見出し画像

5軸ルーターの木工にチャレンジ (8)ノコギリとヤスリ

[この連載を最初から読む]

前回、クライマックスの5軸ルーター切削を終えましたが、まだ作業は続きます。

まずは、前回の切削の最後で失敗してしまった箇所、

画像1

この削り残してしまった部分を仕上げなければなりません。ここは地道に普通のノコギリで切り落としていきます。久しぶりに自宅のノコギリを引っ張り出して切り始めました。

少し楽だったのは、上半分ができていたので、その面に沿って切って行けば良かったこと。そうでないと素人がまっすぐにノコギリを進めるのは難しいです。

逆に難しかったのは、第一に材料が広葉樹で硬いこと! この時だけは広葉樹にしたことを後悔して「ヒノキだったら楽だったのに!」と思いました。切れども切れどもなかなか切り進まず、非力な私はすぐにくたびれてしまいます(涙)。

しかも、ちょっと油断すると本体の方に傷を付けてしまいます。

画像2

これは一番派手にやっちゃったやつです。斜めの線が深く入ってしまいました。

もう一つの難点は、曲線の箇所があること。幸いなことにほとんどの面は直線なのですが、

画像3

画像4

この箇所が曲者。「糸ノコがあれば楽なのになあ!」と思いながら切りました。(実際は糸ノコでも初心者の私にきれいに切れたかどうかは怪しい。)

画像5

これらをぐるりと一周切り取るのに 4時間くらいかかってしまいました! それ以外のところを BIESSEが 30分ほどで切ってしまったことを思えば、BIESSEの偉大さを実感します...。

次は、木組みの部分です。設計時点で 0.2mm の余裕を作りましたが、果たしてそれはどうだったのか!?

画像6

惜しい! 入りませんでした。コンマ何ミリか大きいようです。

曲面なのでどう削ればよいのかイマイチ自信がありませんが、紙やすりでオス側を全体的に削ってみました。

画像7

おっ、半分くらい入るようになってきました!手でぎゅうぎゅう押してここまでなので、叩いて入れれば奥まで入りそうです。机や椅子ならそれで良いのですが、このPCスタンドは組み立てたり外して片づけたりできるようにしたいので、手で外せるようにもう少し緩くしたいです。外してみると、

画像8

このようにきついところに跡が付きましたので、ここを重点的にやすり掛けします。

画像9

入りました!

これで一応の形にはなったのですが、まだイマイチです。前述の通り、

画像10

こんな風に下半分がノコギリで不格好になってしまっていますし、

画像11

ノコギリはそこそこうまく切れている面も、上半分のBIESSEで削ったところとの見た目がだいぶ違います。ルーターの刃で削るとツルツルにはならないようですね。

画像12

↑こちらはすり鉢状に削った曲面ですが、ルーターの刃がぐるぐると5軸加工した跡がくっきり残ってしまっています。

というわけで、これらをもう少し見栄え良くするためにヤスリ掛けを行うことにしました。

まずは一番理想からほど遠い、

画像13

こいつから。これくらい大きな差だと、紙やすりでは気が遠くなるので、金属ヤスリが必要です。自宅には無かったので、これを機に買いました。

金属ヤスリは勢い込んでやってしまうと削りすぎてしまいそうなので慎重に。自宅では木材を固定するのが難しいので、図工室の万力が恋しくなりました。

くぼんでいるところは三本のうちの棒状のヤスリが超絶便利。

画像14

↑こうだったところが、

画像15

↑ここまで整いました。

次に、簡単そうな平らな面を。

画像23

これ。はじめは紙やすりを端材に巻き付けてこすってみたのですが、30分くらいこすってもなかなかきれいにならず。この調子では全部の面やるまで何時間かかることか。

そこで、学芸大キャンパスに行くついでに VIVISTOP GAKUGEI の道具箱で電動サンダーを使わせていただきました。

画像17

ネットで調べると、このタイプよりは円形でぐるぐる回るタイプの方が強力らしいのですが、これでも手でやるよりは早そうです。紙やすりを張り付けるようになっているので、目の粗い80番手の紙やすりを巻き付けてスタート。確かにこれは良さそう!立ち寄れた1時間半の間に、だいぶ進めることができました。あとは自宅に帰ってから続きをやって、

画像22

ここまできれいになりました。上半分と下半分の境界もなくなりました。

面倒なのはまたしても曲面の部分です。BIESSEの刃がつけた筋を消すのは意外と骨が折れます。

ネットの記事で「木工 ヤスリがけ」などと検索すると、紙やすりのかけ方が見つかりますが、たいてい「目の粗い番手から始めて、段階的に細かい番手に持ち換えていく」と書かれています。粗い番手は削るのが早いけど文字通り粗削り。細かい番手は少しずつしか削れないけどきめ細かく削れる。やってみると確かにその通りなのですが、ある程度粗い番手で削って「これくらいでいいかな」と細かい番手に進んでしまうと罠にはまりました。

細かい番手(400番とか)で削ると、とてもすべすべした肌触りになるので、とてもウキウキしてしまうのですが、先走りすぎるとぬか喜びなのです。イメージ的には、

画像19

表面がこの赤線のようにギザギザしているところに、早いうちから細かい番手に進んでしまうと青線のようになり、肌触りは柔らかくなるのですが、そこから先いくらその番手でこすってもなかなかそれ以上凹凸が消えない(上図の谷の部分が筋になって消えない)のです。まずは元々あった凹凸が分からなくなるくらいまで粗い番手で削ると、

画像20

この青線の感じで、その番手のヤスリによるキズと見分けがつかなくなるので、そこまで来てからようやく次の番手(60番から始めたら次は120番くらい)に進むようにしないと、いつまで経っても終わらないのです。

ということを、痛感しました。

それが分かってからも結構大変。やはり広葉樹なので硬くて時間がかかります。かれこれ10時間くらいやったでしょうか。

画像21

↑ こうだったところ曲面も、

画像22

同心円状の筋が分からないくらいまできれいになりました! そして先ほどの

画像23

↑ この部分も、

画像24

ここまで美しくなりました! ふぅーっ

これで、あと一息です。次回で完成するかな。

(フジムー)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?