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【mix】ドラマーは音量よりも音質を意識せよ

具体的に「音量よりも音質が重要である」という話をドラマーであり、DTMerでもある筆者が、「レコーディング、音源制作」という観点からドラマーの音楽的表現にとって本当に必要なものが何かを語っていきます。

レコーディングの過程について

=マイキング=

レコーディングではバスドラムやスネアドラム、タム類などを打面の近くに設置された単一指向性のマイクで音を拾いシンバル類は頭上高くに設定される無指向性のマイクで全体の響きを収音していくのが一般的です。

場合によってはハットにマイクを立てたり、スネアの裏側にもマイクを立てたり、バスドラムの中にマイクを突っ込んで打面側も収音したり、アンビエンス(部屋鳴り)用に部屋に対してマイクを立てたりと拘ればキリがないですが、なぜこんなにマイクを立てるのでしょうか?

答えは簡単ですね。それは

一つのマイクで全ての音を拾いきれないから

これにつきます。上記のマイクにもそれぞれ特性があり指向性はもちろんのこと、高域を拾いやすくチューニングされたマイクだったり逆に低音が得意だったりともう様々です。エンジニアの方はその中からイメージしている完成像を軸にマイクを選び、マイクの位置を考えていきます。音作りにおいてチューニングと同様に大事なところですね。

=レコーディング=

昨今はほぼDAWでのデジタルレコーディングなのですがこのレコーディング方法には音圧の限界(ピーク)があり、そこを超えると音割れや歪みを起こしてしまいます。そのため初期の入力調整でそのピークを超えないようにマイクの感度を調整します。プレーヤーはここで本気を出して(笑)納得のテイクができたらミキシングへと移行していきます。

=ミキシング=

さて、音作りにおいて次に重要なのがここなのです。ドラムのみでなくボーカルやギターなど様々なパートとのバランスを調整したりやエフェクトをかけて理想的なサウンドに仕上げていくエンジニアの腕の見せ所。DTMerの私もここが大好き。難しいけど。

=マスタリング=

音源を納品していくための最終工程。元々は各トラックとのバランスなどの調整で使われていた言葉でしたが、最近は先のミキシングの工程で完成した2mixの音圧を上げたり全体のイコライジングをしたりといった作業のことを指す場合も多いです。というかミキシングとマスタリングの垣根がなくなってきていて同時に行う人もいるようです。

ミキシングでのドラムの調整

前置きが長くなりましたがここからが大事なところです。

ドラムなどパーカッション類はアタックが鋭くピークを超えやすいためバランス調整が難しいのですが単純にフェーダーを下げると薄くなってしまいがち。音圧感を保ったままピークを超えないようにはどうすればよいか。それは

コンプレッサーリミッターと呼ばれるエフェクト処理を施す」

が要になってきます。

コンプレッサー
スレッショルドと呼ばれる数値を超えた分の音圧レベルを1/2や1/4などに圧縮するエフェクト
効果⇒ 音の強い部分を圧縮することで音の減衰をなだらかにする。つまり音の強い部分のみの音量調整ができるので存在感をなくさず音を抑えることが可能

リミッター
スレッショルドを超えた分の音圧レベルをカットするエフェクト
効果⇒ コンプレッサーの強化版のイメージ。スレッショルドを超えた分を問答無用にゼロにするので、主にピークを超えないように設定される保険的な使い方(私の場合)

音量はカットされていく

他にもイコライザなど様々なエフェクト処理をしますがそれらはまた次回に。ミキシングでこのようにどんどん音量をカットしていくと、音量のみのコントロールができたところでその効果はどんどん薄くなっていくということになります。ただし「音質の変化」はコンプレッサーなどの影響をほぼ受けないということなのです。アコースティック楽器においては音量と音質は無関係ではなく、音量によって音質もある程度変化していきますが奏者のタッチや奏法によって積極的に音質へのアプローチを行った方がよいと私は考えています。

アクセントとは何か

ドラマーがよく行う基礎練習に「アクセントコントロール」と呼ばれるものがあります。スティックの高低で音の強弱をコントロールしていく練習です。アクセントとは日本語では「強調する」という意味になりますが、強調する手段は「音量」のみでしょうか?「強調する方法」をたくさん増やすことでドラマーの表現力は広がっていきます。その手段の一つとしてアクセント練習においてもぜひ「音質」へのアプローチも行っていただきたいなと思っております。

EXIT DRUMLESSON


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