ワールド・イズ
はなまるをぴっぴとつけてゆくひとののっぺらとした笑みをみている
ゆびさきのかたちを確かめてみますどこかで死んだかもしれぬ兄弟(ねこ)
にいさんと呼ばれる夕べ踊り場でターンしつづけているつまさき
菜の花のまばゆい川原を歩むとき湯掻かれる菜のめぐりを思う
みなノラと呼ばれて育つこの町の夕暮れをゆくぼくはいちまつ
ひい、ふう、みい やくそくをたくさん持っているにーさんのくつはぴかぴか
はなまるをぴっぴと捨てたぼくたちもまた幾重かの次元の呼吸
おそ松さんとわたし
軽い気持ちで1話を見たところ、すっかり『おそ松さん』の沼に住むこととなった。もうやらないだろうと思っていた二次創作のフィールドに舞い戻り、小説を書き、ほしいと思うままアンソロジーを作ったりした。『おそ松さん』で描かれる六つ子はひとりひとりでこぼこで、そのでこぼこさをわたしは愛しく思ったのだった。まったくもって正しくない「クソ」と呼ばれる姿を毎週見たかったし、見ることで、脊髄反射で他者をジャッジし、ジャッジされる日々から解放され続けていたようにも思う。この世界のどこにあっても、みなそれぞれのかたちであるように。六つ子に幸あれ。
(初出:2016/5/24 UtaMatsu)
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