僕たちはみんなメンヘラが好きだった。

今回の特集のタイトルを編集のKさんから聞いた時の僕の顔を想像してほしい。多分、頼んだブラックコーヒーが、予想以上に濃いものだった時のような
あるいは、白昼堂々コンビニで煙草を吸う高校生を見た時のような顔をしていたと思う。だって、「僕たちはみんなメンヘラが好きだった。」ってそりゃないでしょ。編集さん。

有能な「note」愛読者の諸君は、経験がないと思うけど、メンヘラは面倒くさい。まだ、僕が田舎から都会の大学に引っ越してきたばかりの18歳の頃。
右も左もわからないまま服を買い、右も左もわからないまま参加したサークルの新歓でたまたま出会ったのが、A子だった。アメリのような髪型に、レンズが大きい丸眼鏡。白い肌に唇に沿って真っ赤に塗られた口紅が、彼女の薄い顔の存在をなんとか食い止めた。今だったら「不思議ちゃんだなぁ」で終わるかもしれないけど、その時は、田舎にいない都会的な女の子に見えた僕が、連絡先を教えてもらうのに時間はかからなかった(笑)

A子とは音楽の趣味が合った。椎名林檎が好きという女の子は多いけど、
A子は、カミヒ・カリィやCoccoの事を話せる数少ない女の子だった。
田舎の高校の教室で一人自分が聞いていた音楽を人と共有できる。
しかも、それが女の子だった。それだけでぼくは十分だった。
だけど、彼女はそれだけじゃ済まなかった。付き合い始めて、最初こそ少なかったが、深夜に電話がかかってくることもあったし、ネガティブな発言や否定的な発言が増えた。僕にとって、初めての彼女だったし、不安定な時期を超えれば、また、あの普通の彼女に戻る。その繰り返しの中、「僕が彼女を守らなければ…」という思いが強くなっていったと思う。今思えば、僕の精神もだいぶ負担を強いられていたと思う。ある時、二日連続で朝までA子と電話をしてた僕の目の下のクマを見たバンドメンバーが
「大丈夫か?お前が死ぬんじゃないか?」
って言ってくれて目が覚めた。A子という沼に嵌っていた僕を助けてくれたのだ。その後A子と僕は別れたが、風の噂でA子は美大生と付き合ってそのまま結婚したと聞いた。さみしい気もしたが、それが正解だったんだろう。
そんなこんなで、その経験を境にメンヘラとは関わらないようにしている。
そんな甘酸っぱい思い出をこの企画は思い出させてくれた。
ありがとう編集笑

さて、本題に入ると、現実は苦手でも、物語に出てくるメンヘラは別だ。
あの存在があるのとないのでは物語の面白さが全然違う。
主人公の事を好きであるがゆえに、どうしようもないことをしてしまったり、
もうどうしようもないような状況で、堰を切ったように主人公に好きであることを伝えるあの「メンヘラ」に僕たちは恋をした。
物語に出てくるのは、定義的にはどっちかと言えば「ヤンデレ」に近いかもしれない。詳しい定義づけは色々あるだろうけど、ここでは、広義的に「ヤンデレ」ってことにしとく。

一番最初に思い出すのはやっぱり、横溝正史の「八ツ墓村」に出てくる田治見春代かな。主人公の腹違いの姉って設定なんだけど、実は、主人公とは姉弟じゃないことを本人は知っていて、死に際にその事実と「ほんとは、私はあなたが好きだったの」っていうシーン。これを初めてみた高校生の頃の僕は電気が走った。もう助からない、どうしようもないシーンでそれを伝えるのか!という衝撃。僕は彼女の不憫さと愛おしさで最初に読んだときは、後のシーンが頭に入ってこなかった。

テレビドラマなら、「TRICK新作スペシャル2」に出てくる美波が演じる菊ちゃんだろう。
古くから好きな相手の体の一部を紙に包み、契り岩と呼ばれる岩に括られた縄に結び付ければ恋が成就するが、一方しか願をかけなかった場合、振られた方が三日以内に死ぬという言い伝えがある村で、主人公の誠一の事が好きな菊は、誠一と契ろうとした京子の髪の毛をこっそり入れ替えて、誠一に渡す。そして、結んだ後に主人公の耳元で
「京子ちゃんは死んでしまうんよ?」と秘密を打ち明ける。
「あれは京子ちゃん髪じゃのうて、うちの髪の毛」って笑いながら言う菊ちゃん。ちょっと、焦点が合ってなくて、それが狂気に拍車をかけている。
怒る誠一。そりゃそうでしょう。で、そこで涙を両目にためながら菊ちゃん。
「好きじゃったから。うちも誠一さんのこと。気づかんかった?」
ビール片手に見ていたけど、思わずビール落とした。
それくらい、美波の美しさと、セリフの美しさに見蕩れてしまった。
見てない方は、ぜひ一度レンタルすることをお勧めします。
京子ちゃんもかわいいけど、僕は断然菊ちゃん派です。

