vs YouTube

「んんん~~~~!」

2歳の息子が突然騒ぎ出した。
慌てて持っているスマホを確認するとYouTubeの再生中に入った広告に怒っての奇声だった。
1歳半ぐらいにYouTubeを見せると集中してじっとしているのをいいことに外出時静かにしてほしい時はもちろん、車の中、食事中も見続けてしまうほど依存してしまった。
さすがにまずいと思って注意してもまだ聞ける年齢じゃないし他のおもちゃを与えてみてもYouTubeには勝てなかった。

こうなってしまったのも最初に見せた親の責任。
辞めさせるにも責任もって親が協力していかなければならないがここで2人の意見が割れてしまう。
妻は、

子供の好きなことなんだから好きなだけ見せてあげたらいい

と言ってきた。
しかし、これには全く賛同できなかった。
どう考えても

視力に悪い影響を及ぼす

のは火を見るより明らかじゃなかろうか。
たしかにYouTubeの動画自体、本当にヤバイ動画はないし、実際見ているのも子供向けの動画ばかりで楽しいのはわかる。でもこんな年齢からYouTubeを見だしたら、あっという間に視力は悪くなる。
しかし

視力は遺伝。どうせ悪くなるから一緒。

いやいや待ってくれと。
視力は生活習慣じゃないの?
確かに乱視は遺伝する確率はあると調べたら書いてあったが、じゃあ最近の目が悪い人の割合の多さはなんなんだろうと投げかけたい。
遺伝だけなら割合は変わらないはずだろう。
実際僕も車の運転は眼鏡をかけなければできないほど目が悪い。
でも目が悪くなったタイミングは学生時代、部活を引退してゲームに明け暮れたころと重なっている。
妻の言う通り遺伝で目が悪くなったとしてもそれ+YouTubeを見てしまっているんだから眼鏡をかけても車を運転できないほど悪くなってしまうかもしれない。
もっと言うと

スマホが普及された2008年頃から学生の視力が悪化していて小学生ですでに半分が眼鏡に頼らざるを得ないことになっているとテレビでやっていた。

しかしそれでも妻は子供にスマホを渡し続けた。
正確に言うと妻側の家族はうちの息子のYouTube依存に誰一人危機感を持たないどころか僕が間違っていると陰で言われる始末だった。

①視力は遺伝だから同じこと。
②テレビと何が違うの?
③うちの子もずっと見てるけど何が悪いの?(小学生で既に眼鏡)
④いじれてすごい。その才能を生かすべき。
⑤英語の動画を見ていた。もっとみせて勉強させるべき。
⑥YouTuberが悪い。(?)

だそうです。
確かに大人だって見ない人が珍しいほどのYouTube。僕だって見るが決まって子供の前では見ないように徹底づけている。

個人的にテレビと決定的に違うのは手軽さにあると思う。

自分で好きなものを検索すればなんでも出てくることに加え、手軽にワンタッチで見たい動画を何度もいつでも再生できてしまう部分に依存性が強いように感じる。テレビだと見たい番組がその見れるときにこっちが合わせなきゃいけないし、録画したものは何度でも好きな時に見れるかもしれないが比べるとはるかに手間で時間もかかる。
しかもYouTubeには動画が無限にある。

親戚の後押しもあってか妻は注意どころか進んでスマホを渡していた。
今までは視力のことを主に言ってきたが子供のYouTube依存は調べてみると想像を絶するものだった。

①視力低下
②運動不足
③睡眠不足
④食欲不振
④コミュニケーション能力低下

この全てが息子1人に降りかかる可能性があると思うと居ても立っても居られない。
妻に熱弁するもついに本音が出た。

あなたが仕事でいない時、私が一人で見てなきゃいけない。
ずっと相手なんてしていられない。

たしかに渡していればじっとしててくれているし楽なのはわかってる。
わかってるけど上記のことを思うと今のままではまずいのもわかっている。

いや、すでに心当たりがある。
③に関していうと寝るのは超遅め。日付が変わる日も少なくなかった。
と、いうのも一回そうなってしまうと起床時間も遅めになってしまうし、そうなると必然的に昼寝も遅くなりこういうことになってしまう。
夜9時に仕事から帰ってきて息子が寝ていて

「これからご飯とお風呂だから」

と言われ膝から崩れ落ちたこともあった。

まずはやっぱり早く起こすこと。朝は大人と一緒に普通に起きて、昼過ぎに昼寝、遅くとも15時には昼寝から起こせばしっかり夜も寝れるリズムになる。今なんて15時から昼寝が当たり前・・・。

