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友人の死

はじめまして

この一文から始めさせていただきます。

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友人が死んだらしい。

友人と言っても小中が一緒でクラスが同じだった程度だ。本が好きだった彼は朝の読書の時間だけでなく授業中にも隠れて本を読んでいるようなタイプだった。

中学時代の私の愛読書は「空想科学読本」だった。漫画やアニメを現実にしようとするとどうなってしまうのかという、くだらなくも面白い本で科学好き小中学生には堪らない一冊だ。時々今でも読みたくなるため、書店に行った時についつい手を伸ばしてしまう。

その本を手にする度に彼のことを思い出していた。特段仲がいいわけでもなかったが、普通に会話もするし、戯れ合う程度のことは普通にするくらいには仲が良かった。どんなきっかけかは覚えていない。自分から進めたのか読ませてと言われたのか。だが、その頃は本の貸し借りを頻繁にしていたから、それの流れでしかなかったのだろう。

「空想科学読本」は本当に面白い作品で読んでいると吹き出しそうになることがある。朝の読書時間にその本を読んでいた彼は静寂の中、盛大に吹き出して皆から視線が集まることがしばしばあった。彼は机に突っ伏すことで隠したつもりでいたのだろうが全然隠せていなかった。

社交的というタイプでもなければ、勉強ができるわけでもなく、運動ができるわけでもなく、全てが平均という感じだった。それでも彼が醸し出す雰囲気というものが好きだった。中学時代から私は「頭が悪い奴が嫌いだ。勉強という意味ではなく、社会的に という意味で」と言っていた。そのスタンスは多分今も変わらない。そういった意味で言うと彼は自分の中で社会的賢い人に分類されていたのだろう。

それでも高校から別になったら全く連絡を取らなくなった。そもそも小中の友人と高校になってからも連絡を取っていた人間など10人もいないかもしれない。仲のいい卓球部とは中学校から今でも連絡を取り合うがその他はからっきしだ。そのため高校以降は誰がどこで何をしているのか殆ど知らない。例え聞いたところで「ふーん」ぐらいの返事しかしないだろう。彼も中学以来話は何も聞いていなかった。

死の詳細は自分もよく分からない。人伝いに聞いたものを更に人伝いに聞いて更に という感じのため何個中継しているか分からない。山の中で見つかったらしいが自殺だったかもしれないと。結局詳細が分からず不自然死のような扱いらしい。

24になる歳だ。結婚して子供がいる人もいれば、アナウンサーになった人もいる。自営業を継いだ人も、ニートのままの人も、死んだ人も。このぐらいの年齢になると色んな経験をしていく。幸せも悲しみもこれから重ねていくのだろう。
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手の届く範囲にいるあなたが

幸せでいることを願います

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