んー、なんでだろう。こういうメンヘラは閉鎖的な空間の方が映える気がするなぁ。田舎特有の村社会としての縛りから解放されるからかなぁ。

最近だと、社会現象にもなった「魔法少女 まどか☆マギカ」の暁美ほむらが
それに近い存在かもしれない。
すごく主人公に冷たい彼女の一途な愛が空回りする感じ。
彼女は、劇場版の一番盛り上がるシーンで明確に行動原理を主人公への愛だと規定する。さすが、虚淵先生!ゾクゾクさせてくれます。そして、新作はまだでしょうか泣

このように、物語に出てくるメンヘラは、時に僕たちの脳裏に永遠に残り続ける。そう、その破壊的で衝動的な愛の形は、僕たち男の子はみんな好きだ。
これは認めよう。事実だ。受け止めきれなくてもそれは愛なのだ。
でもやっぱり、僕は元気な女の子と映画とかオシャレな音楽の話をしたい。
やっぱり無理なのかなぁ…

↑みたいな、「Poppy」とかに出しても恥ずかしくない文章も書けるので
なにか、文章を書くお仕事をください。ていうか、A子ってだれやねん。
社会人二年目。平気で嘘をつくようになりました。悪い仕事をしてます。
というわけで、愛が重たい系女の子。所謂「メンヘラ」が周りに集まってくる男が僕の周りにも多いのですが、みんな最初は大丈夫なんですよね。
いいとこしか見えてないって怖いですよね。そのまま、精神ダメージの蓄積が見えないふりをするのが上手くなって、気づかないうちに自分もまずくなっていく。その状態から、徐々に許容のコップから漏れ始めた不満とか周りが「まずくないか?」ってなっていって、最終的にはグダグダするまでが鉄板ですよね。はは、こいつら全く成長してない。
ただ、こういう女に弱い奴らがみんな口を揃えたように言うのは、

西尾維新の「物語シリーズ」に出てくる千石撫子だけはだめだ。

ということ。あれが好きな男は、メンヘラをわかってないとまで言う。
CV:花澤香菜のかわいい撫子ですが、あれはメンヘラ神であるのになぜ、嫌われるのか。そこを読み解くと嫌われるメンヘラを知れるかもしれません。

1、自分が中心の恋を展開しようとする。
これは、よく指摘される点ですが、「恋愛サーキュレーション」の歌詞を見てもらうと、「こいつ、恋に恋をしている自分がかわいい」って思ってるなと思いませんか?特に二番の歌詞。なにが「あなたを思ってるだけで溶けてしまう」だ。完全に自分の為に世界が回ってると思ってるやん。まあ、得してそうなんですが、恋をしてる時も中心は自分なんですよ。人という字は支えあってできてるのに、負担を向こうにかけるだけで、自分はのしかかる系って多いですよね。

2、あざとい
あまりに露骨なあざとさを見せると人は警戒してしまうものです。
急に、スクール水着になるのはいいんですが、「お兄ちゃんだから」とかあざとすぎ。
そりゃ、同級生の女の子に嫌われるわ。よくいるパターンのメンヘラなんですが、同性の友人が極端に少ないんですよね。こういうあざとさとかが原因じゃないかと。

3、メンヘラ神になる。
なんだよ。好きな人に彼女がいたからって「そいつ殺す」ってどんな思考回路だよ。時々いますよね。神になって人殺そうとするやつ。見分け方は簡単ですよ。あれですよ。腕に刻まれた線はあれ呪詛返しですから。あれさえ注意しとけば、あの手のやつは避けれます。なんだよ。あいつら現代の霊媒師かよ。

あと、どうでもいいですけど、CR化物語の撫子とのバーチャファイター戦ボコボコにした挙句、「お兄ちゃんには、クンフーが足りない」って煽るの本当にイラッくるのでやめてほしい。

以上、メンヘラが好きな僕たちでも直感的に「ああ、こいつやばい」と思う千石撫子という女のメンヘラの特徴でした。逆に言うと、メンヘラの皆さんは、これさえ外して、ピンポイントで好き好きアピール出来れば、愛されるメンヘラになれるのではないでしょうか。
ちなみに「化物語」では、僕は神原駿河派、ギターのオザワは戦場ヶ原ひたぎ派でした。
撫子と五十歩百歩。ははは、俺ら全く成長してない。


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