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ラジオの良さから考えた、いま求められている体験について

XD副編集長の川久保 (@kawatake)です。

最近、ラジオがよく聞かれているという話を聞きました。リモートワークで自宅にいる方が増えて、自宅でラジオを聞いている方が増えているのかもしれません。

ただ、先日ラジオを聞きながら、そういう聞く環境の変化以外にもラジオがいま聞かれている理由があるんじゃないかなと、ふと思いました。ちょっとつらつらと書いてみます。

1つは、ラジオが持つ温かさ。ラジオは、過度な演出がなく、パーソナリティが自分のために話しかけてくれる感覚になります。そのため、ラジオを聞くとどこかほっとしますし、一日中つけていても嫌にならないことが多いと思います。

以前、博報堂ケトルの嶋さんはこういう発言をしていました。

ラジオは、不特定多数に語りかけるメディアであるはずなのに、リスナーは『自分のために話してくれる』と感じてしまう。中島みゆきさんのオールナイトニッポンでは、朝の4時に中島さん自らが天気予報を読み上げ、『今日は寒いから気をつけてね』と言ってくれる。それを、リスナーは『自分に対して言ってくれている』と感じてしまうんです。

また、以前XDの取材で、Radikoの坂谷さんにはこう教えてもらいました。

「ラジオにはラジオにしかない文化があります。他のメディアでは見せないタレントさんのパーソナルな話題や、ニュースに対する独自の考え。パーソナリティーとリスナーとの『近さ』。それこそがラジオの魅力ですし、これからも変えるべきではないと思うんです」

こういったところから、ラジオに対して温かみのあるメディアという印象を持っているのかもしれません。

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加えて、今の空気を反映していることリアルタイム、双方向であることもラジオが今聞かれている理由としてあるのかなと思いました。

先行きが見えない状況が続き、とても不安です。私たちが求めているのは、この不安をすぐに解消するなにかではなく、不安の中で寄り添う仲間なのかもしれないと思います。

こういう時に、パーソナリティがいつもと同じ事を言ってくれる(いつもと変わらないという良さが安心につながることもあると思います)、もしくはこの状況だからこその選曲をしてくれるラジオは、とても心強いなぁと思いました。

また、時代の空気を反映するだけでなく、まさにその時間を共有している感覚が持てるのもラジオの良さだと思います。

私がよく聞くJ-WAVEは、六本木ヒルズ33階にスタジオがあるので、多くの番組でそこから見える東京の空についての話をパーソナリティの方がしてくれます。晴れ間が見えてきました、まだ雨が降っています、雪がちらついています。

天気やその日にあった出来事、そういったものをすぐに反映して話してくれると、同じ時間を共有している感覚が強いです。

また、ラジオの場合は昔からリスナーによる投稿も盛んであり、今だとメールやTwitterによって番組へリスナーから話しかけることができます。それに対して、パーソナリティが読み上げてくれる。こういう双方向性がまたラジオを身近な存在に感じるのではないでしょうか。

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そんなことをXD編集部で話していると、そういえば近いなとおもう体験がありました。先週、近所の子ども向け体操教室が、オンラインでの体操教室を試験的に実施してくれたのです。

初日は、先生だけが教室からYouTube LIVEで配信。2日目は、近所に住む生徒も数名だけ一緒に参加して、Facebookでライブ配信。

おかげさまで、うちの子は楽しく体操をさせてもらったのですが、特に喜んでいたのが先生にメッセージを送り、読み上げてもらったときです。この教室では普段からLINEの公式アカウントで、お知らせを送ってくれています。今回のライブ配信中、先生がしきりに「何回できたかな?LINEで送ってね」というふうにこちらに話しかけてくれました。

それに対して、「〜〜ちゃんは、○回できました」とLINEで返すと、「お、〜〜ちゃんは、○回できたそうです、偉い!」と名前付きで読み上げてもらっていたんです。

ラジオのパーソナリティに、自分の投稿を読み上げてもらった喜びのような感覚。きっとうちの子はそういう喜びを感じていたのではないでしょうか。

YouTubeやFacebookのコメント欄ではなく、パーソナルに送れるLINEというのもいいですよね。コメント欄に、自宅の写真をアップできませんが、LINEであれば、その障壁はぐっと下がります。

配信は、1対Nに行うけど、そこに対するリアクションは1:1で行う。これも身近に感じるポイントなのかもしれないですね。

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こういったことは、オフラインでの体験で我々が求めていることなのかもしれません。今に合わせた振る舞い、リアルタイム(当たり前ですが)、1:1の双方向性。

さまざまなことがオンラインで体験できる機会が増えていくと思いますが、オンラインの良さ(場所の制約がなくなる、移動時間が不要、大人数でも参加できるといったこと)に加えて、このようなオフラインでの体験の良さを取り入れられることができると、オンラインでも今までにない体験を提供することができ、より深い結び付きを作り出すことができるかもしれません。

そのようなことを実現できている事例などございましたら、ぜひTwitterなどで教えて下さい。#これもCX タグをつけていただくと、すぐに見つけます。

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