暇潰し企画~ファジアーノ岡山の歴代メンバーでベストイレブンを作ってみる~
わけのわからない疫病のせいで日常からサッカーが取り上げられてからもうすぐ3ヶ月になります。そんな中でドイツではブンデスリーガが再開され、ようやくサッカー界も先が見えてきだしたのかなと思います。そうなると途端に暇感が強くなってくるもので、何か書きたいなと思っていたら、ちょっと前にこんな記事がありました。
というわけで、自分もファジアーノ岡山の歴代選手たちでベストイレブンを組んでみようという暇潰し企画です。ただ、単純にベストな11人を選ぶだけでは面白さが足りないかなと思ったので、今回は複数のチームを作ってみようと思います。
選出基準
①岡山在籍時のパフォーマンスを基準に選手を選出する。移籍前の状況だったり、移籍後に新境地を見出したりしたポジションやタスクは極力避ける
②各選手1チームのみの選出とする。そうしないと、どのチームにも「上田入れよう、仲間入れよう、押谷入れようエトセトラ」ってなってしまうので、それを許したら面白くなくなる
③このチームでJ1昇格を狙えるか、を基準にチームを作る。また、「こんなシステムやらないだろ」みたいなシステム(ex.3-4-3中盤ダイヤモンド、いわゆるトータルフットボールとかドリームチーム時代のバルサとか)はしない
そしてこの企画を考えた上で最も重要にした点が、「どうやって攻撃、得点していくかを最優先に考える」点です。ファジアーノ岡山というチームは「真面目」「誠実」「ひたむき」を立ち上げ段階からチームのDNAにしており、特にそのDNAは「相手にゴールを許さない」ところで極めて強く発揮しています。その代わりほぼ毎年のように得点できない、上手く攻撃できないことで悩んでいますが。
前述したチームのDNAから、このチームはほっといていても守らずにはいられないので、以降のチーム紹介では、「どうやって攻めていくか」についての言及をかなり多目にしていくことにします。
ノミネートNo.1:3Back Edition(3-4-2-1)
GK:金山隼樹(2018~)
DF:喜山康平(2009~2010、2017~)
竹田忠嗣(2009~2017)
篠原弘次郎(2010~2017)
MF:田所諒(2009~2015)
千明聖典(2010~2015)
矢島慎也(2015~2016)
椋原健太(2018~)
FW:キムミンキュン(2011途中~2012、2013途中)
伊藤大介(2015~2018)
川又堅碁(2012)
監督:影山雅永(2009~2014)
チームコンセプト:後方からボールを運んでいくことでテクニカルな中盤の厚さを生かす、地上戦主体のスタイル
1トップ2シャドーを中心とした相手ゴール前での軽妙なコンビネーション(=ハーモニーby影山監督)を志向
2011シーズンから2018シーズンまでの8シーズンに渡って岡山のメインフォーメーションだった3-4-2-1を導入。最終ラインは足元主体で選出し、縦パスを通していく意識の高い選手を起用。その結果、喜山・竹田・篠原のU-180cmの3人構成となってしまった。3バックでのパス交換(ここにGKの金山が時たま絡んでいきたい)に、千明がワンタッチで叩いて絡みながらオープンの状態を作り、バシバシ縦パスを通していく形を狙っていく。
要は千明は矢島を後方でのゲームメイクの負担から解放させるタスクを担う。ボールスキルであったり、テクニックであったり、攻撃センス(アバウトな表現ではあるが)の器が歴代選手の中でダントツに大きい矢島が前に行けないのは勿体ない。矢島は大きな展開を担いつつ、前線の選手と絡んでいくのが理想型。終盤まで走り続けてもプレーのクオリティが落ちないのが特長の体力お化けであるWBの田所・椋原は、とにかく走れ走れの上下動でボール局面での厚みを作っていく。
このチームの肝は2シャドーを中心にゴール前でコンビネーションをどれだけ出していけるか。自らボールを持って運べ、直前までプレーの矢印を変えられるキムミンキュンと、状況に応じたプレーの判断が極めて巧みな伊藤と、ボールの受け手にも出し手にもなれる2シャドーに後方から矢島が絡むことで、ゾーン3(≒バイタルエリア付近)を豊富なコンビネーションで攻略していく。
