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エディブルヤードラボ始めます

先日「協生農法」という考え方に出会い、とても興味を持ったので、これを実験的に試してみるラボを始めることにしました。

協生農法とは

協生農法は、ソニーコンピュータサイエンス研究所(CSL)の舩橋さんらが提唱・推進している農法で、いわゆる自然農法と重なる部分が大きいと思いますが、「不耕起、無施肥、無農薬、種と苗以外一切持ち込まないという制約条件の中で、植物の特性を活かして生態系を構築・制御し、生態学的最適化状態の有用植物を生産する露地作物栽培法」(出典:協生農法実践マニュアル)です。ソニーCSLではこれがこれからの地球環境を守って人が生活していくための鍵のひとつになると考えて、日本国内やアフリカの砂漠などで実証実験を行っています。

以下では、私が協生農法に興味を持った背景を幾つかご紹介します。

自律的な暮らし方について考える

今回の新型コロナウイルスに端を発する生活の様々な制約が象徴的ですが、最近は災害などによってこれまで頼ってきた社会システムがうまく行かなくなることが頻発しています。それによって、今まで「あって当たり前」と思っていたことがそうではなくなるということを私達は目の当たりにしています。例えば突然トイレットペーパーが店頭から無くなるとか、外食できなくなるとか。そうなってみると、いかに今まで多くのことを社会の仕組みに頼っていたかを痛感しますし、それらが常にうまく回っていることを前提としすぎていたかも感じます。そう考えると、これからはもう少し自分の暮らしを自分で賄えたほうが良いのではないか、自分でできることを増やして、社会の仕組みが一時的に止まってしまっても暮らしていけるようにするほうが良いのではないか、という問いが生まれます。協生農法は家庭菜園並みの小規模から始められて、(うまくやれば)従来型の農法よりも多くの収穫が得られるとのことなので、前述の問いに取り組む1つの方法なのではないかな、と思っています。

コントロールからやりくりへ

前述のことに関連しますが、現代社会では様々なことをコントロールすることに慣れています。ネット通販での買い物が象徴的ですが、何か思いつく→それに必要な具体的なものを注文する→注文した通りのものが届く→思いついた通りのことを実現できる、ということが当たり前になっていますし、Amazonなど様々な仕組みがそれを快適に行えるようにどんどん洗練されています。しかしその弊害として大量の廃棄物が生まれたりもしますし、無駄を解決するひとつの方法であるシェアリングエコノミーも今回のコロナは大きなチャレンジになっています。そうであれば、これからは何でもかんでも思い通りにコントロールしようと考えるのではなく、「あるものでやりくりする」という考え方をもう少し見直しても良いのではないか、と思います。協生農法は多種多様な有用植物(食べられる植物など)を密生させることが特徴で、そこからはかなり自然に任せる部分が大きいので、どんな作物がいつどの程度収穫できるかを正確に予測したりコントロールすることは難しいという特徴を持っています。常に異なる少量多品種の収穫物を得て、それをどう利用するかは臨機応変に考える、という発想に変えなければならないことが、「コントロールからやりくりへ」と考え方を変える練習になるのではないかと思います。

多様性を当たり前とする

協生農法は多種多様な植物や動物たちによる相互作用を活発化させることが、結果的に人間にとって有用な植物の収穫量を増やすことに繋がるという考え方なので、多くのこれまでの農法のように単一の作物や大きさの揃った作物を育てるというのとは真逆です。既に協生農法をやっている方は、単一の作物を作ると害虫や疫病が発生しやすいが、多様性を増すことでそれが起きにくくなるとしています。しかも、それらの多様な種が複雑に相互作用するので、すべての生き物が結果に何らかの影響を及ぼすことになるでしょう。近年人間社会でも多様性について考える機会が増えていて、現在もコロナウイルスと並んで世界的に大きなうねりになっているのが多様性についての考え方です。協生農法に取り組むということは、多様性というものについて考える機会にもなるのではないかな、と思っています。

