揺らすほどの風が吹いて、二人で体を小さくする。

私は去年のクリスマスを思い出していた。

街のいたるところにクリスマスツリーが飾られていて、ツリーが現れるたびに私はちょっと立ち止まってそのキラキラを目に刻んだ。小さなサンタさんやお星さま、かわいいプレゼント、子供たちもワクワクするけど、大人もウキウキする。

いくつかのツリーで足を止めたときにふと、私と同じようにツリーの前で立ち止まる人に気づいた。それがあなただった。

あなたは足を止めてはカメラを構えた。ツリーを撮っている。角度を変えて数枚。私はツリーと一緒にあなたも見はじめた。次のツリーに移動するたびにあなたが私の視界に入ったから。

あなたの後ろ姿がツリーに重なる。

私は鞄からスマホを取り出して、カメラをツリーに向けた。スマホの画面にクリスマスツリーとあなたが一緒に入る。とっても綺麗だ。

シャッターを押す。

カシャッ。

思ったより大きなシャッター音があたりに響いた気がして、恥ずかしくてちょっと慌てた。ツリーを撮ってるけどあなたも撮ったから。

次のツリーまで歩くときは、あなたの後ろをそっとついて歩いた。あなたは一体あと何枚ツリーを撮るんだろう。誰のためにツリーを撮ってるのかな。プロのカメラマンなのかな。なぜかあなたの後ろ姿が温かい。

その次のツリーに立ち止まったとき、また私はそっとスマホを向けた。

シャッターを押そうとした瞬間、あなたがこっちを振り向いた。

ドキッとした。

だって後ろ姿だけじゃなくて、あなたの笑顔もとっても温かく見えたから。

「僕のこと撮ったでしょ?」

って笑いながら話しかけてきてくれたあなたの声が白く霞む。

今年のツリーもあなたと一緒に写真を撮ろう。ほら、もう少し歩いたらたどり着くからね。ゆっくり、ゆっくり前に進んでいく。

私の隣にはあなたがいる。

私の隣には大好きなあなたがいる。



お気持ち嬉しいです。ありがとうございます✨