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一戸建て住宅の居住性と資産性を見分ける5つのチェックポイント

仕事柄、住宅ポータルサイトを見る機会が多いのですが、コロナ禍になって減っていた売り物件がここにきて随分増えてきたように感じます。データベースで毎月チェックしているので、そのこと自体は明らかなのですが、言いたいことは「量だけでなく、質もバリエーション豊富になった」ということです。

立地も建物も(言い方は悪いですが)玉石混合。最近は資産価値を重視して物件選びをする人が増えました。であれば、自分(または家族)だけが気に入ればいい、だけでは心もとない。他人からも価値を認めてもらえる(=市場からの評価が期待できる)物件をマイホームに選ぶことが将来の資産形成にとっては重要になると心得ましょう。

立地に関していえば、その条件を記した情報はネット上にあふれていると思います。しかし、建物となると極端にその数は少ない。建物は住み心地に影響はするが資産価値には関係ないという人もいますが、それは違います。

わかりやすい現象でいえば、売却活動時に質の高い建物とそうでない建物とでは「内見から買付依頼に至る確率」が異なります。とくに住宅にある程度詳しい人ほど高質な家を気に入る傾向があります。つまり、購入意欲を高めやすいばかりか、一次取得だけでなく買い替えや買い増しを目的とした世帯にまでターゲットを広げることができる。買いたいと思う人が多ければ多いほど資産性は下がりにくい。(ただ、現実にはそのような建物は「極小」なのですが…)

一戸建ては、分譲マンションほどは規模の経済が働きにくく、敷地の形も原則一つずつ異なることから細部まで極めるにはコストがかかり過ぎる、といった(共同住宅に比べて)不利な事業環境下で進められる商品でもあるわけです。

したがって、必然的に住みやすくデザイン性も優れた、いわゆる「質の高い住宅」は数が少なく見つけにくいものなのですが、もしそれに巡り合えたら見逃すことのないように、あるいは注文住宅で自ら叶えられる状況にあるならぜひそれを取り入れてもらいたいと思うのです。

前置きが長くなりましたが、住みやすく資産性も期待できる一戸建て住宅の見極めポイントを5つまとめてみたいと思います。見分ける難易度が低いと思われる順にご紹介します。

まず、1番目は収納です。

1. 収納

収納はあればいい、大きければいい、というものではありません。

詰め込み過ぎて奥にあるものが見えなかったり、住み始めは十分だったものが年月とともにモノが増えそれに対応できなかったり、容量は満たしているが機能性が備わっていなかったり、と多くの収納スペースは課題が多いのではないかと感じます。もう少し具体的に説明します。

例えばキッチンは、仕舞うモノのサイズや素材、そして量がじつに膨大で収納スペースが十分か否かで作業(調理や片付け)のしやすさが大きく左右されることと思います。さらにいえば、調味料や保存食をストックするスペースであれば、たとえそれが十分であっても、扉を開けただけである程度献立のイメージができたり、補充の必要性がわかったりと情報の一覧性が求められます。手前だけが見えて、手前のモノを出さないと奥のモノが見えないといったスペースはキッチン収納の目的をあまり果たしていないとさえいえるわけです。

玄関なら、タタキに靴があふれないよう十分な容量が必要ですが、ブーツ等靴の高さに応じて、また子どものいる世帯なら成長に応じて棚が容易に調整・追加できるよう可変性が求められます。他にも傘や掃除用品、外からの汚れを持ち込みにくくする意味でアウトドアのスポーツやキャンプ等小物類も仕舞えると、玄関以外の収納スペースにもストレスを減らすことができます。

洋服を並べるクローゼットも容量だけでなく、全身コーディネートができる空間であることが重要です。今日のファッションに合わせる帽子やカバン、アクセサリーなどを全身を映す鏡でチェックできること。ウォークインクローゼットの中央部はモノを置くスペースではなく、ああでもないこうでもないと試行を繰り返すための空間なのです。

色々と細かいことを述べましたが、人生経験豊富な人ほどこうした各所で各所の用途に合った収納であるかどうか、その収納の優劣が他の空間にどう影響するか、それらがパッと見ただけである程度分かってしまうものです。逆にいえば、収納が高評価されると「良いところが他にないか」といった観点で物色されます。つまり、優れた収納は高質な家の(わかりやすい)証でもあるのです。だから、真っ先に目に入る「収納の第一印象である玄関」はとりわけ大事だと捉えましょう。

また、収納はマンションに比べて戸建てが優位に立てる点のひとつだと思いますので、その優位性が十分発揮されているかを確認してください。具体的には階段下や床下、屋外スペース等です。100点満点の収納はないかもしれませんが、使い勝手の良し悪しを生活者の目線で判断することは誰にでもできるはずです。

2番目は窓です。

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