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がん、脳卒中、虚血性心疾患だけではない。認知症の予防のためにも死の四重奏には気を付けて!という研究のお話。

認知症が問題になっているのはみなさんご存じだと思います。

既に、認知症には糖尿病や高脂血症が関連していることが分かってきています。

また、高血圧は高齢期のアルツハイマーの発症を増加させるのか抑制させるのかは議論が分かれていますが、高血圧が引き起こす脳卒中などは要介護に繋がりますから予防は重要でしょう。

さらに、肥満においても認知症に関連するのではないかと考えられてきていますし、これらは肥満は上記の生活習慣病と密接にかかわっています。

これだけでなく、痩せは死亡リスクが高いことが知られています。

しかし、痩せていても上記の生活習慣病がある場合、認知症のリスクが高くなるかは分かっていないんですね。(アジア人は欧米と比べてBMIが低値ですし…)

そこで、2020年にHiroshi Yokomichi先生が愛知県の3696名を平均5.8年追跡して、肥満、高血圧、糖尿病、高脂血症、痩せのそれらの組み合わせと認知症(Ⅱa以上)の発症との関連を調べてくれました。

その結果…

BMIが18.5~24.9(いわゆる普通体格)の群と比較して、男性では糖尿病の群で認知症のリスクが2.2倍、女性では糖尿病の群で2倍、痩せ(BMI18.5未満)では72%も認知症のリスクが有意に高かった。

男性では高脂血症がなく普通体格の群と比較して、高脂血症があり低体重の群では認知症のリスクが4.15倍であった。

女性では高血圧がなく普通体格の群と比較して、高血圧であり低体重の群で認知症のリスクが3.79倍であった。

また、女性で高脂血症がなっく普通体格の群と比較して、高脂血症があり肥満の群では認知症のリスクが48%低下していた。

という感じですね。痩せはなかなか問題になっておりますな…

しかし、肥満で高脂血症の女性はリスクが下がるとは…

研究者たちは、

高齢の痩せは栄養不足、運動不足、消化吸収障害、歯の損失、内分泌疾患、がんや感染により起こる。特に低栄養は筋肉及び体重の減少によるもので、筋肉から放出されるマイオカインが脳組織の損傷の回復、運動による認知能力の回復に重要な役目を果たしている。そのため、認知機能の維持には筋肉量の維持が重要であり、タンパク質の摂取が重要である。

と述べていますね。

また、高脂血症があり肥満の女性では認知症のリスクが低下していたことについては

理由は分からないが、日本人における肥満の高齢女性は比較的高学歴であり、十分な栄養を摂取できていたために健康であったのではないか?

と述べられていますね。

肥満はとても注目されていますが、痩せについてもどうように注目する必要がありそうですね。

また、認知症の視点からしてもやはり生活習慣病は予防したほうがよろしいかとおもいます。

これらを防ぐにはやはり運動そして食事であることはこの論文のなかにも多く書かれています。

死の四重奏、そして痩せにはやはり生活習慣と密接な関係がありますから、健康的な生活を送ることが一番の予防かと思います。

そして、ここにも出てきたように歯もお忘れなく。

生活習慣をみなおそう!という方はぜひ以前の記事も参考にしてみてください。


少しでもお役に立てれば…では!

Reference
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/jdi.13103


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