見出し画像

甥っ子の話

こんにちは☺︎
エッセイ投稿します🦕
甥っ子が持っている世界の話です。読んでいただけたら嬉しいです☺️

——————————————

私には甥っ子がいる。愛らしく、やんちゃな男の子だ。
会うとひざの上にのってきてくれる。すごくかわいい。
彼が日々健やかに成長していくのを見守っていると、成長過程で脳が発達していくにつれ、彼自身の中にある世界が広がっていくのを感じる。その世界の中には甥っ子が好きな妖怪たちが住んでいて、爬虫類をはじめとしたたくさんの生き物たちがいる。きのこも生えているし大きな自然があり、木の実もたくさん落ちている。その世界の解像度は、彼の知識や想像力が豊かになる程増していき、全貌はどんどん豊かになっていく。
ふと自分のことを省みる。今の自分にはこんなふうに、時間を忘れるほど熱中できて、好きなものがあるだろうか。そういうものは、かつて自分の中に存在したけれど、私が大切にし続ける努力をしなかったせいで、ほとんど消えてしまった。私には、こんな年齢まで好きでいるべきではないという思い込みや、大切にしなくても好きなものたちや好きという気持ちがずっと存在してくれるだろうという自惚れがあった。でもそれは間違いだった。私は、夢中になれるものが薄れてから過ごす毎日の中で、好きなものがあるということがどれほどすばらしいことで、自分の希望になっていくかということを理解した。好きなものに向けられる情熱が、無限に湧いてくるものではないことも。
だから一層、甥っ子にはずっと、自分の世界を持っていてほしいと感じる。別に世の中に言ってまわらなくてもかまわない。なんとなくつらい日や不安な気持ちの日、大きな孤独の中にいる時、自分を救ってくれる何か。そういうものが、甥っ子の心の中にずっと居続けてくれることを、老婆心ながらに祈っている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?