しかしこれも拒否されてしまう。

朝は大変なんだから子供には寝ててもらいたい

と。
朝、妻が見ていない時に必死に子供を揺らし起こしたこともあった。
しかし、仕事柄夜勤をやっているので毎日そんなことができない。
つまり僕が夜、出勤してからまさに

Youtube見せ放題

タイムがやってくる。
そしてそれは子供の体力の限界まで続く。

日付が変わるなんて当たり前。
さらにその時間は夜だけにとどまらなかった。
夜勤ということは昼間は帰ってくるのだが寝ている。
つまり、その時間もYouTubeTIMEが始まってしまう。

そんなことをしているとスマホでYouTubeの起動時間を調べてみるとなんと

1日10時間以上

見ていた。
さらに嫌なのは見ているときの

子供の表情だ。

好きなことをしているはずなのにその表情はしかめっ面で常に眉間にしわを寄せ笑ったりは全くせずそのまま固まっていた。

僕はついに堪忍袋の緒が切れて慌てて子供YouTube鑑賞中のスマホを取り上げた。
もちろん泣きじゃくる。

「なんてことするの!」

「もうだめだ!こんなに見てて!」

ネットで見たYouTubeの辞めさせた親の知恵を借りて

Wifiを切って

また渡した。
すると息子はすぐにYouTubeを開くが何やら宇宙飛行士の絵が出てくるだけで再生されない。何度かタップしても変わらないので仕方なく写真を見たがすぐに飽きスマホを置いて別の遊びをし出した。
これだ!

「こんなのまた騒ぎ出すに決まってる。そしたら見せるからね」

「わかった。初日だからそれは仕方ない。そうなったら見せていいよ」

息子には酷なことしてしまった。

だって一度与えておいてまた取り上げるんだから。
本当に申し訳ない。
でもこのままだともっとかわいそうなことになってしまうんだ。
心の中で息子に謝りながら夜勤へ向かった。

帰宅後、息子と嫁はまだ寝ていた。
スマホを確認してみるとなんと

Wifiは切ったままだった。
さらにその横には嫁が描いたアンパンマンの絵があった。


つまり夜勤の今までYouTube見放題時間での再生がなんと0になったのだ。
これは嬉しかった。
嫁もしっかり遊んでくれた証拠がある。

そしてもうYouTubeが見れないものと判断したらしくスマホにも興味を示さなくなり、家にあるおもちゃで楽しそうに遊ぶ息子を毎日のように見ることができて本当に嬉しかった。

会社で息子のことを聞かれたとき

「まだしゃべらないです」

「え?2歳でしゃべらないですか?遅いですねー」

と言われたことがあった。
2歳でしゃべるって早すぎでしょ。
この人は子供もいないから知らないんだろうなと思っていた。
実際、息子がしゃべりだしたのは3歳を過ぎて園に入ると同時に会話ができるようになった。
遅いなーとも思っていたが今思えばこれもYouTubeを見せすぎていたからだと思っている。
ちょうどしゃべりだす頃に見せてしまい、成長をそこで止めてしまったのかもしれない、と。
つまりそんなものがなかった昔は常に話しかけられていたからもう2歳くらいにはしゃべっていたんだろう。

YouTubeを息子から取り上げて2年・・・

5歳の息子はYouTubeを

たまに見ている。

妻がもう聞き分けができるようになってきたんだから時間を決めて少しくらい見せてもいいんじゃなか

との提案だった。
それならと息子にルールを守らせるならと僕も承諾した。

①時間を守る。

夕飯まで、お風呂まで。
あとタイマーをセットしアラームが鳴ったらやめる(20分~30分)

②聞かれたことに答える。

集中しすぎてこっちの話を無視することはNG
仕事から帰ってきてただいま~と言っても無視して見続けることがあったので強く注意した。次の日は玄関の開く音に反応し
YouTubeやめた!おかえり~と言いに来た。
逆にさっきで見てたんだとはなるが。

ほぼお利口に上記のルールは守れるし、もう毎日見ることがなくなった。
ちなみにスマホゲームも覚えたがもちろん上記のルールを守らせている。

もう息子はいろんな遊びを覚え本当に表情が豊かになった気がする。

車を並べて遊んだり絵をかいたり子供らしい遊びができて本当に嬉しい。

「こういう風に遊んでるのとYouTubeかたまって見ているのどっちが可愛い?」

「どっちも」

なわけない。


入園式の時園長先生が

「子供の心を育むのは

①絵
②音楽
③歌

だと思う。我が園はそこに力を入れていきたい。」

と仰っていた。
まぁそうなんだろうけど音楽と歌一緒で良くね?って突っ込みは置いておき僕は最も大切なことが抜けている気がする。
それはずばり、

外で遊ぶこと

が最も大切だと子供を育ててきて強く感じる。
外で遊べばそれだけで体力がつき、運動神経が鍛えられる。
アスレチックなんか遊びながらの筋トレだろう。
外の空気を吸えば身体も強くなる。
家にずっといてやれ夏はエアコン、冬は暖房で温められて、空気清浄機なんかついていればすぐ風邪ひく身体になっちゃいそうで怖い。
公園なんかいけば高確率でほかの子も遊んでいる。
一緒に遊べばお互いにコミュニケーション能力もついてくる。
自然と遠くを見るんだから視力低下にもいいはず。

