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愛知教育大学2003年:放物線の焦点

問題

放物線 $${y=x^2}$$ の内側が鏡になっている。直線 $${y=1}$$ 上の点 A$${(a,\ 1)}$$  $${(0 < a < 1 )}$$ から光が$${y}$$ 軸に平行に真下に進むとき,放物線とぶつかる点をBとし,Bで反射した光が再び放物線をぶつかる点をCとする。
(1) 点Bにおける放物線の接線と$${y}$$ 軸とのなす角を $${\theta}$$ とするとき,$${\tan \theta}$$ の値を $${a}$$  を用いて表せ。
(2) 2点B,Cを通る直線は$${a}$$ に無関係な定点を通ることを示せ。

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まず図を描いてみましょう。

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図を描けば,(2) の「定点」が焦点であるという問題だとわかるでしょう。というより,これが「焦点」の意味です。ただし,図が描けるためには,曲面で光がどのように反射するかを知っている必要があります。上の図には法線も描きましたが,これが入射角と反射角についての正しい図です。ただし,この問題では,法線はなくても計算できるようになっています。つまり,(1) が(2) への誘導になっているのです。
計算は後回しにして,まずは問題を鑑賞しましょう。

リンク先を開くと先ほど描いたのと同じ図が出ます。緑色の点Aは,ドラッグして緑の線分上を動くことができます。動かすと,確かに定点を通ることがわかります。

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では,計算の概要を示しましょう。

(1) 点Bにおける放物線の接線と$${y}$$ 軸とのなす角を $${\theta}$$ とするとき,$${\tan \theta}$$ の値を $${a}$$  を用いて表せ。

Bにおける放物線の接線の傾きは,微分すれば $${2a}$$ と出ます。$${x}$$ 軸の正の方向とのなす角を$${\alpha}$$ とすると,$${\tan \alpha=2a}$$ です。このことと,法線が接線と垂直なこと,$${\alpha+\theta=90^{\circ}}$$であることから,符号も考慮して$${\tan \theta=\dfrac{1}{2a}}$$ となります。(法線はなくても求められますが,あったほうが考えやすいでしょう)

(2) 2点B,Cを通る直線は$${a}$$ に無関係な定点を通ることを示せ。

いくつか方法があるでしょう。たとえば,法線の方程式を求め,法線に関する点Aの対称点Dを求めれば,Dは直線BC上にあるので,B,Dを通る方程式を求めればよいでしょう。(1)がなくて(2)だけなら,そのようにして解くところでしょうか。
しかし,(1) が導入になっていると思えば,次のように考えられます。
直線BCが$${x}$$軸の正の方向となす角を $${\beta}$$ とすると,$${\beta=\alpha-\theta}$$ です。

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(1) で $${\tan \theta=\dfrac{1}{2a}}$$ が求められており,$${\tan \alpha=2a}$$ ですから,tan の加法定理を使えば,$${\tan \beta=a-\dfrac{1}{4a}}$$ と算出されます。
したがって,直線BCの方程式は $${y=\left(a-\dfrac{1}{4a} \right)x+\dfrac{1}{4}}$$ となり,これを$${a}$$ についての恒等式と考えれば,定点$${\left(0, \ \dfrac{1}{4} \right)}$$ を通ることが言えます。

図はCinderella(CindyJS)で作成しています。

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