ファシリテーションに頭を使う

協生農法はかなりを自然に任せますが、放っておけば良いというものでは当然ありません。起きていることを常に観察し、その変化の要因を想像し、生態系が豊かになって収穫が大きくなるようにするにはどうすれば良いかを考え、試していく必要がありますし、それをいわゆるコンパニオンプランツ(組み合わせるとお互いよく育つ植物)や土壌や自然条件の組み合わせがとても複雑になる中で考えなくてはなりません。前述の通り精密にコントロールすることは手放すとしても、より良い状態になるようにファシリテートすることに頭を使わなければなりません。ソニーコンピュータサイエンス研究所ではそれを将来的にAIによるビッグデータ解析がサポートできるのではないかと考えているようです。

これって教育に関係あるのでは?

そう考えてくると、協生農法に取り組むことと、教育の未来について考えることに重なる部分が多いのではないかという気もしてきます。もちろん、これはあくまで「似てるかも」ということであって、ここでの気づきがそのまま教育に活かせるという保証はまったくありませんが、日ごろ教育について考える機会が多い立場の人がこれに取り組むことにより、何かヒントになることが得られたり、考えるきっかけが得られたりする可能性もあるのでは、と思っています。もしかしたら、将来日本中の学校などにこういう場所が合ったほうがいいよね、となるかもしれません。

とにかく楽しむ

いろいろ真面目っぽいことを書いてきましたが、結局のところ、これを始めようと思った原動力は「面白そう!」ということです。Explaygroundは「遊びからの学び」であり、それ自体に興味を持って主体的に取り組むことから学んでいくのが信条。義務感や使命感だけで取り組むのではラボになりません。やりくりすることを楽しむ、ファシリテートすることを楽しむ、思い通りにならないことも楽しむ、多様でカオスなことも楽しむ、こわい虫が出てくるかもしれないことも楽しむ、ということが大事です。もちろん、うまく行けばおいしい作物がたくさん取れて、それらを食すことがExplaygroundの人の輪を豊かにすることに繋がっていけば、それに越したことはありません。

学びを記録する

色々期待はありますが、そう期待通りに行くかどうかわからない(行かない可能性も結構高い)というところがまた興味深いところだと思います。協生農法自体まだ取り組んでいる人が少なく、他の農法をよくご存知の人にとってはマユツバな方法かもしれません。それに素人が手を出そうというのですから、どういうことになるかはやってみないとわかりません。近年教育分野では「リフレクション」や「ポートフォリオ」ということが大事であるとお聞きしました。日々の学びを振り返り、それを記録し、しばらくしてまた振り返ることでさらに学んでいく。そうであれば、まさにこの取組みも振り返りを記録していくのに適した活動だと思いますし、写真なども有効でしょうし、変化やトラブルのネタには事欠かない予感がします。ですので、リフレクションやポートフォリオのありかたを考えるフィールドにもなるのではないかと思っています。

まずは学芸大キャンパスの一角で

とりあえず学芸大キャンパスの一角の空き地で家庭菜園規模から始めることにしました。キャンパスはまだコロナの入構制限中で誰もが自由に入れるという状況ではないのですが、いずれ制限が緩和されてきたら興味ある人に仲間に入っていただいて、一緒に取り組んでいただきたいと思いますので、このブログにピンときたらぜひご連絡ください。

今後の進捗は、こちらのnoteに記していきたいと思います。Explayground Magazine にも載せていきますので、ぜひそちらをチェックしてください。

協生農法についてさらに詳しいことを知りたい人は、一般社団法人シネコカルチャーのホームページもチェックしてみてください。

(フジムー)

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やってみて 、追求して 、つくりだす 。 いつだって 、世界を変えたのは変わり者だった。何にも負けない『好き』の力が新たな世界を創造する。 東京学芸大学とMistletoeの新たな教育の試み。エクスプレイグラウンド。

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