前述した3人からのラストパスなり、大外を駆け上がったWBからのクロスなり、こうして作ったチャンスを、ペナ内での様々なゴールパターンを持っている川又が問答無用でゴール前に叩き込んでいくのがフィニッシュの形となる。
こういう崩しとか(1:20~のシーン)
こういう崩し方(=ゴール前で複数人が絡んでの崩し方)が理想的。フィニッシュはどっちも川又じゃないけど。
ノミネートNo.2:4Back Edition(4-4-2)
GK:一森純(2017~2019)
DF:野田絋̪史(2009途中~2010)
田中裕介(2019~)
濱田水輝(2018~)
澤口雅彦(2009~2018)
MF:仲間隼斗(2018~2019)
上田康太(2014途中、2018~2019)
渡邊一仁(2015~2017)
関戸健二(2012~)
FW:押谷祐樹(2013~2016)
イヨンジェ(2018~)
監督:有馬健二(2019~)
チームコンセプト:縦横にコンパクトな3ラインの4-4-2の陣形を形成、第一ラインからのプレッシング⇒できるだけ高い位置でボール奪取⇒ショートカウンターに繋げる
長短のボールのバランスを意識したボール保持からSBを使ったサイド攻撃でアタッカーの最大値(by有馬監督)を生かす
J2参入初期(2009、2010)と2019シーズンのメインフォーメーションである4-4-2を導入。2CBは現チームのベストコンビである田中と濱田を選出し、GKの一森とともに後方でのボール保持を安定させる。高い位置からのプレスをかけるためにも、この3枚の安定感は欠かせない。中盤のスペースを埋める役目、フィルター役としてCHの片割れには渡邊を起用。上手く第一ラインからのプレスがかかれば、渡邊のところでボールを奪取しすぐさまポジトラ(=ポジティブトランジション、守→攻への切り替え)に繋げてショートカウンターを行う。
そしてボール保持攻撃の主役になるのが上田。ゾーン2(≒ミドルゾーン)でのビルドアップでは長短のパスを使い分け、スルーパスで前線やSHを走らせる決定的な仕事も行う。渡邊を使っているので中盤での守備での負担はかなり減らせるはず。セットプレーでは直接FKを決めてもらおう。
SBは野田と澤口という、J2初期2009シーズンの心のオアシスとなった両SBを起用。中心軸のクオリティがどうしても低かった当時は過ぎた代物であったが、ガンガンサイドを駆け上がってクロスを入れる攻撃のクオリティそのものは決してJ2でも劣っていなかったと思う。今のチームのクオリティならば存分に膠着を打開する切り札として機能するだろう。
SHは2019シーズンのベストアンサーとなった仲間と関戸の2枚。右SHの関戸は走力を生かしてあらゆる局面に絡むバランサーの役割。一方左SHの仲間はJ2レベルでは相手が一枚ならばほぼ確実に剥がせてしまえる戦術兵器的役割に加えて、2トップに絡んでのフィニッシュワークにも貢献する。
個人的にいつか2トップを組んでもらいたいなあとずっと思っている(岡山サポの中ではそう思っている方も多いのではないでしょうか)押谷とイヨンジェは、このチームで夢の競演。ボール非保持時は第一ラインからのプレスマシーンの役割と、ボール保持時は飽きることなく相手の背後を突き続け、最終ラインにストレスを与えまくってもらう。もちろん歴代最多得点者と1シーズン最多得点者の2トップなわけで、フィニッシュにも大いに期待。
0:40~のプレス⇒ショートカウンターで決める形であったり、
1:30~のサイド攻撃で押し切る形を作っていければベスト。どちらも相手が東京Vだというのは一切他意はありません。
ここまでのチームを見てきて、「あれ?あの先生がいないじゃない?」って思った人もいると思います。
ノミネートNo.3:Iwamasa Edition(3-4-2-1)
GK:中林洋次(2012~2016)
DF:植田龍仁朗(2009~2015)
岩政大樹(2015~2016)
後藤圭太(2010~2014、2018~)
MF:パクヒョンジン(2017)
塚川孝輝(2017~2018)
末吉隼也(2018)
片山瑛一(2014~2017)
友情出演:加地亮(2015~2017)
FW:豊川雄太(2016~2017)