とにかく外へ出ていろんな経験をさせたい。

しかし、また夫婦(嫁側)とも意見が割れてしまう。

外で遊ぶのは好きなのは人それぞれ。
無理やり連れていくのは間違っている。

実際に息子は公園や外ではとても楽しんでいるのは嫁も知っている。
むしろ寒い日はもう僕がもう寒いから帰ろうよ~と言ってもまだ遊ぶ!と言うくらいだった。
しかし子供は気分屋。
せっかくの晴れた気持ちのいい日に
「外行くぞ!」
「家でYouTube見てる」
と言ったことがあった。
僕は説教してしまった。
こんな晴れた日に何を言っているんだと。無理やりにでも連れて行こうとしたら嫁が今度は俺を怒る。

「そんなに嫌がってるのにかわいそうだ!外に行きたいのは自分でしょ!1人で行ってくればいい!」

「子供のためにを思ってそれが一番いいと言ってるんだよ。僕だって本当は休みの日なんだから家でゴロゴロしてるのが一番に決まっている。」

と言うと話が変わる。

「高確率で服は汚すし怪我もしてくる。その面倒を見るのは私なんだよ?」

子供なんてそれが普通じゃないのか?怪我だってそんな大きい怪我はしたことがない。
どうしてわからない?
いや、わかろうとしないんだ。

足が速いのも視力も遺伝?もし同じ環境で育った子供に差がついたらそこで初めてその言葉を使ってほしい。

だがついに嫁と

意見が一致する日が来る。

実は気づいたら、嬉しいことに息子がYouTubeを見ている時間が極端に減っていた。
車で遊んだり絵をかいたり子供らしい遊びを家の中でもしてくれて表情もよくなった気がした。
子供はこうでなきゃいけない。

が、僕は息子を舐めていた。
ふとipadを開いてYouTube再生時間を確認すると、なんと

1日平均3時間

の履歴が残っていたではないか。
これは僕がいない時間、ほとんど見ていることに相当する。
つまり

父ちゃん仕事行ったYouTube見よう
あ、帰ってきた、車で遊ぼう

ということだった。

逆に言えばそこできっぱりやめて偉いと感じてしまうほどの成長ではあるが僕の中では怒りが勝った。

「お前はどれだけYouTubeを見ているんだ!」

と怒鳴ると嫁が乱入する。

「私が見ていいって言ったんだ!」

下に赤ちゃんもいる中忙しくて相手もしてられない。昼寝時は静かにしていてほしいから見せていると主張された。

「たしかにわかるけど1日3時間は見過ぎだよ、せめて1時間だ」

同じような繰り返しの言い合いをまたした。
が、ある日仕事から帰ると、息子が泣いて嫁が怒っていた。

「どうしたの・・・?」

怒られたのは、おそらくお菓子ばかり食べて夕飯食べなかったとか幼稚園で友達に何か悪いことをしたのかどっちかだと思った。

「今日お客さんが来てね話してたんだけどいきなり

YouTubeみたいから帰ってくれ

って言いだしたの!
そう言われたから気を利かせて帰っちゃったんだけどそのあと説教している最中に

またYouTube見だしたの!

だからもう絶対見せないって言ったの。

YouTubeは子供をダメにする」

それずっと前から俺言ってるやんって言葉が出てきそうだったがなんとかこらえた。
ひとまず同じ方向にむけたのだからコレはでかい。

しかし、落ち着いて見たかったんだろうな。これはヒドイ・・・。

「もういい機会だからもうYouTubeはもう完全にやめなさい。いっぱいおもちゃ買ってあげたんだから。いくらでも外遊び連れてくんだから。な、YouTube見てるとお利口じゃなくなっちゃうんだよ。わかったな?」

息子は小さく「うん」と言いながら頷いた。

「もう絶対見ちゃだめ!YouTubeという言葉すら発しちゃだめ!」


「わかったー」

と言っても子供は子供、お利口に遊んでてもそこまで毎日見ていたものを簡単に忘れるわけもない。

「何か、見たいものがある」

「へー」


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