見出し画像

ペーパーレスとオンラインのラストワンマイル

夕方の防災放送でしきりにコロナの感染情報を放送しているのが聞こえてきます。新型とはいえ、一ウイルスによってここまで世の中が変わるとは誰も思っていなかったのではないでしょうか。少なくとも私自身は思っていませんでした。まさかジャレド・ダイアモンド氏の「鉄・病原菌・銃」の内容を彷彿させるような事態が一生の内に起こるとは予想外でした。

そんな中、在宅での勤務や学習の必要性が高まったことを受け、需要が高まったIT関連での混乱を見て、諸外国と比べ劣っているとの批判も多く聞かれました。江戸時代から続く紙媒体中心の生産活動に難が付くことはよくありましたが、今回のは少し毛色が違う感じがしました。

仕事にしろ、教育にしろ紙を使うために活動をしているわけではなく、最も手頃で信頼性が高いために皆が利用しているだけなのです。今こそデジタルが幅を利かせていますが紙媒体と比べると手軽さでは大きく差があったのは事実です。もし、テレパシーが使えるなら紙媒体やデジタルではなくそちらを使うのではないでしょうか。

ペーパーレスとオンラインこの2つを考えると密接に関係しているのが嫌でもわかります。裏を返せばオンラインでは無いオフラインではペーパーレスのメリットが享受できないのではないのかと疑問が浮かびます。

すべてがオンラインになることが理想ですが、そうも言ってられないのが現実というものです。組織でも上司のパソコンまではオンラインになっていてもそこから現場まではオフライン、つまり紙媒体の出番となるところが多いのではないでしょうか。まさしくラストワンマイルです。

このラストワンマイルはこれから大きな差を生んでいくことでしょう。情報の遅延、ヒューマンエラーによる間違った情報の共有などリスクを孕んだまま、情報がオンラインで共有され結果的に間違った経営判断がなされる。現場も余計なプレッシャーが掛かることでしょう。

つまり、生産活動がオンラインを当たり前とする現代では末端であっても容易にデジタル化できる環境が必要だとあらためて認識されるのです。オフラインこそオンラインではない形でデジタル化が必要です。

アメリカのワシントンDCに旅行に言った際、現地の博物館で世界地図に各地の地震発生頻度をマッピングしているものがありました。大学の授業でも似たような資料を見ましたが、海外の博物館の展示物の中で日本が格段に多くマッピングされているのを見て大学で受けた授業以上に日本が災害大国であることを実感したものです。

オフラインでのデジタル化を真剣に考えることは災害大国である日本にとって必須であることは間違いありません。私自身も今年、床下浸水と停電を経験することで強制的なオフラインが案外簡単に経験しうるものであることを体感しました。

今回の被害は幸いなことに大きなものではありませんでしたが、より大きな災害、かつてボランティアの活動に行った東北の南相馬市のような状況になったときはどうなるかわかりません。

オフラインでのデジタル化は平時での生産活動の信頼性向上と遅延の低下をもたらし、有事の際の強力なバックアップになり得ることをここ最近強く思うようになりました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?