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ボクは告白ができない

人生は一度きりだ。その時やりたいと思ったことはすぐに実行する。これはボクの中で大事な「柱」だ。一回一回、やるかやらないかの決断を下すことはあまりない。あるのは、前に進むことだけ。

しかし、一つだけできないことがある。それは好きな人への「告白」だ。好きになった人との出会いは、一生に一回なのになぜできないのか。悩みの種である。この種、順調に成長しやがって、もうすぐ20歳になろうとしている私にメキメキとその枝を張り巡らせる。

中学2年生の時だ。好きな子ができた。ボクと会話をすると、魚が水を得たように、楽しそうに笑う。それが毎日である。決心したある日、まだスマホを持っていなかったボクは、学校でその本心を打ち明けることにした。教室ではバレる。いや、どこで言おう。思いついたのは同じ階にある階段の踊り場だった。時間を考えれば、他人は来ない。

だが、私の考えていたこと、話そうとしていたことはハッキングされてパスワードが盗まれるみたいに、彼女にはお見通しだった。

階段まで来てくれた彼女に、なんと言われたのか覚えていない。唯一頭の中に今でも残っていることがあるとすれば、「フラれた」ということだけである。

これだけの体験だったら、大したことはないのだが。

その数ヶ月後、さらに悲劇的なことが起きる。クラスで席替えをした時に隣の席になったのが、彼女だった。目も合わせてくれない。明らかに態度が怒っている。ボクなんかあまりのショックでインフルエンザにかかってしまった。

もし、今の社会でおんなじことが起きたらどんな悲劇になるか。毎日ニュースで報道される「あの人数」にボクも含まれるかもしれない。

さらに後に友人から聞いた話では「もう〇〇(ボクの名前)と同じ空気を吸いたくない。」と言っていたとのこと。この話を聞いたときはムンクの叫びのような感情だった。

好きな人に告白すると、こんな酷い目に会うのか。そんな思いが頭から離れない。ずーっと。5年間もだ。

こんな感情もそろそろ「時効」としたい。

成長した枝を取り払おう。もう一生その枝が生えてこないように。


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