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就職活動Webテスト代行問題

就職活動のWebテスト代行問題で京大卒の男性が逮捕されたという報道がありました。今回の場合はほぼ業として行っていた見せしめ的な要素もあったのかもしれませんが、そもそもWebテストという制度的に代行やカンニングがし放題の制度、つまり実施者側が不正防止の手段を講ずることないのに何をご冗談をというのが正直な感想です。
もしこれが難関資格や大学の一般入試だとしたら絶対にこのような制度自体がありえないでしょう。Webテストを導入する企業というのは筆記試験を軽視しているという姿勢のあらわれであり、そうであるならば何故問題視しているのかわかりません。

非常に的を射たツイートを見たのですが「Webテストは友人が多いリア充に有利な試験制度であり、企業もまたそのようなコミュニケーション能力のある人材を求めている」というものです。
優秀な友人に依頼できるような友人の多さ、要領の良さ、代行業者を使うという頭、多少インチキを使っても人を出し抜こうとする精神、営業職などの民間企業に求められている力そのものですよね。Webテストで学力的な選考を行っている企業は新卒採用なんてむしろ馬鹿でいいんだ、会社の言うことを従順に聞いて、明るくて人あたりよくて、要領よく仕事してくれる人材がほしいんだと表明しているわけです。だから問題にすること自体が滑稽(←この漢字が書けなくて1点差で今年東大落ちた人いますか?)なのです。

就職活動より遡って、大学の文系学部もそうですよね。優秀な先輩や友人にノートを借りられる人脈の広さ、思想の左右を含めた教員の信条に反しないレポートを書く要領の良さの方が、地頭の良さよりも単位やGPAに大きく影響します。高校までは優等生と賞賛される行動である、一人で大人しく一番前の席に座って授業を聴くという態度で成績の優れた学生を目にすることはほとんどありません。また要領の良さといえばその代表格である、指定校推薦の合格者は大学での成績も概ねよい傾向にあります。
内申点を稼いで実力以上の高校に進学→そこそこの高校から実力以上の大学に指定校推薦で合格→友人に囲まれて遊んで単位取得→エントリーシートやWebテストを友人や業者に代行依頼→これまでの自信で面接は強い→大手企業に内定という、私をはじめとする陰キャから見たらヘドが出るようなルートが中学校から描かれているわけです。しかしまた、人生全体を考えればお得すぎるルートであることも事実であり、そればかりは認めざるを得ません。

私自身はそもそもWebテストがない時代に就職活動をしました。リクナビはギリギリ存在しましたが、Webエントリーそのものがまだ先進的な企業という感じで、内定先での面接では「えっ、インターネットで見て応募したんですか!?」とやや驚きの顔をしていました。実はこれによって文系なのにICTに強いという謎の高評価も得ていました。
当然筆記試験もガチンコそのもので、特に私が受けた新聞社や出版社、教育業は筆記試験の配点割合が高く、相当重視されます。就職超氷河期の中で、三大紙の新聞記者職では最初の筆記試験は学歴に関係なく誰でもオープンに受けられたのですが、知人の東大卒、早稲田卒が惨敗する中で私が通過して、自ら底力の再確認ができました。もちろん就職が筆記で決まるわけではないけど、これはいつかどこかに決まるなとなんとなく自信にもつながりました。

今回のWebテスト問題は導入企業に対して「お前たちが筆記を重視していないのに告発なんかしてバッカじゃないの?」で終了なわけですが、受験者側の視点からすると、陰キャは陽キャにはなれません。陰な人はやはり常に頭脳を磨き続けて、せめてその分野では陽な人に勝たなければいけません。それでも社会では彼らの方が有利ですが、一矢報いる可能性があるならば頭です。
「げんしけん」という漫画の1巻で、陽キャのギャル系女子が英語を話しているのを見て、オタクサークルの男子が「納得いかん!」とセリフがあり、陽キャに「こいつら自分が頭いいと勘違いしている」と返されるシーンがあり、どうでもいいシーンなのですが身につまされる思いでした。
このたびの事件をザマーミロと思う陰キャは多いと思いますが、結局捕まったのは代行業者の側であり、大学生は今後も友人のつてなどを頼って代行依頼をしますし、企業側が軽視している以上、それを防ぐ手立てはありません。憎むのは自由ですが、リア充の友人もまたリア充、そんな奴に知識問題で負けてどうするんですか、面接で勝てなくてもせめてそこで圧勝する力があれば、きっと目をかけてくれる企業がありますよ。



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