赤嶺真吾(2016~)
石原崇兆(2011~2014)
監督:長澤徹(2015~2018)
チームコンセプト:ロングボールを多用したダイレクトなビルドアップから敵陣でのセットプレーを多く獲得、そこからの得点を狙う
ボール支配率とかシュート数とかで勝つ必要などなく、自陣・敵陣両ゴール前の要所を押さえて90分トータルでゲームマネージメントを行い、最後に自分達が勝っていれば良い。まさに灰頭土面(by長澤監督)のサッカー
なぜIwamasa Editionなどと、特定の選手名をチームに入れているのか。それは岩政大樹という選手が岡山の歴代選手の中で「影響力が一選手のそれに留まらない」、「唯一無二」のスペシャル・ワンであったからに他ならない。
システムは岩政在籍時のメインシステムである3-4-2-1。3バックは岩政を中央に植田と後藤で岡山山脈を形成。スピードに難があるものの、競り合いを含めた空中戦に強く、加えてシュートブロックも上手い3枚とシュートストッパーのGKの中林で自陣ゴール前を閉める。3バックは相手ゴール前でもセットプレーの得点源。3人とも味方のボールに対する「当て勘」に優れている。
一列前のCHに起用している塚川は、3バックとともにセットプレーの局面で高さを売りにしつつ、中盤を動き回って球際の競り合いの強さを生かしてのセカンドボール回収が主な役割。もう一枚のCHである末吉は、前線へのロングボールの移動砲台。スピードと精度を両方持った中・長距離キッカーとして活用できるととても良く機能する。
WBは左右で異なるセットプレーの出し手を起用。左はプレースキッカー要員のパクヒョンジン。個人的には歴代選手の中で3指に入るトップクラスのプレースキッカー(ちなみに1位は上田、2位は小林優希)。どうしても守備の部分でゆるふわなところがあるので、友情出演起用の加地を最初は使ってゲームを作りつつ、勝負所でセットプレーの切り札として起用したい。
右で起用するのは頑強なフィジカルとマルチロールが持ち味の片山。フィジカルの強さを活かしてのロングボールのターゲットマンとしても機能するが、最大の目的はロングスロー。片山にロングボール⇒相手との競り合いでボールが外に出る⇒片山のロングスローという無限ループに持ち込みたい。
このチームのボール保持攻撃は、基本的に前線へのロングボールを使ったダイレクトな展開。そのターゲットになるのが前述の片山と、最前線で体を張ってマイボールにできる(=ファールを獲得できる)赤嶺。本来はペナ内で勝負させて得点を狙うタイプのFWであるが、岡山では最前線での人柱として数字に表れない貢献を見せている。
赤嶺が競り合ってできたスペースに走りこむのがスピードを武器とした豊川と石原のシャドー2枚。この2人(特に石原)は、自陣ゴール前で跳ね返したボールを拾ってからのロングカウンターの長槍隊でもある。岩政の舎弟である豊川には、ゴール前での嗅覚でセットプレーのこぼれ球を詰める役割にも期待。
こんなロングスローからの得点とか(1:52~)
こんなセットプレーから得点をもぎ取って勝ち点を奪っていきたい。なんだかんだ言ってJ2は高さだセットプレーだ。
雑感
・いろいろな縛りをつけてメンバー編成をしてみたが、3バックチームは完全なロマン派、Iwamasaチームはガチガチの現実派、4バックチームは中道バランス派と、どのチームもそれなりにしっかりとした個性があり、特に攻撃面でのストロングポイントがそれぞれ見える好チームを作れたのではないかと自画自賛。
・どのチームもJ1昇格を狙えるチームだと思うが、そんな中でも一番昇格に近いチームはどこだろうな。なんだかんだ4バックチームが一番どんな展開にも対応できるというところで良さそうな気がするが、Iwamasaチームは脈絡関係なく勝ち点を奪っていける強かさがある。ただ個人的にはロマン派の3バックチームが、魑魅魍魎が跋扈するJ2を勝ち上がる姿を見てみたいなと思う。
・メンバーや戦い方など、かなり頭の中でああでもないこうでもないと考えるのはなかなか楽しかった。ただ、やっぱり早くリアルJリーグが始まってほしいなあ...
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