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不思議中毒

マジックをある程度勉強していると、誰しもが陥る状態がある。

それは「こんなマジック不思議じゃない」という状態だ。

世の中には無数のマジックがあるが、カードならカード、コインならコインで、基本的な技法というのはどれも大体同じである。

その見せ方や手順を少し変えているだけだ。

だからある程度技法を勉強した状態でマジックを見ると、一度見ただけでも大体の手順やタネはわかってしまう。

こうなると、どんなマジックを見ても何が不思議かわからなくなってしまうのだ。

自分の知らない技法を使った目新しいマジックでなければ脳が刺激されない。

「おお!今のすげぇ!」ってならない。

こんなマジック覚えても仕方ないとか考えてしまう。

そうなって当たり前、と思ってしまう。


そう、当たり前なのだ。

ただ気をつけて欲しい。

“マジシャンにとって”当たり前なのだ。

どんな業界でもそうだが、その業界での当たり前が一般の人にとっては目から鱗、なんてことは往々にしてある。

だからもしあなたがマジックの勉強をしていて、どんなマジックを見ても不思議に感じないという状態になってしまっているのなら、一度その“あなたにとって”不思議じゃないマジックを友人にでも披露してみてほしい。

きっと驚いてくれる。

あなたも「え、こんなに驚く?」ってなると思う。

そうすれば、自分の当たり前と普通の人の当たり前が既に大きくズレていることに気付くはずだ。


基本的で簡単なマジックが、名作として何年、何十年とかけて演じられ続けているのは、それだけそのマジックが優れているということ、それだけウケるネタだということだ。

「こんなもの不思議じゃない」「こんなのやってもすぐタネがバレちゃう」なんてことはちゃんと練習したのであれば不要な心配だ。

自信を持って演じてみてほしい。

きっと喜んでもらえるはずだから。

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