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50回目の着陸と宇宙開発への熱意 人間のための宇宙教室

不可能を可能にする。

先日、イーロン・マスク率いるアメリカの民間宇宙会社スペースXがロケットを打ち上げた。今回はスペースXが開発した宇宙船「ドラゴン」を宇宙ステーションに向けて打ち上げた。「ドラゴン」は、ISSに物資やISSで行う実験の材料を運ぶ定期便である。

そこで以下の動画を見ていただきたい。

今回の打ち上げの映像だ。19:50くらいから見るとちょうどいいかもしれない。

まず注目して欲しいのは画面下部。中央に打ち上げまでの時間と打ち上げ後はその時間が記される。左にはロケットの速さと高度を表した数字。

子供の頃、アニメなどでこのような計器を見てドキドキを覚えたことはないだろうか。メカニックが大好きな人は共感してくれるかもしれない。

そして、打ち上げのカウントダウン。スペースXは1ヶ月に平均して2回ほどロケットを打ち上げているが、カウントダウンが非常に盛り上がる。エンジニアの方々がこれほど熱狂してカウントダウンしているのは見聞きしたことがない。アメリカのスペースシャトル打ち上げやロシアのソユーズ、そして日本のロケットの打ち上げを見ると物足りなさを感じるくらいだ。この打ち上げを見ている私はいつも感動して泣きそうになる。

ファルコン9ロケット以外のロケットならこの後順調に衛星を切り離して終わりなのだが、space Xは打ち上げ後もまだ驚嘆すべき要素がある。それは、これまで誰も考えつかなかったような、もしくは不可能だと決めつけている技術だった。

ロケットの第一段の着陸

である。

ほとんど全てのロケットは切り離しができるようになっている。それは、燃料を積んでいる部分を使い終わった後に切り離すことでロケット本体の重さを軽くし、速度を速くするためである。一般的に、1段目のロケットは切り離された後大気圏に突入して燃え尽きるのだが、なんとspaceXのロケットは地球に帰還するのだ。上の動画の場合、27:40あたりから見始めるとその様子がわかりやすいかもしれない。

実は今回の着陸が50回目の成功なのである。いつも着陸すると盛り上がるのだが、今回は一段とその盛り上がりを増したように思える。


上の映像は着陸に失敗した時の映像を集めた動画である。なんと公式。音楽と絶妙なタイミングで爆発をするというアメリカらしさ全開だ。しかし、ここまで失敗しても成功するまでやり続けようとする忍耐強さは私も学びたい。これまで不可能だと言われ、誰もやってこなかった技術を可能に、そして当たり前にする。50回という数は想像を超えるほど驚くべき回数だ。宇宙開発は進んでいるようには見えないかもしれないが、こうした技術の積み重ねも宇宙開発の歴史を作り上げていると思うと感慨深い。

何を言ってるんだ、と言われたらそれで終わりだが、そこで次の動画を見て欲しい。

この動画で登場するFalcon Heavyロケットは、大型のロケット。ファルコン9には存在しない2本のブースターが特徴である。

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この2本のブースターを初めて地球に帰還させた時の映像だ。注目して欲しいのは、ロケットが帰還する時のspaceXの職員や観衆の喜び。言葉に表せないとはこのことなのだろうか。

非常に偉そうなことをここまで述べてきたわけだが、私が何を言いたいのかというと

これからの宇宙開発にはSpaceXのような失敗をしても前に進んでいけるタフさと成功を心から喜びあえるほどの熱狂が必要

ということなのだ。私が思うにSpaceXを率いるイーロン・マスク(自動車会社テスラの社長でもある)は、夢や憧れを原動力にしているのではないだろうか。そして、周りの人たちも同じ夢を追い求めている。だから一回一回の打ち上げで盛り上がるし、1段目が切り離された時も、着陸した時も喜び合うのだと思う。

ところで、最近の子供たちは宇宙開発に対して興味がないという言葉をツイッターで耳にする。子供たちが興味を持たなければ、今後の日本の宇宙開発は育っていかない。では、どうしたら子供たちに宇宙に興味を持ってもらえるのか。それは、夢のように不可能なことを現実にすることではないかと考えた。

私は、技術屋さんではないからそんなことはできない。しかし、次世代の子供たちが宇宙について興味を持つためには、どのようなアプローチをしたら子供たちは心から素直に「すごい!!」と言えるのかということを考えていきたい。

(人間のための宇宙教室 #4)

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