見出し画像

困ったときの写真屋さんの遺影写真

遺影写真のご依頼はご年配の方が多いのですが、
今回ご依頼いただいたのは私と年齢が変わらない女性でした。共通の友人の遺影写真を私が撮影していたため、ご連絡いただいきました。

「乳がんステージ4ということがわかったので治療がはじまる前に自分の遺影写真と家族写真を撮りたい」とご依頼をいただきました。

撮影後、きっと私の宣伝をという応援の気持ちから「写真をシェアしていいです。」と言っていただいたのですが、お断りしました。

「心配」ってうれしい心配と、ちょっとやっかいな心配があると思っていて、やっかいな心配とつきあうのが私は苦手です。がん治療でただでさえ大変な気持ちになるのに、やっかいな心配とつきあうことになったら更に大変なので、共通の知人がいそうな私からはシェアしないことをお伝えしました。

なので、ここでは撮影の報告だけ。
困ったときの写真屋さんにたどり着いてくださった方は、長いやりとりからはじまることが多いです。今回はアルコールの苦労を抱えた父親とつきあった苦労。家族との苦労や想い。これまでの人生を子供の頃から振り返りながら伝えてくださいました。大変な勇気を出されての撮影でした。

撮影場所は相談して決めた公園にしました。「撮影と聞いてお母さんなんて着物を着ようとしたのよ!着替えてもらったわー。もうほんとに笑っちゃう!」と、ご本人はお気に入りのピンクのセーター、お母さんもお兄さんもラフな格好で来てくださいました。

家族と離れてふたりきりで撮影しているとき「いま生きているということだけで、これまでの苦労のどれもが小さいことに思えてきた。」と話してくれました。
これからも揺れ動くだろうという冷静な気持ち、現実に追いつかない気持ち、家族を想う気持ち、どれもが真実として抱えていることを撮影中に教えて下さいました。

撮影が終わって歩きながら、お母さんが「また来年も撮りましょうね。」と話してくれて、ご本人とも約束しました。

この日はフィルムで撮ったのですが、当日撮った写真を。

困ったときの写真屋さんでは「誰に頼んでいいのかわからない」という依頼も受けています。話したいときは聞きます。でも話さなくても大丈夫です。
それぞれの撮りたい想いを写真にさせていただきます。
https://cocoroto.jp/komatta_photo/

画像1


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?