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物語を贈るということ

今日、本を、好きな子に贈った。

贈り物。

本を贈るというのは正直プレゼントとしてはあんまり良くない類いだと思う。ただの押し付けに近い。というか紛うことなく気持ちの押し付けだ。自分の好きなものを相手に知ってもらいたいという勝手な思いで贈っているから。本来プレゼントは相手が喜ぶべきものを選ぶはずなのに、自分の気持ちを共有して欲しい理解して欲しいがために贈っている。加えて本は極めて能動的なメディアだ。音楽や映像と違って(語弊があるね。ごめんニュアンスを汲み取って欲しい)流しておいて楽しむことはできない。楽しむためには自らページを捲るしかないのだ。だからあげるときは相手が欲しがっている時にしか、さらに相手を見極めてしか送ることは無い。

けれど選ぶときは本当に楽しい。元々プレゼントを贈るのは好きなほうだ。プレゼントのセンスはあまり良くないけど、本に関してはある程度の知識があるから、どんなジャンルがいいかなとか作者はどういう人が良いとか文体はどんなのがいいかとか、たくさん考えられる。そしてとにかく相手が気に入ってくれるかな。それに尽きる。

僕が選んだこの一冊が君の心の奥の何か柔らかい部分をそっと包んでくれるような、そんな大切な一冊になることがあれば、更に君の部屋の本棚に並べてもらえるなら、それより嬉しいことはない。

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