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植田日銀新総裁の初めての金融政策決定会合後の記者会見を受けて、これからマイホームを買おうと考えている人が留意すべき3つのこと

2023年4月28日(金)午後3時半から植田日銀総裁の記者会見が行われました。同月9日に就任され、初めての金融政策決定会合(4月27日~28日)の要点を説明し、記者からの質問に答えました。約1時間の会見でした。内容を簡潔にまとめると以下のようになります。【 】内は私なりの感想・解釈です。

1.    金融政策は現状維持
【所信聴取や国会答弁、各メディアの事前の報道等でもそのような回答でしたのでサプライズはありません。話し方も含め、黒田氏とはかなり異なる印象で今後もマーケットを極端に刺激するようなことはしない?とさえ思えました】

2.    経済の見通しは悪くないが不確実性(世界情勢含め国内の賃金上昇の継続性など)も高く、もう少し見守りたい
【これはアメとムチ?つまり「金融政策変更なし=利上げ無し」がアメ、「ベアは今年だけに留まらないよね=経済界へのプレッシャー」がムチ】

3.    1年から1年半かけて25年間の政策運営を多角的にレビュー
【この間にも政策変更はあり得ると明言したが、「次こそYCC撤廃か」といった毎度の雑音や「海外投機筋の仕掛け(空売り)」を大人しくさせる二次的効果も図れるか?】

記者の質問や翌日の報道でも3「レビュー」に対する関心が高かったようです。正直なところ、「学者らしい」というのが個人的な第一印象でしたが、今後継続する少子高齢化かつ成熟しきった社会をいかに活性化させるか、その試行錯誤(金融政策運営)を「同じ空回りに終わらせてはいけない」という思いがあるのかと時間が経つにつれ感じはじめました。

さて、重要なのは植田新総裁の(金融政策決定会合後の)初会見を受けて、我々はどう立ち振る舞えばよいの?という点かと思います。もちろんそれは、不動産とりわけマイホーム購入にあたってという概念の中で、です。

サプライズはなかったもの、見逃してはならない示唆があったと思います。ポイントは前述しましたが「レビューの期間」です。

質疑応答の中で、レビューは都度の政策決定とは切り離すとは言いつつ、「もし出口にかかる時期が数年先になった際は、完成したレビューに照らし合わせた政策運営が可能だろう」といった趣旨の発言をされました。つまり、25年の歴史から得た知見を活かした判断がしたいというアカデミアらしい本音が垣間見えた瞬間だったのではないでしょうか。

言い換えるなら、できればその作成段階(1年から1年半)ではあまり大胆な変更に対して積極的にはならないだろう、と受け止めても良いのではないかということです。肝心の物価見通しは、足元のそこそこ高くなったインフレ率はさておき「不確実性」という言葉を用いながら、煙に巻くように「当面は現状維持」で乗り切るのではないかと。

要するに、長期金利も政策金利も1年程度は大きく変化しない確率が上がったとみています。実際ドル円は政策発表から翌日未明まで一方的に円安方向に振れました。その幅は3円程度にもなります。

では、不動産は買いか、マイホームは買いどきなのか、相場は目先上か、と聞かれると話はそう単純ではないと考えます。今後の留意点を3つに絞って解説します。

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