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企業がメディアを運営する意味は、受信と議論のため(らしい)

プレイドのコミュニケーションディレクター(と名乗ることにしました)川久保 (@kawatake)です。

久々にnoteを書くわけですが、タイトルに悩みました。そして、タイトルだけでもう言いたいことは言ったので、ここで「なんだあの話ね」と思われた方は、そうですあの話です。

そう、先週公開されたこの記事、とてもいいですね。良すぎるので、この記事について今週3回も社内で話してしまったのですが、この内容から考えたことを今日は書きます。

この記事に関して超簡単に要約すると、文化と都市とインターネットの話なんですが、Page2で話されている「メディアの価値」の部分がとても心に残りました。

引用しながら、心に残った部分を紹介していきます。

若林:よく企業から、「オウンドメディアをやってください」という話が来るんですけど、基本断っちゃうんです。というのも、メディアの捉え方が間違っていると思うからで、企業はメディアを基本「発信装置」だと思っているんですよね。

〜中略〜

メディアの価値って、「声の大きさ」ではなくて、「耳の良さ」に宿るんですよね。『週刊文春』をみんながこぞって読むのは、声がでかいからではなく、そこが、ほかが聞き逃したり、見逃したりしている情報を掴むことができているからですよね。つまりは、アンテナの精度の高さであって、受信装置としてのクオリティなんですよ。

メディアは発信するために持つ、私もそう思っていました。しかしながら、メディアの価値は「耳の良さ」に宿る、つまりいかに情報を受信するかという部分にメディアの価値がある、と。

では、なぜ「耳の良さ」がメディアを持つことによって磨かれるかというと、編集部という存在。特にここに書いてあるように、「何が情報として価値があって、社会にとってなぜその情報が重要なのか、といったことをひたすら議論」するというのはとても大事な行為だなと思ったわけです。

若林:編集部というのは面白い組織体で、社会のなかからひたすら面白い人やもの、知られていないような情報を集めてきて、その何が情報として価値があって、社会にとってなぜその情報が重要なのか、といったことをひたすら議論している場所なんですよね。そして、それを記事化していくなかで、より思考の精度もあがり、それによって、さらにアンテナの解像度も高くなっていく、ということを延々やり続ける場所なので、まあ、やってる側にとっては、これはひたすら学びのプロセスなんですね。で、オウンドメディアの話に戻しますと、企業に必要なのは、でかい声ではなく、むしろそうした「感度の良い耳」であるはずなんです。

XD編集部としても雑談編集会議(思いついたこと、最近体験したこと、気になったニュースなどをあげて、あーでもないこーでもないとただ話すだけの場)を毎週開催しています。

その他にも、ランチを食べながら一週間の出来事やニュースを振り返る会(なんと3年以上続いています)だったり、「この情報が持つ価値って何だろう」ということを社内でけっこう話しています。

そうなってくると、自然と色々なニュースを受け取る精度があがってきます。XDで記事にできそうなネタがないか、CX DIVEでのセッションテーマになりそうな話がないか、また最近ではKARTEのオウンドメディアであるCX Clipの編集も一部手伝っているのでそちらで取り上げられそうなネタはないか、四六時中情報探しているモードになるんですよね。

ただ、そうやって情報をインプットするだけではなく、その情報の持つ価値を自分の価値観だけ判断するのでなく、他者と話し合う。他者と話し合うことにより、また違った意味を情報に付与でき、より多角的な見方もできます。

こういった行為は、「スループット」というそうです。インプット/アウトプットが大事ということはよく聞きますが、その中間にある「スループット」がより大事なのではないかと思うのです。

「良質なアウトプット」を行うために必要なものは、「十分なインプット」と「適度なスループット」を確保することです。
  
 ここで「十分なインプット(input)」とは、「自己の外部から、世の中の最先端を走る知識を、十分仕入れること」を意味します。
 一方、「適度なスループット(throughput)」とは、「外部からたくわえた知識を自分のなかで咀嚼したり、他人と対話しながら、自分の腹におとすこと」をいいます。

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つまり、企業がメディアを持つときに大事なことは、「編集部」という組織体を持つこと。そして、その組織体の目的を「情報を発信すること」ではなく、「情報を受信し、その情報の持つ意味を議論すること」とするのだと思うのです(というか、そう書いてあったので、そうだそうだと思いました)。

事業としてのメディアを運営する場合はまた別だと思うのですが、オウンドメディアという形でメディアを運営している場合、アウトプットとしての記事のPVやUU、SNSでのシェア数といった目に見える数だけではなく、企業の中に編集部という組織体があること、そしてそこで企業と社会を接続するための議論されていることに価値を見出すべきだと思うのです。

そういうことも、既に若林さんは話されています。さすがですね。

もちろん、企業にも情報感度の高い人はたくさんいるんですが、企業のみならずあらゆる組織にとって今後ますます問題となってくるのは、組織内部の情報格差だと思うんですね。これがなぜ問題かといえば、戦略や戦術を練って、実行しようとなっても、そもそもがみんながてんでバラバラな地図を手にしていることになるからです。そういう意味でもメディアをやるなら、受像機の解像度をちゃんと揃えて、その上で共通のマップを手に入れるためにこそやらないと意味ないんですよ。

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長くなりました。最後に結論をもう一度。

ダメなオウンドメディアの運営目的
・自分たちが言いたいことを言える場と捉えること。
・発信したことにより、ビジネス的な見返りがあるものだと考えること。(問い合わせが増える、など)

あるべきオウンドメディアの運営目的
・企業としての情報の感度を上げるために運営する。
・情報の持つ価値を議論し、その情報を企業内に浸透させることで企業としての強みとする

そういった観点を意識して、これからもやっていきたいなと思いました。それでは、今日はこのあたりで。

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