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僕と〇〇

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『僕と〇〇』をテーマに、エッセイを書きます。
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記事一覧

あんなにピーナッツに腹がたつ夏がくるとは……【エッセイ】

あんなにピーナッツに腹がたつ夏がくるとは……【エッセイ】

 中学時代は校則が厳しかったが、高校時代になるとゆるくなった。
 冬は学ラン・夏はシャツというのは変わらなかったけれど、中に着るTシャツやスウェットは自由になった。そうなると制服から垣間見える私服のセンスを問われる。イケてるやつほど、制服の中に何を着るか、それをどれくらい見せるかにこだわっている。

 オシャレに敏感なものや街の中学出身のものは、入学の段階でセンスを持っていた。彼らは入学式の翌日か

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僕たちはまとめて“お前ら”だった【エッセイ】

僕たちはまとめて“お前ら”だった【エッセイ】

 中学時代、学ランで通学していた。詳しくいうと、学ランに白を基調としたスニーカー。
 スニーカーはワンポイント以上の模様は禁止で、入っていると職員室に呼び出される。ローファーや革靴は禁止で、履いていると職員室に呼び出される。
 学ランの着こなし方は腰パン禁止。髪型は長髪禁止。ネックレス・リストバンド・派手なベルト等も禁止。違反するともちろん職員室に呼び出される。
 夏服は学校指定のシャツで。大きい

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僕とお尻【エッセイ】

僕とお尻【エッセイ】

 小5の冬、体育館の舞台にひな壇が設置され、クラス全員がその上に立って『野に咲く花のように』を合唱していた。校内合唱コンクールに向けての練習だ。
 曲の途中で、指揮者をやっていた委員長の指揮棒が手からするりと抜け、後方へ飛んで行った。
 担任はいったん曲を中断させ「少し休憩」と言ったので、休憩と言っても五分くらいだろうなと思い、冷水機で水をちょっと飲んで、持ち場の三段目に戻った。

 すると、隣に

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僕と桐島【エッセイ】

僕と桐島【エッセイ】

いつからか、本をよく読むようになった。
小説、新書、エッセイ、ショートショート、図鑑、タレント本など、気になったのは何でも読むようにしている。

ある日、よく行くファミレスで朝井リョウさんの「桐島、部活やめるってよ」を読みふけっていた。
桐島と言う主人公が何かの部活を辞めるまでの話だと先入観を持って読んでいたが、最後の最後まで桐島は出てこなかった。
桐島が部活を辞めたことによる周りへの影響を、群像

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僕とスイカ【エッセイ】

僕とスイカ【エッセイ】

 数年前に行った単独ライブ当日、家を出る直前に荷物が届いた。実家からのダンボール。中を開けると様々な物の中に、スイカがひと玉入っていた。僕はスイカがとっても好きなのだ。それを知っている母親が、僕に食べさせようと送ってくれたのだろう。優しい。

 単独ライブが終わって、家に帰って来たら食べよう。そう思って冷蔵庫で冷やしておくことにした。だが、一人暮らしの冷蔵庫は小さい。おまけにパンパンに食料が詰まっ

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