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STROKE OF FATE #8-apper【ニンジャ二次創作Web再録】

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アーソンに支えられながらヤクザビルを出ると、入り口にソウカイ家紋つきリムジンが停まっていた。迎えを呼んだ覚えもなく訝しんだが、クローンヤクザ運転手がオジギして後部座席の扉を開けたとき、ソニックブームは思わず背筋を正した。「ドーモ。ソニックブーム=サン、アーソン=サン。ゲイトキーパーです」

ラオモト・カンの懐刀、ソウカイヤの屋台骨を支えるニンジャが、悠然と座っていた。「ドーモ、ゲイトキーパー=サン。ソニックブームです」「ドーモ。アーソンです」「乗りなさい。戻りましょう」断れる筈がない。二人は恐る恐るリムジンに乗り込んだ。

「首尾はどうだね。随分苦戦していた様子だが」ねぎらうようだが、ソニックブームの有様を採点するような怜悧さも感じる。「それは、カラテが未熟だったせいで」ソニックブームは素直に非を認めた。ソニックカラテの強さを補う為、更にトレーニングを積む必要がある。「アーソン=サンがバックアップしてくれたおかげです」

「……確か、君のレポートではもうひとりニンジャがいた筈だが。シルバーカラスと言ったか」ソニックブームは礼をしたまま報告する。「奴は相手の裏をかき、こちらにいた内通者を殺しに行きました。そちらも上手く行ったようです」「憂いは絶ったというわけかな」ソニックブームは頷き、家捜しの末見つけたキンゴとモトヤスの手打ち契約書を広げた。

「これで、ジャノミチ・ストリートは、ソウカイ・シンジケートの仕切りです。上手くすればケゴン・ストリートも」ゲイトキーパーは目で頷いた。ソニックブームは、ゲイトキーパーがここにいた理由を推察する。今回のミッションは、ソニックブームにとってひとつの試験だった。試験官としてどこかからこのイクサを監視していたものか?

「今後のあの界隈の仕切りですが、今回の働きもあるので、アーソン=サンに任せるべきではと……」ゲイトキーパーは片手を上げて遮る。何かを見定める様にソニックブームを見た。「良い判断だ。だが、私の決める事ではない。君が決めなさい」

ある種の厳粛さを持って、ゲイトキーパーは告げた。ソニックブームはゲイトキーパーを思わず凝視した。シツレイにあたるが、ゲイトキーパーは咎めなかった。「……よろしいんで?」

尋ねながらも、求めていた椅子に手がかかる感触を、ソニックブームは確かに感じていた。「むろん、君が、シックスゲイツの空席に座るつもりがあるなら、だが」

―これだ。この言葉ひとつ賜るために、ここまでやって来た。その言葉が意味する責任を、優越を、骨の髄まで啜ってやりたかったのだ。「ヨロコンデー……!」ソニックブームは高揚を押し殺し、奥ゆかしく一礼した。


ストローク・オブ・フェイト ♯8-a終わり ♯8-bに続く