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愚息兄弟さんの見る夢は

愚息兄弟はヒップホップ、ロックをベースに多様なジャンルを取り入れた、オリジナリティの高い音楽性をもつ。ラップは兄雄士、歌は弟雄斗が担当するのが彼等の花形となっている。(https://big-up.style/53pem0rucwより引用)

 4年の歳月を経て作られた1stアルバム「極楽」。その一音一音のルーツは兄弟の脳内にあり、決して他人様から拝借してきたものではない。あの日の天気、気温、体温、彼女のヒップの冷たさ、そして僕。それらを事細かに切り取って音に変換している。この瞬間の憂いを言葉にし、いつかの憂いを音にする。そうすれば、輪郭はぼやけるが、より濃い表現ができるし、いつかの晴朗さを音にすれば、その輪郭は強調され、その対比が虚しさだったりの副産物をもたらす。キャストは常に自分唯一人。独創的になるのは必然。リリックはフック、音は導入剤。リスナーは勝手に想起する。だから余計な装飾を施す必要はない。創作というのは実にシンプルだ。

 その根底にあるのはニヒリズムかな?ニヒリストが仏教的解釈で私生活を表現している、というのが筆者の感想だ。仏教的解釈と言っても、原始仏教と龍樹以降では結構な隔たりがあるし、日本には中国経由で伝来したので、道教的解釈が色濃く、原型を留めていなかったりもする。色即是空を色即是無と捉えていたり(空と無は全くの別概念)。浄土真宗に至っては景教の影響をもろに受けており、もはや仏教ではない。キリスト教だ。極楽と題しているし、悪人正機というワードも出てくる。親鸞から学ぶのは必須かな。般若心経も引用しているし、日本の13宗派を学べばより深く愚息兄弟さんの音楽を理解できると思う。原始仏教や龍樹以降はばっさり切り捨てていいだろう。全くの無知だと、その心理描写を読み解くことはかなり困難かもしれない。そんな小難しいことは気にせず、ただ楽しむこともできるのだが、せっかくの「傑作」なのだから、もったいないよね。哲学、宗教、神話、その当たりを基礎教養として学んだ筆者はすんなりとその世界に没入することができた。らっき~

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