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生活者の“当たり前”はふとしたときに変化する

XD編集長のイイヅカです。( @aixca ) 

誰もが予期しなかったであろう新型コロナウイルス感染症の広がり。
緊急事態宣言も発令され、不要不急の外出や人との接触を極力避けるよう呼びかけられています。

東京では多くの店舗が営業を自粛し、渋谷や銀座、秋葉原など、普段は人が溢れる街からも人が消えるという、ある意味非現実的な光景が広がっています。

そんな中、必要な食材を買うためにスーパーを訪れたのですが、そこは現金のみでキャッシュレスに非対応の店舗でした。
いつもだったら残念がるだけですが、いまはコロナ対策の関係で、違ったストレスを感じることになりました。
今回は、”当たり前は急に変わる”のだということと、問われる企業の姿勢について考えてみました。


まだ遠くにある未来が急に目の前にやってきた

キャッシュレス決済はかなり普及してきました。東京に関していえば、よほど小規模でもない限り、ほとんどのスーパーでキャッシュレス対応レジが登場しています。私自身も普段はキャッシュレス決済を利用しているので、現金はほとんど使わなくなりました。

冒頭の“違ったストレス”というのは、現金払いは釣銭の受け渡しが必要になることです。従来であれば面倒だと感じるだけですが、誰が触ったかわからない硬貨を触ることが気になってしまったのです。
もちろん店員の方がより多くの人と接することになるので、もっとストレスにさらされているでしょう。
「硬貨は不特定多数が触っているもの」ということをいままでは気にしたこともなかったので、こういうきっかけで人の感じ方は変わっていくんですよね。しまいには「店内の衛生環境」「対策がほとんどされない中で働く店員さんの気持ち」までもが気になってしまって、少し陰鬱な気持ちになりました。

キャッシュレス対応はこれまで、「やるべきだけど、緊急性は低い」と位置付けている店舗も多かったのではないでしょうか。
特に日本は根強い“現金派”が存在しますし、店舗側も手数料が発生する支払いの場合は収益が下がるという現実もあり、小規模であるほど敬遠してしまう要因となっています。
しかし、これからしばらくはコロナ対策の1つとして、接触が不要になるキャッシュレス決済を選択する人が増えていくことが考えられます。
キャッシュレスへの不安としてあげられる「使いすぎが怖い」「管理がしづらい」などの理由を、こうした事態が吹き飛ばしてしまうのです。
このように、生活者が求める当たり前は嘘のように変化していことを実感しました。このような事態に対応できない、配慮が行き届かない店舗というのは、その企業としての姿勢にも疑念が生じていきます。

最近の動きでは、Amazonも玄関前への「置き配」をデフォルトに切り替える対応を行なっています。当初は不安視する声が多かったのですが、コロナの影響が強まるにつれ、歓迎される声が聞かれるようになってきました。

ヤマト運輸も非対面での受け取りを一時的に可能にする対応を行なっていますが、敬遠していた人が「置き配」を体験する機会となっています。

これがスタンダードになっていくのかはわかりません。ただ、この機会に臨機応変に対応できるかどうかは、普段から準備してきたことが問われる局面でもあります。

「今回のような事態を予測しておくべき」というのは乱暴だとは思いますが、遠くに存在していると思っていた未来が急に目の前に訪れることだってあるんだということは想定しなくてはならないのかもしれません。
少なくとも、「生活者の当たり前が今後どのように変化していくのか」ということは常に考えを巡らせておきたいですね。

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