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続く日々

羊君は彼女さんとうまくやっているようだ。
喜多さんも心配なことはあれど、1つの決着をつけられた。
1番近くにいて、1番魔法を使えそうな野呂亮君だけは、まっっったく変わらなかったなー。
いや、夏の間だから、もうちょい期間はあるけど。
ドラ○もんで言えば、彼、のび太君の立場よ?
1番、変わっていいはずだけど?
変わったのは肌の色くらいで、少し黒くなっている。
あれから、「ペンギンはダメだ。バナナリスって名前の猿にしよう。あれは名前がいい」といい街ゆくお姉さんに声かけを続けて、ホストのお兄さんに怒られて、止めるまでに焦げたのだ。
「やっぱ、恋愛って積極性だと思うのよ?」と彼は話す。
「まぁ、そうかもしれないけどねー。そう言えば、将来の夢とかあるの?」
「特に決めてないかなー」
きょうび、そういう若い子もいるだろうなーと思い「そっかー」と聞き流す体で相槌をうつ。
「そういえば、俺と会って、なんか変わる期待とかあった?魔法使える妖精様だよ?」
「いやー、女の子の妖精ならともかく、おじさんの妖精じゃねー」
「魔法と聞いても、その態度を貫けるのは君が初めてだよ」呆れてきた。
「簡単に何かを変えてもねー。『君が安心して帰れないじゃないか』?」
やめろ。そのどっかで聞いたセリフ。
「あー。でも、実はどこかで君に甘えてるのかもしれないな」ん???
「まぁ、ナンパとか出来る性格じゃなかったんだよね。死なないし、いざといれば、君がいるから大きなトラブルにはならないと思って、思ったまま好きなまま言えるようになったのはあるかもしれない」熱でもあるんじゃないだろうか?
「そういえば、相談されるまでは黙っておこうと思ったんだけど……」と野呂亮が切り出す。
「ん?」
「喜多とちょくちょく会っていたけど、大丈夫?何も聞かないから事情は分からないけど、心配してない訳じゃない。喜多のことも……」チャーミーのことも、という言葉は飲み込んだ。
そういうことを言葉にするようになったのか、としみじみ思う。肌を焦がしているだけじゃないようだ。
「……明日から集中講義で、久しぶりに3人集まるんだっけ?」夏の集中講義を3人でとったそうだ。
「うん。そうだね」
「元気そうな顔で来る彼女にいつも通りに接してやれ。それが答えだ。聞きたきゃ彼女に聞いてみる?」
「うん。元気ならいい。裏で探るような真似は好きじゃない」そう、元々こう言う奴だったかもしれない。
「そっか。まだまだ夏休みは長いけど何するんだい?」
「あー。もっぱらバイトかなー。あとは海に行きたいなー。2人とも講義以外で会えるか、明日聞いてみる」
うん。そういう過ごし方もいいかもね。
さて、俺も神様に経過報告しないとな。

2024年 文披31題 day29 焦がす

後書き
31日って、なかなかの期間でしたね。
ふざけたストーリーでしたが、野呂亮君、羊君、喜多さん、チャーミーの深掘りより正確な表現をするならば後出し設定と辻褄合わせをするつもりもなかったし、出来ると思わなかったけど、そこそこ長いお話になりました。
若干ネタバレになりますが、ちょろっと触れた神様への報告を『色相』というお題にあてはめて、最後の1話は3人に舞台を譲りたいと思っています。

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