駅ピアノ01

駅ピアノ 2020.2.20

ときどきNHK BS1の番組を観る。圧倒的にドキュメンタリーが多いが、お気に入りの小番組がいくつかある。なかでも、駅ピアノ、空港ピアノは、放映時間の短さとは裏腹に深く深く染み入る好番組だ。僕は居ながらにして、会ったこともない夥しい人生を覗き見る。

駅ピアノは、その名の通り、駅のコンコースに置かれた、誰でも自由に弾けるピアノのこと。最初に観たのは、アムステルダム中央駅だったか。固定カメラで映された映像とショートインタビューを、簡潔なテロップとともに眺めるのだ。世界中の駅、空港に現れる人々の現実の生を目の当たりにする。その劇的なこと。どんな長編映画さえも敵わない。
ごく普通の通勤客もいれば、旅行者、学生、主婦が続いたと思うと、失業して職探し中の人、移民、ホームレスさえもが鍵盤に指を伸ばすのである。弾き終わると、ときに周辺から起こる拍手。ビールでも飲みな、とお金を渡すオヤジもいた。ピアノの前を行き交う驚きに満ちた人生模様。感動の挙げ句、無性にピアノを弾きたくなったことを告白しておこう。

駅ピアノ02

誰もが一所懸命に生きているのだ。すべての人に幸あれ。

駅ピアノ03

ジャーナリストになるかミュージシャンになるか迷う若者。

駅ピアノ04

幼いとき東南アジアから養子に来た男性。幸せそうだ。