はじめてのハンドメイドは「冒険」だった

敬老の日に向けて、祖母への贈り物としてマスクチェーンを作った。

はじめてのビーズアクセサリー作りは、不器用な私にとってちょっとした冒険だった。


初心者がひとつひとつパーツを選べるわけもなく、クラフトショップで必要なパーツがすべて揃った手作りキットを購入。

今回は青い花のチェコビーズが印象的なキットを選んだ。

ありがたいことに、「初心者向け親切レシピ」という説明書まで同封されている。ビーズを通す個数や順番も図解されており、非常に分かりやすい。

私にとっては冒険に必要不可欠な「地図」である。

砂粒のような何百ものビーズを、「地図」のとおりに細いワイヤーへ通していく。地道な作業だが、意外に楽しい。

丸小ビーズを20個通したら、メタルビーズ1個、水色のビーズ1個、メタルビーズ1個を通す。再び丸小ビーズを20個通して、メタルビーズ水色のビーズメタルビーズ……。

と、呪文のように繰り返していく。


すべてのビーズを通すのはわりと簡単だが、最大の難関はつぶし玉の処理と、カニカンの連結。

ここから平ヤットコやニッパーを使う。さいわい父親の工具を借りることができたが、なければクラフトショップに走るところだった。

YouTubeを参考に、直径3ミリほどのつぶし玉を平ヤットコの先端でぎゅっと潰す。こうすることでワイヤーがつぶし玉に挟まれ、ビーズが固定される。

平ヤットコを扱うには指の筋力を使うが、さらにあまり力を込めすぎるとワイヤーが切れる恐れがあるらしい。

力強く、でも慎重な作業は、なかなかの集中力が必要だった。


さらにカニカンの連結には、いったん丸カンをねじって丸カンを通し、元通りにねじって留めなければならない。

平ヤットコを両手で握る私の危なっかしさといったらなかった。

何度か丸カンではなく自分の指を挟んでしまい、「あ、違う」とか「いたたたた」とか格段にひとりごとが増える。

このまま丸カンが繋げず、永遠にマスクチェーンとして機能しないのでは、と不安を覚えるほどだった。


ビーズ通しに1時間、その他の処理に1時間。

私の小さな冒険は、朝9時に始まって11時に無事終了した。

じっくり時間をかけて作ったマスクチェーンは、当たり前だが既製品よりもずっと愛着が湧き、きらきら輝いて見えた。

いつも地味な服を着ている祖母の顔周りが、少しは華やぐといいと思う。

明日、祖母の喜ぶ顔を見るのが今から楽しみだ。

おしまい。




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