しないこと。僕がしたくないこと。

本屋さんに行くとなんとなく気になる本というのがある。

そんな本の感想をたまたま見かけたので、

を読んでみた。

まず初めに僕はこのphaさんを全面的には否定しない。

そもそも人を全面的に否定などしない。

ただ、いくつかは受け入れられないなと思った。この本にはいくつかの「しないことリスト」が掲載されているのだけど、

たとえば、リスト28には、

個人的には人と会っているときにスマホを見るのは大歓迎だ。むしろ、もっとガンガン見て欲しい。なぜかというと、そのほうが「目の前の相手と会話しなければいけない」という圧力が弱まって、うまく喋れなくてもなんとなく場に居続けてもいい、という雰囲気になるからだ。
もちろん人間の注意力は有限なので、スマホやパソコンを見ながら会話をすると、会話がおろそかになる。でも、別におろそかになってもいいじゃないだろうか。

ここだけを読むととんでもなく失礼な人に思える。

実はこれには但し書きがある。「ネット慣れした人の前では」そうした方が自分のようなコニュニケーションが苦手な者には楽なのだ、と。

読書の紹介記事が僕は好きである。

ただ、忘れてはいけないのが紹介者のフィルターである。

今の時代にはこの記事に共感する人もいるだろうと思う。そういう人がこの記事を読めば、よくぞ書いてくれた!と心の中で拍手するかもしれない。主張の中で自分に都合がいいところを編集して紹介するだろう。もちろん僕だってそうだ。だからあえて但し書きを外してみた。

でも、但し書きを加えても、なお僕は、たとえネット慣れしている人同士でも横にいるなら話そうよと思ってしまう。相手があまり乗り気でないなら離れればいい。スマホの画面を覗き込んでいるような人には最初から話しかけたりしたくない。それがいいのなら、家でネットをしていればいい。

どうしてもいなければいけないのなら我慢するのが人としての礼儀だと思う。

こういう考え方自体が相入れない、ある意味で旧態依然としたものかもしれないけれど、何となく全編を通して我慢する必要はないんだよという考えがあまり好きにはなれない。

大半の人は我慢をしている。

それは家族のためであったり、大切な人のためであったり、生活のためであったり、もちろん自分のためであったりだ。

彼は立派だ。本を出しているという事はそれで食べている人がいる。

僕は何も彼自身を否定しているわけではない。周りに迷惑をかけない範囲で人に合わせない工夫が垣間見れる。考え方が苦手なだけで、リストの中には今まで右ばかり見ていた人に左や前や斜め後ろを見させるだけの力がある。

だから彼はそれで食べて行けるのだ。

僕自身は大した収入でもないので税金も多くは納めていない。何でお金をもうけたかと言いだせば別の話になるだろうけど、とにかく多く稼いで社会貢献をしている人を僕は(その人の考え方は置いといて)尊敬する。税金を人より多く納めている人はそれだけの労力をしていると思いたい。

この本の中でも紹介されている

に関してもあまり好きにはなれない。この本の暮らし方は、税金を納めず、一人で生きていくことに徹底している。そうしか生きられない人もいるだろう。でも、たとえば足繁く通う図書館の運営は何で支えられているのか。

一人で生きていくという楽な生き方は、誰がそれを支えているのか、周りに対する感謝が薄い。いや、ほとんどない。頑張っている人は別にそれでいいけど、僕はごめんだねというトーンが好きになれないのだ。

星野源さんはある時から、人見知りという言葉を使わないようにしたという。

ある日ラジオ番組のゲストに出たとき「人見知りなんです」と自分のことを説明していることに、ふと恥ずかしさを覚えた。それがさも病気かのように、どうしようもないことのように語っている自分に少し苛立ちを感じた。
それまで、相手に好かれたい、嫌われたくないという想いが強すぎて、コミュニケーションを取ることを放棄していた。コミュニケーションに失敗し、そこで人間関係を学び、成長する努力を怠っていた。
それを相手に「人見知りで」とさも被害者のように言うのは、「自分はコミュニケーションを取る努力をしない人間なので、そちらで気を使ってください」と恐ろしく恥ずかしい宣言をしていることと同じだと思った。

スローライフ、自然体、休みたいだけ休む。

そりゃ、誰だって憧れる。

だって自分本位で楽だもの。

でも、毎日疲れた顔で電車の中で居眠りしているお父さんの方が僕は尊敬できる。自分の人生だけを生きている人より、自分も含めた周りの人のために我慢して働いている人の方がカッコいい。ちなみに僕にはそんな家族はいないけど。

ただ、間違ってはいけないのは、このお二人は本を出している。そして、実は閉じた世界で生きてるわけでもない。phaさんはシェアハウスを企画して実際にみんなと暮らしている。ミニマリストとして取り上げられる人も、一見するとモノも人との関係も持たないようなシンプルな生活をしているように見えて、世に発信している限り、その考え方が誰かの役に立ち、結果社会貢献している。

僕が言いたいのは、こういう本を読んで閉じた社会に入りこみ、我慢して働いている人に感謝をしないような人間が増えて欲しくないという事だ。

障害があれば仕方ないかもしれない。でも自ら進んで後ろ向きな考え方をする人は好きではない。

自分だけの「しないことリスト」を考えませんか?という意味で読むなら面白い本だと思う。人間関係をうまく進めていくコツとして読むなら、勉強になることもある。本を出すという事はありきたりの意見を言わないという事は重々承知している。だってそうじゃないと出す意味がないし、売れないから。

僕にとってこの本は、ホリエモンやキングコングの西野さんのような人の目を引く強い主張と対極にありながら、どっちも苦手な考え方だなぁという感想を持ちつつ、本を出すだけの発信力があるなんてスゴイなぁというものだった。

ちなみに僕はnoteをやめる(しない)ことだけはしたくないです。

同じ著者の本なら↓こちらの方がネットに依存する彼ならではの情報術があって楽しめました。


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